うろ覚えライフ。

巷の旬な話題と情報への個人的意見、日々雑感。懐古・郷愁。漫画・映画・小説・ポピュラー音楽。

秋葉原通り魔殺戮事件

2008年06月10日 | 時事社会ログ

 

○加藤容疑者、家族の話で号泣…本格的取り調べ開始

 

       7人が死亡、10人が負傷した東京・秋葉原の無差別殺傷事件で9日、捜査本部は加藤智大容疑者(25)の本格的な取り調べを開始した。同容疑者は落ち着いた様子で「事実をすべてお話しします」などと、素直に応じていたが、家族や生い立ちの話になると、号泣する場面もあったという。

 犯行について場面を問われたときには、後悔の念をあらわにすることもあったが、被害者に対する謝罪の言葉はないという。捜査本部では引き続き、詳しい動機の解明を進める。
 

 

○秋葉原で無差別殺傷、7人死亡 25歳男逮捕「誰でも良かった」

 

        8日午後零時半ごろ、東京都千代田区外神田3のJR秋葉原駅近くで、トラックが歩行者天国の通りに突っ込み、通行人をはねた。さらにトラックを運転していた男がサバイバルナイフで通行人らに次々と切りつけた。警察官を含む17人が刺されるなどして負傷し、7人が死亡した。

 警視庁万世橋署員が現場近くで男を取り押さえ、殺人未遂の現行犯で逮捕した。男は静岡県裾野市、職業不詳、加藤智大容疑者(25)。調べに対し、同容疑者は「人を殺すために秋葉原に来た。誰でもよかった。世の中がいやになった」と供述しているという。

 

【秋葉原通り魔事件】犯行使用のナイフとは別の刃物も所持 過去30年で被害最悪か

 

       これまでの調べでは、加藤容疑者は8日午後0時半ごろ、東京都千代田区外神田の交差点で、横断者3人程度をはねた後、10メートル走行して停車。車から降り、刃渡り約13センチのサバイバルナイフを振り回しながら交差点に戻り、歩行者天国で交通整理などにあたっていた男性警察官を刺した。警察官は制止しようとして刺されたとみられる。

 さらに近くの買い物客らを次々と刺しながら、歩行者天国を逃走したが、騒ぎを聞きつけた近くの交番の警察官ら3人が路地に追い込んで拳銃を構えるなどして刃物を捨てるように指示し、取り押さえたという。

 ‥ 捜査1課は目撃者などから聴取。通り魔事件としては過去30年で最悪の被害とみられており、一連の犯行の詳細を調べている。

 

 

 もう、いよいよ、ここまで来たのか。という感じだね。恐怖と、そして‥絶望。

 「津山30人殺し」という、伝説的な事件がある。もう随分昔、1938年、太平洋戦争前に起きた、単独犯による大量殺人事件だ。横溝正史の「八つ墓村」や島田荘司の「龍臥亭事件」など、いくつかのスリラーミステリ小説の、モデルや題材にされている、伝説的な大量殺戮事件だ。

 今回のこの秋葉原の事件は、もう、この伝説になっている大昔の殺戮事件と同じではないか。この日、6月8日は、調度、7年前に宅間守が大阪の池田小学校で児童を無差別に襲撃、子供が8人も殺された、あの忌まわしい事件と同じ日になるんですね。

 今回の秋葉原通り魔事件の犯人、加藤智大がもしも、何かの方法で何かの伝手で、拳銃を手に入れるようなことがあっていたなら、これは多分、伝説の「津山30人殺し」のような大型の惨事になっていたろう、と思う。

 もうね、数々のミステリのモデルにされるような伝説の事件と、同じような殺戮事件が、今は、日常の中でごく普通に起こる時代なのだ。

 今年3月の、茨城土浦の駅構内での無差別襲撃事件。男子高校生が品川区の商店街で無差別に切りつけて行く事件があったが、あれは今年の1月か。池袋の、ハンマーと包丁で襲撃した、通り魔事件はいつだったっけか。あれはもう何年も前なんだっけか。

 この間、ニュースで聞いた、登校中の学童が自分を指して笑ったと勘違いして、自動車で児童の列に突っ込んだ事件も、被害者に死人は出ていないが、似たようなものに思える。また、だいぶ前の事件になるが、長崎佐世保のスポーツ施設内プールでの銃乱射殺人事件の自害した犯人も、何だか似たようなものを感じる。今年の春頃だっけか、岡山で、まだ18歳くらいの少年がホームから人を突き落とした事件。

 何か、激しい恨み心を抱いて、憎悪した相手を襲撃する、というのは解る気がするが、こういった、全く関係の無い人々を無差別に殺す、殺戮する、というのはちょっと僕には解らない、というか、信じられないくらいの驚きで、ここからは遠く離れた都会の繁華街の他人の話でも、怒りさえ感じるし、また、TVで殺された被害者の人たちのことが流れると、涙さえ出そうになるくらい悲しくもある。亡くなった被害者の人たちには19歳や21歳といった若い人たちも多くて、これから先の未来ある若者たちなのに、本当にその人生が若さがもったいない。

 加害者の加藤は、何か大きな悩みを抱えていたのかも知れないが、被害者の人たちも多分、それぞれにそれなりの悩みやあるいは障壁のようなものを持っていたに違いない。その時点でなければ、過去にはきっと、何らかの人生の大きな障害に当たって来て、それに苦しんだり何とか乗り越えたりした経験もあるだろう。人間一人、人生を生き抜いて行く道のりには。この世の中では殺人者・加藤だけが悩みを持って苦しんでいる訳ではないのだ。

 こういう関係の無い一般市民を殺戮して回って、他人の人生を奪っていったい何になるのだろう。この男に直接、被害を与えたか、あるいはこの男が苦悩する要因を作った相手に復讐するのなら、まだ解る気もするが、ひょっとしたら被害者たちの中にも、加藤と同じような似たような悩みや不満を持っていた人間も居たのかも知れないではないか。居なかったかも知れないが、これは人間の想像力の欠如である。

 先ず僕がトチ狂っても、何の関係性も無い無差別殺人は絶対にやらないが、例えば、僕を苦しめ続けた相手に対しては憎悪のような感情を抱き、復讐したいと思うかも知れない。でも決行するかどうかは、やはりいろいろなことを想像する。その、恨みを覚える相手に小さな女の娘の子供でもいたら、それはためらい考え込むだろう。それが想像力というものだ。

 しかしこの無差別殺人はひどい。もうこれは人間じゃない。逆に、この加藤が、繁華街に居合わた被害者の方で、即死させられずに、刺し傷で一生を障害者で過ごす不具者にされていたら、犯人とは何の関係性もない重大な被害に納得できるだろうか。

 何かで読んだのだが、人間はなかなか人間を殺せないように、もう遺伝子レベルからプログラムされている。というか、この学説は、同種の動物が同種の動物を殺さないようにプログラムされて生まれている、という話なのだが、例えばアメリカなどの軍隊では、最終的にこの人間の持つ人を殺せない、という精神構造を取り除く訓練を行うんだそうだ。アメリカの軍隊の訓練中では優秀な成績を上げた兵士でも、いざ戦地へ行って最前線で敵兵とはいえ人を殺すとなると、なかなか思うような戦果が上げられない。だから、軍の中枢は、自分とこの兵士の、人を殺せない、という人間性を壊してしまう訓練に苦心する。そうして、精神的にカタワにされた兵士が、最前線へと送られる。帰還兵がアタマがおかしくなる訳だわな。

 最近の、この日本でも増加しているように思われる、無差別殺傷事件を考えると、何かこの、人間性という精神構造が、ごく日常の中でもう壊れている人が増えているような気がする。困った話だなあ。

 こういう無差別被害者事件の後で、想像力の欠如という話はよく出ていることだが、こういう狂気の犯人たちが、絶望感を思った時に、考えることを止めてしまっているのだろうか。今の自分の絶望は何故起こったのか?いったい誰のせいか?何のせいか?ということは考えようとしないのだろうか?事細かに分析して行って、原因を究明しようという思考はもう起こさないのだろうか?無差別殺戮とは全く、究極の八つ当たりだ。

 殺害された被害者の中に一人、女性が居たが、日比谷高から国立東京芸大へ進み、音楽関係に就職もほぼ決まっていたのだという。この女学生さんはアルバイトのキャンペーン嬢をして某店内に居たが、人が刺されたと聞いて逃げようとせずに、現場に出て来たために被害に合って人生を奪われた。TVの話だと多分、刺された人を介抱しようとして出て来て殺害されたのだろう、ということだ。本当にもったいない。アタマも良くて才能もあり、人間性としての優しさもいっぱい持っていた、これからという未来のある命だ。

 殺人鬼・加藤は、地方の、卒業生の先輩に古くは太宰治寺山修二も居るという、県下でも有数の進学校を出て、関東(中部・岐阜)の短大か専門学校かに進み、そこを出ながらも派遣会社にしか就職できず、いつ勤務先で首を切られるか解らず保障も無い派遣会社に籍を置いて、仕事は真面目に勤めていたという。

 ここまでの度外れた凶行は、例えどんな理由があろうと許されることは、全く無いが、優秀な高校を出て短大を出ても、派遣会社にしか就職が出来ないという、若者の仕事状況の現実は、かなり大きな問題だと言えると思う。この厳しい現実の格差社会を作った、小泉元首相を初めとするこの国の支配層は、こういう惨劇が相次いで起こっている、この自分らが道筋を作った社会の、現実の大きな問題をよく噛み締めて考えるべきだ。

 

  

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米大統領選民主党代表候補

2008年06月09日 | 時事社会ログ

 

ヒラリーの戦い、終わる 見果てぬ女性大統領の夢、後世に託し去る

 

        米民主党の大統領候補指名争いに敗れたヒラリー・クリントン上院議員(60)は7日、ワシントンの国立建築博物館大ホールを埋めた聴衆を前に選挙戦からの撤退を公式表明し、米国で初の黒人大統領をめざすバラク・オバマ上院議員(46)の勝利に向けた党の結束を訴えた。昨年の出馬表明から16カ月の長期に及んだ「ヒラリーの戦い」は終わった。

 ‥ 「本日、私は選挙活動を停止する」と撤退を宣言し、「私たちの活力、情熱、力を結集して、オバマ氏を次の米大統領に当選させよう」と呼びかけた。

 選挙戦では、オバマ氏を「恥知らずめ」と罵倒したこともあったが、この日は「オバマ氏はアメリカン・ドリームを歩んできた人物だ」と評価。約30分の演説で14回もオバマ氏の名を挙げ、オバマ陣営のスローガンだった「イエス、ウイーキャン(われわれはやれる)」を高らかに叫んだ。

 会場となった国立建築博物館は、米国を二分した南北戦争(1861~65年)の戦後処理にもかかわった「連邦恩給局」の庁舎跡だ。民主党を二分した選挙戦の亀裂修復を象徴する舞台で、クリントン氏は「民主党は一家だ」と訴え、共和党からの政権奪還に結束を促した。

 

○黒人6割「オバマ氏の身に危険」=人種対立改善期待も

 

       米民主党の大統領候補指名が確定したオバマ上院議員について、米国の黒人の6割近くが、同議員の身に危険が及ぶと懸念していることが6日、米ギャラップ社の調査で分かった。
 初の黒人大統領を目指すオバマ氏には昨年5月から警備のシークレットサービスが付いているが、11月の本選挙に向けて安全確保面の懸念が広がっていることが浮かび上がった。
 調査は5月30日から今月1日にかけて、18歳以上の約1000人を対象に実施。「他の候補者より、危害が加えられる可能性が高い」と回答したのは全体の42%。黒人では57%と高い割合を示したのに対し、白人では39%にとどまった。
 また、同社とUSAトゥデー紙が最近、ロサンゼルスとニューヨークの黒人を対象にした調査では、75%が「オバマ氏は他の候補者より白人と黒人の関係を改善してくれる」と期待感を示した。 

 

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漫画原稿紛失で330万請求

2008年06月07日 | ブックログ

 

○漫画原稿紛失で小学館提訴=作者が330万円請求-東京地裁

 

        コミック雑誌「週刊少年サンデー」で連載された漫画「金色のガッシュ!!」の単行本用原稿を紛失したとして、作者の雷句誠(本名河田誠)さん(33)が6日、発行元の小学館に慰謝料など330万円を求める訴えを東京地裁に起こした。
 訴状によると、なくなった原稿はカラーで描かれた5枚。単行本化に伴い、同社へ貸し出していたが、2月末になって紛失が判明した。
 代理人弁護士によると、撮影したフィルムが保存されており再現可能だが、紛失したのは手書きの原稿で、美術品としての財産的価値があると主張している。

 

○小学館と決別?「金色のガッシュ!!」作者にオファー殺到

 

       「小学館のお仕事を受ける事はありません」-。週刊少年サンデーで長期連載していた人気漫画「金色のガッシュ!!」で知られる漫画家、雷句誠さんに、ほかの出版社や漫画雑誌の編集者から多数の仕事依頼が届いていることがわかった。自身のブログで明かしたもので「とてもありがたい事です」とコメントしている。

 「サンデーで連載される機会はありますか?」とのファンの質問に対し、「漫画は描き続けますが、週刊少年サンデーで仕事をする事はありません。小学館のお仕事を受ける事はありません」と明言。小学館との決別を示唆するコメントを残したことでオファーが殺到したようだ。

 ■雷句誠(らいくまこと) 岐阜県出身。1991年まんがカレッジ入選作品「BIRD MAN」でデビュー。1999年3月~2000年8月まで少年サンデー超にて「ニュータウン・ヒーローズ」を連載。2001年1月~2007年12月まで「金色のガッシュ!!」を連載し、アニメ・ゲーム化された。2003年には「金色のガッシュ!!」で第48回小学館漫画賞を受賞。

 

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ヤングサンデーが休刊

2008年06月07日 | ブックログ

○「ヤングサンデー」「Judy」を休刊=「駱駝」はリニューアル-小学館

 

        小学館は30日、コミック誌の商品構成を見直し、青年向けの「週刊ヤングサー」を7月31日発売号で、女性向けの月刊「Judy」を8月23日発売の10月号でそれぞれ休刊すると発表した。新雑誌の創刊を検討中という。
 週刊ヤングサーは1987年3月創刊。「海猿」「クロサギ」などの人気漫画を連載したが、部数は95年の68万部から現在20万部まで落ち込んでいた。Judyは83年創刊で、現在9万5000部。

 

 雑誌が売れない時代って聞くしなあ。子供や若者が漫画を読まなくなって来ている、とも聞く。確かに、ひと頃に比べると、漫画雑誌の発行部数は愕然と下がっているらしい。講談社も小学館もマガジンとサンデーのコラボ企画を出してみたり、出版社の垣根を外していろいろと苦心しているみたいですけど。

 時代なんだろうなあ。パソコンや携帯電話、ワンセグといったハードで、インターネットやゲーム、映画やアニメ他のいろいろなソフトで遊べる。もう、毎週毎週、雑誌を買って続きものの漫画を読んだりしないんだろう。漫画はコミックスで読まれる時代だというしね。漫画は、みんな、単行本でまとめて読む。今や漫画でさえ、パソコンや携帯端末で読める。時代ですね。

 週刊ヤングサンデーは、80年代初め頃に発刊されてた少年ビッグコミックが前身の、ミドルティーンからハイティーン、青年層くらいまでを読者層とした、週刊漫画雑誌ですよね。小学館は、だいたい同じくらいの年齢層対象の雑誌に、ビッグコミック・スピリッツもありますよね。スピリッツの方が、対象読者層はやや高めだけど。講談社だと、ヤングマガジンの読者層。少年画報社はヤングキングなんてあったけど、今はどうなっているのかな?

 ヤングサンデーが休刊になると、僕の大好きな「鉄腕バーディー」はどうなるんだろう?

 一度休刊になって、しばらくしてまた復刊した雑誌に、双葉社の漫画アクションがありますね。でも、ヤングサンデーの復刊はなさそうに思えるなあ。

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蟹工船

2008年06月06日 | 時事社会ログ

○「蟹工船」東海でもブーム 低賃金で過酷労働する男たち描く

 

         貧しい人々の過酷な労働と団結を描いたプロレタリア文学「蟹工船(かにこうせん)」がブームだ。没後75年の小林多喜二(1903-33年)の代表作で、東海地区でも火がつき、先週あたりから各店の売り上げ上位に登場。昭和初期の作品としては異例で、格差社会を背景に、“ワーキングプア”のリアルな闘争が若者をはじめ幅広い関心を集めているようだ。

 「この1カ月で1000冊近く売れた。爆発的です」。三省堂書店名古屋高島屋店(名古屋市中村区)の担当者は新潮文庫「蟹工船・党生活者」の勢いに驚く。

 北の海で低賃金の男たちが搾取に耐えながらカニ漁に従事し、階級闘争に目覚める名作。同店は「他店で人気が出ている」と意外な話を聞き、今年4月ごろ平積みを始めた。

○「蟹工船」再脚光…格差嘆き若者共感、増刷で売り上げ5倍

 

         プロレタリア文学を代表する小林多喜二(1903~1933)の「蟹工船(かにこうせん)・党生活者」(新潮文庫)が、今年に入って“古典”としては異例の2万7000部を増刷、例年の5倍の勢いで売れている。

 過酷な労働の現場を描く昭和初期の名作が、「ワーキングプア」が社会問題となる平成の若者を中心に読まれている。

 「蟹工船」は世界大恐慌のきっかけとなったニューヨーク株式市場の大暴落「暗黒の木曜日」が起きた1929年(昭和4年)に発表された小説。オホーツク海でカニをとり、缶詰に加工する船を舞台に、非人間的な労働を強いられる人々の暗たんたる生活と闘争をリアルに描いている。

 文庫は1953年に初版が刊行され、今年に入って110万部を突破。丸善丸の内本店など大手書店では「現代の『ワーキングプア』にも重なる過酷な労働環境を描いた名作が平成の『格差社会』に大復活!!」などと書かれた店頭広告を立て、平積みしている。

 「蟹工船」と聞くと、僕は筒井康隆さんの「蟹甲癬」を思い出してしまう。全く違う話だが、僕は小林多喜二の日本プロレタリア文学の名作、「蟹工船」は読んでいなく、筒井康隆のギャグSF、「蟹甲癬」は読んでいるからだ。

 筒井康隆さんのSF短編「蟹甲癬」のタイトルは、勿論、「蟹工船」のパロディーだろうが、お話の内容は確か、未来の宇宙から飛来したウイルスか何かの病原菌で、顔の頬の部分が四角く蟹の甲羅のように固くなり、中に膿が溜まる流行病だ。

 まあ、もっと詳しく言うと、宇宙カビみたいな病原体が寄生して人間の脳味噌を食べ、患部となる顔面の頬を乾癬状に固くして、その内部に、病原カビの脳味噌を食べた後の排泄物がカニミソ状に溜まる。頬の甲羅はパカンと外れ、中身のカニミソ状の排泄物はとても美味しい。美味しいので他の人が食べると、食べた人は感染し蟹甲癬を発症する。未知の寄生病原体の伝染病を扱ったSFですね。多分、そういうお話だった。

 僕は昔は、青年の頃だが、筒井康隆さんのSF短編はいっぱい読んだ。当時、各出版社から文庫で出てる短編集は、全編読んだのではないかというくらいの勢いで。長編はあんまり読んでいない。長編推理小説は読んだけど、筒井康隆先生の文学実験小説は難解で読んでいない。筒井ギャグSFはメチャクチャ面白くて爆笑して愛読したが、読後にじわりと毒が回って来てちょっと嫌な感じが残る。何か後味の悪さの毒がある。そこが文学者・筒井康隆の天才たる所以だったのだけど。

 筒井康隆さんの著作の話ではないのだ。本家、歴史的文学名作、「蟹工船」の話だ。僕が中学一年か二年の時の、定年間近い教頭先生が社会科を兼任していて、授業のときに、先生が少年時代にまだ戦時中で、発禁本の「蟹工船」を隠れて読んだ話をしていたのを思い出す。

 僕は、17、18歳くらいの頃、左翼思想かぶれしそうになったのだが、元々、アタマの悪い少年だったので、そこまでは行かなかった。だから、ハイティーンの時代は、この小説に大変興味はあった。けど、結局読まず終いだった。何だか暗くて重苦しく、耐えられないような気もしたからだ。

 いわゆる昔のタコ部屋の世界ですね。虐待的に搾取される地獄の重労働世界で、最後は労働者たちが蜂起して、支配体制に立ち向かう。

 僕が幼少時、訳解らずに単純に忍者漫画として、貸本屋から借りて来て見ていて、後に、十代末に読み直しで愛読する、「忍者武芸帳」とちょっと、プロパガンダ的に似ていますね。

 現代のひどい格差社会のもとで、低所得層として毎日食べて生活して行くのがやっとのような、下層庶民たちが増加する中、比較的若くてワーキングプア状態に居て抜け出せない人たちが、希望も持てず灰色な気持ちで、昔のプロレタリア文学の名作、「蟹工船」を読んでみているのかも知れない。でも読むとまた、気持ち的に絶望的になるんじゃないかなあ。そこから物語の労働者たちのように、体制に向かって抵抗運動をしようなんて気持ちが起こるだろうか。

 現在、老人たちは、後期高齢者医療制度に反対して厚生労働省の建物の前で座り込みという、まあ、抵抗運動をやってますけど。

 諸外国では燃料高騰に対してトラック運転手等労働者たちが、デモなど抗議行動を起こしてますねえ。日本人はおとなしいからなあ。先ず、暴動なんて起こさないものなあ。

 現代の若者は貯金をよくやっている、と言いますものねえ。将来にあまり希望が持てず先行きが不安で 、贅沢な買い物などはせずに金の掛かる遊びはせずに、若い時分からお金が余れば貯蓄に励むらしい。その貯蓄も銀行は降ろす度に、手数料と称して二百円くらいの金を巻き上げる訳だが。変な話だなあ、貯金は自分の金の筈なのに。

 もっとひどい時代があったんだ、と若者たちは、「蟹工船」を読んで自分を慰めているのだろうか。「蟹工船」が若者たちに愛読されるというのは、明らかに暗い時代ですよねえ。

 ちなみに、知らなかったのだけど、蟹工船は『航船』ではないので、動かないんだそうですね。遠洋に漁に出る船ではなくて、港に繋がれていて、定位置でひたすら蟹漁を行い、あるいは持ち込まれた蟹を、休むことなく、これは労働者たちも休むことなく、加工作業を強制労働させられる工場船なんですね。

 僕も「蟹工船」に興味が出て来たなあ。読んでみようかなあ。でも読んだら暗澹たる気持ちになりそうで嫌だなあ。

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興毅、日本で試合が出来る!?

2008年06月05日 | スポーツログ

 

○亀田家の独立、条件付きで容認へ=東日本ボクシング協会

 

        協栄ジムとの契約を解除したボクシングの亀田興毅、大毅兄弟の処遇について、東日本ボクシング協会が独立を容認する方針であることが4日、分かった。
 同協会の大橋秀行会長は「独立を禁じる理由がない。ただし、二度とトラブルを起こさない、などの条件を協会として付ける」とし、条件付きで新ジム設立を認める意向を示した。この結果、兄弟は既存の他ジムに移籍せず、10年以上のライセンス保有実績がある第三者を代表者にした新ジムの所属で国内のリングに立つ見通しになった。
 父親の史郎氏は当初、兄弟の身分を同協会が一時的に預かるよう要請。同協会は9日の理事会でこれを拒否するが、独立は妨げず現役続行への道を閉ざさないことにした。同氏は大橋会長に対し、「協会のルールに従う」と伝えている。

 

 

 やっぱり、スポーツ人気で、まだまだ低迷の内にある、日本プロボクシング界で、TV放映しても視聴率を稼げるだろう、話題の一家だからね。TBSとかは動いたんだろうか?ちょっと圧力を掛けてみる、とかさ。

 亀田親父や次男・大毅はもう、完璧ヒールの嫌われ者だろうけど、長男・興毅は今はけっこうイメージは良いと思う。次男と違って、世界トップレベルで戦える実力もあるし。20歳を過ぎて、言葉遣いなどはまだまだ悪いけれど、印象的には好青年のイメージを持たれてるんじゃないかなあ。次男の方の印象は、多分最悪だと思うけど。

 協会側も、ボクシング人気のために、亀田興毅を日本のリングで試合させた方が得策だと思ったんじゃないかな。TBSも、興毅が内藤選手か、内藤選手と試合出来なくても、協栄ジム在籍の世界チャンピオンと、世界タイトルマッチの試合が出来れば、ゴールデンで視聴率も取れるし、亀田家に亀田ジム独立を認めてやった方が、関係者みんながより儲けに繋がる、と大人の選択をしたのだろう。

 しょせん、フェアプレイとかクリーンなスポーツマン精神とか道徳的とか、そんなきれいごとは金の力には適わないのさ。拳闘は、スポーツというよりも興行の方が上位に来る格闘技だもんね。

 

 

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船場吉兆廃業

2008年06月02日 | 時事社会ログ

 

○断腸の思いで廃業を…湯木社長むせび泣きの会見

 

        ‥ --今回なぜ廃業に追い込まれたと思うか
 湯木社長 「5月2日の使い回しの件が発覚してから、お客さまの予約状況が、これまでの約半分から3分の1くらいに減って…。そして世間様をお騒がせし、これ以上営業を続けることはかえって…」
 《声がつまり、何度も言葉の空白が出る》
 湯木社長 「社会の皆様に申し訳ないと思いまして。いろいろ励まして頂いたお客さま、おいしいとおっしゃっていただけるお客さまいらっしゃいましたが、ご迷惑をかけることができないと思い、廃業させて頂きました」
--客をなめていた、あるいは商売をなめていた、甘くみていたという部分に関して、どのように反省しているのか、今どう考えているのか
 湯木社長 「再開後は決して使い回しは絶対にしておりませんでしたので、これから頑張ってお客様に喜んで頂くと、みな従業員一生懸命再開に向けて頑張っておりましたのに。決してお客様を…。喜んで頂くように、再開を全員一致してがんばっておりました…」
--その思いが、客の信頼回復につながらなかったのはなぜと思うか
 湯木社長 「やはり使い回しということがお客様の信頼、食に対する安心安全を裏切ったということで、大きな原因だと思います」 ‥

 

○老舗のおごり・・・ 暮れに鳴り響く軍艦マーチ

 

         暮れも押し迫った12月29日深夜、船場吉兆本店の大座敷は、異様な雰囲気に包まれていた。大音量の有線放送が夜気を震わせる。それも高級料亭にはそぐわない音楽。パチンコ店でおなじみの「軍艦マーチ」だ。

 客はいない。調理用の白衣を着た従業員が一心不乱に盛り付けにあたる。「さっさとやれ」「間に合わんぞ」。社長の湯木正徳(74)が怒鳴り声を上げる。壁一面に教訓を大書きした半紙が掲げられていた。

 「船場吉兆の未来はこの年末商戦にあり。全員総力を結集して勝利の杯を重ねよう」

 毎年、大みそかまで行われる社員総出のおせち作りの風景だ。売り上げの多くを占める物販部門の中でもおせちは主力中の主力。船場は限界を超える注文を受け、ぶっ通しの徹夜作業で帳尻を合わせていたという。

   ‥ 人よりカネとモノが最優先-。それが船場吉兆の経営方針だったと、元調理人が打ち明ける。

   ‥  「倹約」に始まった船場の経営体質はやがて、期限切れ商品のラベル改竄(かいざん)や、食べ残しの使い回しすら問題視しない、行き過ぎた営利主義へつながっていく。のれんの裏側では「使えるものはすべて使う」という食品衛生の非常識がまかり通るように。それらが露呈した結果、船場吉兆は廃業を選択するしかなかった。

   ‥ ずさんな食品管理と表示偽装を繰り返した末、廃業に追い込まれた船場吉兆。・・・

 

○<船場吉兆>解雇の仲居「放り出された」

 

       相次ぐ不祥事で廃業した料亭「船場吉兆」(大阪市中央区)に解雇された仲居の30代の女性が31日、大阪市内で記者会見し、「書類1枚を渡され突然解雇を告げられ、放り出された」と訴えた。

 女性によると、同社は28日朝、従業員を集め、女将(おかみ)の湯木佐知子社長(71)が廃業を謝罪し、代理人弁護士が退職後の手続きを説明した。その後、閉店した心斎橋店の備品運びなどを命じられ、夜まで作業したという。

 

 

 僕が、この廃業ニュースを聞いて、安易に思ったのは、なら、ブランド高級料亭というのを全面的に止めて、大衆食堂化してしまえばいいのにな、という新しい発想の転換だったんだけど。

 使い回しも、高額の金をふんだくる高級料亭が、そんな、食品の使い回しなんてひどいことをやって金だけはブランド店として当たり前に取っていたら、そんなものとんでもない詐欺行為だと腹が立つが、量が多くて値段が安い大衆食堂なら、実は使い回しもやってましたと言われても、まあ、そんなものかな、と思わず納得してしまうだろう。

 ウチは、一度出した食品を使い回すという、ブランド高級料亭にあるまじき行為をやりましたので、それを恥じて、その行為に見合わせて店格を思いっきり降格させ、大衆食堂としてやり直します、と言えば世間は納得するような気がするんだけど。

 一般庶民大衆としては、高級料亭の味が安い大衆食堂で味わえると思うし、けっこう客が入りそうな気がする。つまり質よりも量に価値転換して出直し、やって行くのだ。無論、高級料亭から大衆食堂に変わった時点で、腕の良い板前さんは辞めて行くだろうが、そんなの、細かい味は、新しい客層である、比較的貧しい庶民層には解るものか。高級な味が味わえると錯覚して、庶民は大衆食堂に殺到するだろう。と思うんだけど。船場吉兆には、いかに店格が降下しても昔のノウハウは残るだろうし。立地場所も思いきって郊外に変えて、長距離トラックの運転手も立ち寄れるように大駐車場も確保する。客層は工員作業員運転手の労働者層でいいのだ。こういうふうに大転換して立ち直るのだ。良いではないか。ただし、他の吉兆ブランドからの文句は来るかも知れないが。まあ、そんなの今でもやかましく来ていて、訴訟問題にまで発展しそうだけど。

 ただ、ここで老舗のブランド高級料亭という看板を、長年持っていた、吉兆一族のプライドを捨てることが出来るかどうかだね。いろいろと背負っている、古くて頭の固い女将の代はもうリタイアして、息子や孫の若い世代で、量が多くて値段が安い、大衆食堂レストランに大幅な方向転換してやり直せば、何かうまく行きそうな気もするのだけど。ささやき女将として、ごまかしごうつく婆の、悪いイメージが定着したことだし、もう、船場吉兆の悪いイメージは爺婆が全部背負ってリタイアして、若い代から刷新してクリーンイメージを作って行く。今度は大衆食堂だから比較的簡単だ。まあ、僕がゴチャゴチャ想像しても、しょせん他人事だけどね。

 大衆レストラン化したら、規模の大きな食堂でも、仲居さんなど料亭や割烹のように人員はいらないから、それでも結局、大幅なリストラは避けられない訳だけど。このいきなり首切られた、数多い雇用されてた人たちは問題だよなあ。

 

 

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世界最速の男

2008年06月02日 | スポーツログ

 

○ボルト9秒72、男子100メートルで世界新

 

       陸上のリーボック・グランプリは31日、当地で行われ、男子100メートルで、21歳のウサイン・ボルト(ジャマイカ)が9秒72の世界新で優勝した。従来の記録はアサファ・パウエル(ジャマイカ)が昨年9月に出した9秒74。

 昨年8月の世界選手権(大阪)で100、200メートルの2冠に輝いたタイソン・ゲイ(米)は9秒85で2位。

 

 

 僕らが子供の頃は、10秒の壁と言われていたものだ。アメリカの黒人選手が9秒99とか9秒98とか出した時は、そりゃあ驚いた。その後、9秒97が出て、また驚いた。

 何ですか、今は。9秒72!?9秒72とかが出ちゃってるんだ! その前の記録が9秒74。すごい世界だね。

 ただ、思うのは、今、水泳の、例の水着の質の問題で騒いでいるけど、世界の水泳は、素っ裸で泳ぐよりも、ほとんど全身を水着で包んだ方が、ぐんと良い記録が出る。何か、もう、選手の運動能力よりも、すっぽり包む水着の材質の問題になってしまっている。

 そう考えると、陸上競技にしたって、人間の運動能力の問題ではなくて、要は、トラックの床面の素材の材質とか、走るときに履くシューズの性能に寄るものが、かなり重要になってるんじゃないんだろうか、と、どうしても思っちゃうね。

 こうやって考えると、将来、陸上シューズの底面の材質をものすごく反発力のある素材にして、ジャンプ力が今までの5倍になるとかいう運動靴を開発すれば、当然、高飛びや幅跳びの記録は飛躍的に伸び、バレーボールでもバスケットでも全然違って来る。

 こうなって来ると、何だか、オリンピックなど世界スポーツは、人間の運動能力の限界性の勝負というよりも、科学の開発の問題の方が大きくなっているように感じる。

 子供の学校の運動会の世界でさえ、親は、子供のために、トラックを左回りにスムースに走れる機能のヤツとか、いろいろと走力を高める性能を付加された、新開発の子供用陸上靴を、運動会で走る為だけに買い与えているのだという。子供陸上用高性能シューズが売れているらしい。多分、けっこう値ははるんだろうな。

 アマチュアの運動選手も企業と契約しタイアップし、コスチュームから道具から何から企業コマーシャルする。

 やはり今や、人間のあらゆる生活面と市場経済は密接になっている。人間の行う全ての営みの、どのような面でも、さらにさらにどんどん市場経済が食い込み入り込んでいる。つまり金さえ持ってれば、あらゆる願いは適う世界になって行っている。さらにさらにどんどん金の万能化が進む。

 つまり、金があるかないかでの差別化が、またどんどん進むんだよね。

 極端な話、子供世界で、昔は居た、家が貧乏でも運動会での駆けっこが一番のヒーローは、現代のおぼっちゃんが高性能のシューズを履いて走られると、負けてしまい、学業の成績も、裕福な家の子供が優秀な塾へ通えば、学校以外のところで勉強を教われない子供は、当然、負けるんだよね。

 もう、全て金の力になっちゃう訳だ。

 結局、オリンピックも世界スポーツも、市場経済の中に組み込まれている。極端な言い方と取られるかも知れないけど、アメリカ型のような市場経済は、大きな格差社会を作る。絶対市場経済の社会は金が万能になり、格差社会が固定化されてしまい、貧乏は何世代も貧乏という、階級社会を作る。

 何か、せめて、スポーツの世界は、昔、アフリカの当時貧しい国の選手が、マラソンで金メダルを取って、裸足の英雄、と呼ばれた、そういうものがいつまでも象徴的な世界として、ずうっと残って行って欲しいなあ。

 ただ、現代社会は、また別の面で、例えば、アフリカの小国に、天才的な才能を持ったアスリートが現れた場合に、アメリカやヨーロッパの企業が資金面などいろいろと援助しつつも契約選手として、自分とこ企業の経済効果を生み出そうとするだろうし、これは国家の国威発揚的ナショナリズムとは別個に、グローバルな企業主義が大きく作用する。こういう、国家という頑固な枠組みを越えた、世界スポーツのまた違う、ボーダレスという良い面が育ち、現れているということだと思う。まあ、僕はそういうことに詳しい訳ではないが、多分、グローバル経済のもたらす、そういう良い面もあるんだろうと思う。

 この間見た経済番組の特集の中で、イギリスはロンドンに、今や世界最強の資源大国となったロシアの富豪や企業を、積極的にどんどん迎え入れて、ロンドン自体が 経済的に潤おうとしている。つまり鎖国主義の真逆の、ロンドンというアングロサクソンの砦みたいな町を開放して、積極的に外国の外人の金持ちをどんどん入れて、お互いの経済効果を上げて、共に潤おうとしている訳だ。この発想は、昔は長らく鎖国主義を取り続けた島国日本にはなかなか出来ない政策だなあ、と感心して思った。日本人には国民性的に抵抗がありそう。

 いえ、世界のグローバル経済の中の世界スポーツもまた、一緒にグローバル化して行っているという話の一端で。そう感じまして。

 

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