うろ覚えライフ。

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フッテージ -Sinister -

2019年01月16日 | シネマログ
 
 

 僕は小さな頃から怖がりで、本当に生来のビビりだった。だから小学校上がる前から“幽霊”が怖くて仕方なかった。子供の頃、よく周りの大人たちや中·高生くらいの年長の少年たちから、ちょっとした“怪談話”を聞いてはメチャメチャ怖がってた。それが自分の家以外だったら全力で走って家に逃げ帰ってた。

 
 

 家の中でも誰かから幽霊の話をちょっとでも聞けば、窓の外を見るのが怖く蒲団に潜り込みたいような心境だったと思う。

 
 

 そんな怖がりの僕も、そういう面の好奇心が強かったのか、当時のテレビで怪談もののドラマがあったら、よく見てた。昔の映画の三大恐怖モンスター、ドラキュラ·狼男·フランケンシュタイン、もう一つミイラ男の映画がテレビで放映されれば必ず見た。そしていつも定番でそういう番組を見た夜中は怖くて眠れず蒲団に潜って丸くなってじっとしていた。

 
 

 そんな夜中のトイレは本当にもう大変だった。寝小便の記憶がないから多分、意を決して何とかトイレに行ってたのだろう。

 
 

 で、それは成長して青年になっても大人になっても変わらず、凄く怖がりのくせに、けっこうホラー映画が好きだ。さすがに歳喰ってからはホラー映画を見た夜中、怖くて眠れないということはない。

 
 

 でも20代くらいまではかなりの怖がりで、劇場でホラー映画を見た晩は怖くてたまらなかったと思う。20代、ワザワザ劇場まで行って怖いホラー映画はそんなには見てないが、それでも映画好きな僕は映画館で10本近くくらいはホラーを見てると思う。

 
 

 中でも怖かった3本は「サスペリア」と「遊星からの物体エックス」と「シャイニング」。まぁ「エイリアン」も怖かったけど、「遊星からの物体エックス」と「エイリアン」は怖くても基本はSF だから、夜中に眠れないということまではなかったと思う。

 
 

 「サスペリア」と「シャイニング」は怖かったなぁ。劇場出てから見なけりゃよかったと後悔した。勿論、あの2本を見た夜中は眠れなかった。最寄り駅からアパートまでの夜の帰り道、人通りがないと何かが後ろから着けて来てるんじゃないかとか、ちょっとした林があれば何かが居るんじゃないかとか思って、もう夜の寂しい通りさえ怖くてたまらなかった。蒲団に入っても映画のいろんな恐怖場面を思い出して眠れない。

 
 

 でもやっぱりね、歳取るごとに怖い怖いも少しづつ少しづつ鈍って来る。基本ビビりは違いないが、やっぱ恐怖にちょっとづつ鈍感になる。30代くらいまでは本当にホラーやサイコサスペンスは怖がってた。スプラッタは見れなかったな。残酷描写のヤツ。でも怖いモノ見たさでときどき見るんだよなぁ。

 
 

 30代後半から40代はけっこうホラー耐性ができて、90年代後半から2000年代は割りとホラー映画見てた。怖いけどけっこう好きだったカモ。

 
 
 
 

 2000年代も後半から2010年代に入ると、怖いんだけど面白がる余裕があって、怖いが楽しめた。自分にしては恐怖感がかなり鈍感になって来てた。それでも2000年代後半に見た「ヒルズハブアイズ」の1と最初の「クライモリ」は怖かった。スプラッタは自分がやられてるみたいな気分になって駄目だ。

 
 

 まぁ、歳喰って割りかし恐怖感が鈍くなってた僕だったが「フッテージ」は怖かった。その前に見た「ディセント」も怖かったが、ホラーなんだけど冒険もの感もあって、何かワクワク面白かった。だから「ディセント」は途中で見るの止めてフーッって溜め息吐くこともあんまりなく続けて見れた。

 
 

 まぁ、歳喰ってからの僕は目が悪くて1本二時間前後の映画を続けて見るのがシンドイので、何回か見るの休む。目が悪くなる以前は1本続けてダーッと一気に見れてたけど、今は駄目ですね。何度も休み休み見る。

 
 

 最近は目が悪いというのもあるけど怖い映画もね、一気に見れずに何度も休み休みしながら見てる。あー、ここから怖いシーンだなぁ、と解ると一旦止めて見るの休んだり。「ディセント」も怖かったが面白くて先が見たい感が強く、何回か止めてるけど比較的、割りと一気に見た方。冒険ホラーで怖さもあったけどね。

 
 

 「フッテージ」は怖かったなぁ。本当に怖くて何度も止めて見るの休んだ。でも怖いもの見たさでまた続き見る。でも怖いのでまた止める。やっぱり正体が解らないというのが一番怖いな。幽霊でも狼男やフランケンみたいな怪物でも殺人鬼でもないし、何なんだ!?って。

 
 

 映画邦題の「フッテージ」のフッテージ(footage )というのは、撮影されたままの未編集フィルムのコトで、このホラー映画の重要なカギです。制作時(米公開時)の原題は英語でSinister で、直訳の意味は“不吉な”や“邪悪な”という意味と、別の意味で“紋章”というのがありますね。

 
 

◆フッテージ [DVD] イーサン・ホーク (出演), ヴィンセント・ドノフリオ (出演), & 1 その他 形式: DVD

 

◆フッテージ デス・スパイラル [DVD] ジェームズ・ランソン (出演), シャニン・ソサモン (出演), & 1 その他 形式: DVD

 

 

◆THE DESCENT [DVD] シャウナ・マクドナルド (出演), ナタリー・メンドーサ (出演), & 1 その他 形式: DVD

 

◆サスペリア [Blu-ray] ジェシカ・ハーパー (出演), ステファニア・カッシーニ (出演), & 1 その他 形式: Blu-ray

 

◆シャイニング [Blu-ray] ジャック・ニコルソン (出演), シェリー・デュバル (出演), & 1 その他 形式: Blu-ray

 

 

◆恐怖のお持ち帰り ~ホラー映画監督の心霊現場蒐集譚~ (TO文庫) 文庫 – 福谷修 (著)

 

◆ホラー映画で殺されない方法 単行本(ソフトカバー) – セス・グレアム=スミス (著),

 

◆超常ホラー読本―UFO・超能力・怪奇現象のノンストップ・エンターテインメント・ガイド 単行本 – HKミステリー班

 
 

◆ぼぎわんが、来る (角川ホラー文庫) 文庫 – 澤村伊智 (著)

 

◆などらきの首 (角川ホラー文庫) 文庫 – 澤村伊智 (著)

 

◆ぼぎわんが、来る 1 (BRIDGE COMICS) コミックス – 川本 貴裕 (著), 澤村伊智 (原著)

◆ホラー映画ベスト10殺人事件 (光文社文庫) Kindle版 友成 純一 (著)

 

 

◆荒木飛呂彦の奇妙なホラー映画論 (集英社新書) 新書 – 荒木 飛呂彦 (著)

 
 
 
 

 ここからは映画のネタバレになるんですが、主人公の作家が過去に凄惨な一家殺人事件のあった屋敷に家族で移り住む。作家がその家の屋根裏でフィルム用映写機とフッテージ=何個かの映像フィルムを見つける。作家がその機械でフィルムを映写してみると、幾つもの残忍な一家強殺事件の模様が映し出されていた。

 
 

 それから作家の二人の子供や件の家の中でさまざまな異変に見舞われる。奥さんが早くこの家を出て元の家に戻ろうと、作家に再三訴えるのだが、事件のあった家の中でノンフィクションのベストセラーを書き上げたい作家は、家族で不気味な家にとどまることに固執する。

 
 

 作家は怪異に怯えながらも、8ミリなんだろうな、何本かの巻いたフィルムを映写機で全部見る。パソコンに取り込んだりコピー機で印刷しながら。一家惨殺事件は数年越しに各地で起こっていて、必ずその一家の幼い子供一人だけが行方不明になっている。

 
 

 そしてこれがこの映画のモロ·ネタバレだけど、どの事件にも映像には必ず、見えるか見えないかでおぼろに妙なマスクを被ったような怪人の顔や姿が見て取れる。また子供の落書きのようなシンプルな絵で、殺人現場の図式が映像の中にある。そこにも簡単な絵で怪人と思われる人の形が書かれている。

 
 

 そしてその簡単な人の形の絵には、その怪人を指して“ミスター·ブギー”と書いてある。映像の端っこや後方におぼろに映る怪人はミスター·ブギーというらしい。

 
 

 大ネタバレになるけど、実はどの一家惨殺事件も犯人はその後行方不明になってる、小さな子供たちだった。一家に一人、一番小さい子。他の子は殺されてる。幼い子供が大の大人や自分より年長の兄姉を殺せる訳ないけど、そこはミスター·ブギーが知恵や力を与えている。

 
 

 ミスター·ブギーは悪魔であり、幼い子たちは悪魔の使いになって、自分の家族を惨殺するという恐ろしい行為に及んでいる。

 
 

 ミスター·ブギーって多分、「ブギーマン」のことですね。

 
 

 ブギーマンって僕はよく知らなくて、アメリカのホラー映画シリーズ「ハロウィン」に出て来る殺人鬼の固有の名前だと思ってた。ジェイソンとかレザーフェイスとかフレディみたいな殺人鬼の固有の呼称だと。でも調べると「ブギーマン」は歴史的な名前なんですね。歴史的っていっておかしかったら民話的というか古来の民間伝承というか、お伽噺や伝説などの民話の中の存在なんですね。

 
 

 映画「ハロウィン」の“ブギーマン”は生身の人間の殺人鬼だけど、もともと“ブギーマン”とは古来ヨーロッパの民話的な伝説の、妖怪とか魔物、お化けのことですね。

 
 

 何ていうのかな、例えば親の言うことを聞かずに泣いたりダダをこねる子供に、親が脅すでしょ、あれを「いつまでもそういうことしてたらブギーマンが来てさらって行かれるよ」ってふうに、昔からヨーロッパでは言うんだそうです。「ブギーマン」ていう呼称はヨーロッパ各地で少しづつ違ってるみたいですが。

 
 

 日本だと「なぐ子はいねかー」の秋田のナマハゲなんか近いものがありますね。

 
 

 映画化もされた人気怪奇小説「ぼぎわんが来る」の中の魔物、“ぼぎわん”は「ブギーマン」から来た名称ですね。ネタバレになってごめんなさい。物語の中で語られる“ぼぎわん”の名前の由来は、江戸時代だったかもっと前だったか、その魔物の伝説のある土地に入った当時のヨーロッパ人たちが、その怪異のことを、多分「ブギーマン」と呼んで、それを耳にした現地の村人たちが「ぼぎわん」と呼び、それがそのまま土地の伝説として代々伝わっているという解説。

 
 

 勿論、これは「ぼぎわんが来る」の作者の小説家、澤村伊智さんのまことしやかに作り上げた創作の民話伝承です。読んでると本当かと思っちゃいますが。

 
 
コメント
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