うろ覚えライフ。

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秋葉原通り魔殺戮事件

2008年06月10日 | 時事社会ログ

 

○加藤容疑者、家族の話で号泣…本格的取り調べ開始

 

       7人が死亡、10人が負傷した東京・秋葉原の無差別殺傷事件で9日、捜査本部は加藤智大容疑者(25)の本格的な取り調べを開始した。同容疑者は落ち着いた様子で「事実をすべてお話しします」などと、素直に応じていたが、家族や生い立ちの話になると、号泣する場面もあったという。

 犯行について場面を問われたときには、後悔の念をあらわにすることもあったが、被害者に対する謝罪の言葉はないという。捜査本部では引き続き、詳しい動機の解明を進める。
 

 

○秋葉原で無差別殺傷、7人死亡 25歳男逮捕「誰でも良かった」

 

        8日午後零時半ごろ、東京都千代田区外神田3のJR秋葉原駅近くで、トラックが歩行者天国の通りに突っ込み、通行人をはねた。さらにトラックを運転していた男がサバイバルナイフで通行人らに次々と切りつけた。警察官を含む17人が刺されるなどして負傷し、7人が死亡した。

 警視庁万世橋署員が現場近くで男を取り押さえ、殺人未遂の現行犯で逮捕した。男は静岡県裾野市、職業不詳、加藤智大容疑者(25)。調べに対し、同容疑者は「人を殺すために秋葉原に来た。誰でもよかった。世の中がいやになった」と供述しているという。

 

【秋葉原通り魔事件】犯行使用のナイフとは別の刃物も所持 過去30年で被害最悪か

 

       これまでの調べでは、加藤容疑者は8日午後0時半ごろ、東京都千代田区外神田の交差点で、横断者3人程度をはねた後、10メートル走行して停車。車から降り、刃渡り約13センチのサバイバルナイフを振り回しながら交差点に戻り、歩行者天国で交通整理などにあたっていた男性警察官を刺した。警察官は制止しようとして刺されたとみられる。

 さらに近くの買い物客らを次々と刺しながら、歩行者天国を逃走したが、騒ぎを聞きつけた近くの交番の警察官ら3人が路地に追い込んで拳銃を構えるなどして刃物を捨てるように指示し、取り押さえたという。

 ‥ 捜査1課は目撃者などから聴取。通り魔事件としては過去30年で最悪の被害とみられており、一連の犯行の詳細を調べている。

 

 

 もう、いよいよ、ここまで来たのか。という感じだね。恐怖と、そして‥絶望。

 「津山30人殺し」という、伝説的な事件がある。もう随分昔、1938年、太平洋戦争前に起きた、単独犯による大量殺人事件だ。横溝正史の「八つ墓村」や島田荘司の「龍臥亭事件」など、いくつかのスリラーミステリ小説の、モデルや題材にされている、伝説的な大量殺戮事件だ。

 今回のこの秋葉原の事件は、もう、この伝説になっている大昔の殺戮事件と同じではないか。この日、6月8日は、調度、7年前に宅間守が大阪の池田小学校で児童を無差別に襲撃、子供が8人も殺された、あの忌まわしい事件と同じ日になるんですね。

 今回の秋葉原通り魔事件の犯人、加藤智大がもしも、何かの方法で何かの伝手で、拳銃を手に入れるようなことがあっていたなら、これは多分、伝説の「津山30人殺し」のような大型の惨事になっていたろう、と思う。

 もうね、数々のミステリのモデルにされるような伝説の事件と、同じような殺戮事件が、今は、日常の中でごく普通に起こる時代なのだ。

 今年3月の、茨城土浦の駅構内での無差別襲撃事件。男子高校生が品川区の商店街で無差別に切りつけて行く事件があったが、あれは今年の1月か。池袋の、ハンマーと包丁で襲撃した、通り魔事件はいつだったっけか。あれはもう何年も前なんだっけか。

 この間、ニュースで聞いた、登校中の学童が自分を指して笑ったと勘違いして、自動車で児童の列に突っ込んだ事件も、被害者に死人は出ていないが、似たようなものに思える。また、だいぶ前の事件になるが、長崎佐世保のスポーツ施設内プールでの銃乱射殺人事件の自害した犯人も、何だか似たようなものを感じる。今年の春頃だっけか、岡山で、まだ18歳くらいの少年がホームから人を突き落とした事件。

 何か、激しい恨み心を抱いて、憎悪した相手を襲撃する、というのは解る気がするが、こういった、全く関係の無い人々を無差別に殺す、殺戮する、というのはちょっと僕には解らない、というか、信じられないくらいの驚きで、ここからは遠く離れた都会の繁華街の他人の話でも、怒りさえ感じるし、また、TVで殺された被害者の人たちのことが流れると、涙さえ出そうになるくらい悲しくもある。亡くなった被害者の人たちには19歳や21歳といった若い人たちも多くて、これから先の未来ある若者たちなのに、本当にその人生が若さがもったいない。

 加害者の加藤は、何か大きな悩みを抱えていたのかも知れないが、被害者の人たちも多分、それぞれにそれなりの悩みやあるいは障壁のようなものを持っていたに違いない。その時点でなければ、過去にはきっと、何らかの人生の大きな障害に当たって来て、それに苦しんだり何とか乗り越えたりした経験もあるだろう。人間一人、人生を生き抜いて行く道のりには。この世の中では殺人者・加藤だけが悩みを持って苦しんでいる訳ではないのだ。

 こういう関係の無い一般市民を殺戮して回って、他人の人生を奪っていったい何になるのだろう。この男に直接、被害を与えたか、あるいはこの男が苦悩する要因を作った相手に復讐するのなら、まだ解る気もするが、ひょっとしたら被害者たちの中にも、加藤と同じような似たような悩みや不満を持っていた人間も居たのかも知れないではないか。居なかったかも知れないが、これは人間の想像力の欠如である。

 先ず僕がトチ狂っても、何の関係性も無い無差別殺人は絶対にやらないが、例えば、僕を苦しめ続けた相手に対しては憎悪のような感情を抱き、復讐したいと思うかも知れない。でも決行するかどうかは、やはりいろいろなことを想像する。その、恨みを覚える相手に小さな女の娘の子供でもいたら、それはためらい考え込むだろう。それが想像力というものだ。

 しかしこの無差別殺人はひどい。もうこれは人間じゃない。逆に、この加藤が、繁華街に居合わた被害者の方で、即死させられずに、刺し傷で一生を障害者で過ごす不具者にされていたら、犯人とは何の関係性もない重大な被害に納得できるだろうか。

 何かで読んだのだが、人間はなかなか人間を殺せないように、もう遺伝子レベルからプログラムされている。というか、この学説は、同種の動物が同種の動物を殺さないようにプログラムされて生まれている、という話なのだが、例えばアメリカなどの軍隊では、最終的にこの人間の持つ人を殺せない、という精神構造を取り除く訓練を行うんだそうだ。アメリカの軍隊の訓練中では優秀な成績を上げた兵士でも、いざ戦地へ行って最前線で敵兵とはいえ人を殺すとなると、なかなか思うような戦果が上げられない。だから、軍の中枢は、自分とこの兵士の、人を殺せない、という人間性を壊してしまう訓練に苦心する。そうして、精神的にカタワにされた兵士が、最前線へと送られる。帰還兵がアタマがおかしくなる訳だわな。

 最近の、この日本でも増加しているように思われる、無差別殺傷事件を考えると、何かこの、人間性という精神構造が、ごく日常の中でもう壊れている人が増えているような気がする。困った話だなあ。

 こういう無差別被害者事件の後で、想像力の欠如という話はよく出ていることだが、こういう狂気の犯人たちが、絶望感を思った時に、考えることを止めてしまっているのだろうか。今の自分の絶望は何故起こったのか?いったい誰のせいか?何のせいか?ということは考えようとしないのだろうか?事細かに分析して行って、原因を究明しようという思考はもう起こさないのだろうか?無差別殺戮とは全く、究極の八つ当たりだ。

 殺害された被害者の中に一人、女性が居たが、日比谷高から国立東京芸大へ進み、音楽関係に就職もほぼ決まっていたのだという。この女学生さんはアルバイトのキャンペーン嬢をして某店内に居たが、人が刺されたと聞いて逃げようとせずに、現場に出て来たために被害に合って人生を奪われた。TVの話だと多分、刺された人を介抱しようとして出て来て殺害されたのだろう、ということだ。本当にもったいない。アタマも良くて才能もあり、人間性としての優しさもいっぱい持っていた、これからという未来のある命だ。

 殺人鬼・加藤は、地方の、卒業生の先輩に古くは太宰治寺山修二も居るという、県下でも有数の進学校を出て、関東(中部・岐阜)の短大か専門学校かに進み、そこを出ながらも派遣会社にしか就職できず、いつ勤務先で首を切られるか解らず保障も無い派遣会社に籍を置いて、仕事は真面目に勤めていたという。

 ここまでの度外れた凶行は、例えどんな理由があろうと許されることは、全く無いが、優秀な高校を出て短大を出ても、派遣会社にしか就職が出来ないという、若者の仕事状況の現実は、かなり大きな問題だと言えると思う。この厳しい現実の格差社会を作った、小泉元首相を初めとするこの国の支配層は、こういう惨劇が相次いで起こっている、この自分らが道筋を作った社会の、現実の大きな問題をよく噛み締めて考えるべきだ。

 

  


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