大阪府寝屋川市立中3年の男子生徒(14)に暴行し、鼻の骨を折るけがを負わせるなどしたとして、寝屋川署は25日、同級生の少年3人(いずれも15歳)を傷害や暴力行為等処罰法違反容疑で逮捕、中学2年の男子2人(いずれも13歳)を同法違反の非行事実で児童相談所に通告した、と発表した。
発表では、少年のうち1人は5月28日午後、教室と同市内の神社で生徒の顔を殴るなどし、鼻の骨を折るなどのけがをさせた疑い。また5人で共謀し、5月20日午前1時25分頃、市内の公園で生徒を羽交い締めにし、頭頂部の髪の毛をライターの火で焼く暴行を加えたとされる。その様子を携帯電話で動画撮影していたといい、少年らは「おもしろ半分でやっていた」と話しているという。
大津市で昨年10月、市立中学2年の男子生徒が自殺した問題で、滋賀県警は25日、男子生徒が通っていた中学校の生徒らへの聞き取りを26日から始めると発表した。
県警によると、聞き取りについては、県警側がそれぞれ生徒側に日時を打診し、できる限り保護者立ち会いのもと行うという。面会場所は自宅など、生徒側の意向を踏まえて決める。希望があれば、少年課・少年サポートセンターの女性相談員を同席させるなど、心理的負担の緩和に努めたいとしている。
○大津市の中学校で起きたいじめの加害者の実名をさらす行為は違法性があるのか
滋賀県大津市の市立中学校に通っていた男子生徒がいじめによって自殺した問題で、いじめの加害者とされる生徒の実名がインターネット上にさらされている。加害者とされる生徒の実名が特定されるきっかけになったのは7月6日にテレビで放送された報道番組で、亡くなった男子生徒の遺族が準備を進めていた損害賠償訴訟の書類が画面に映し出された際に、黒塗りされていた加害者とされる生徒の名前の部分が、うっすらとだが透けて見える状態になっていたことだ。
かねてより亡くなった生徒が受けていたいじめの悪質極まりない実態が報道されるにつけ、インターネットの掲示板サイトでは加害者生徒を特定しようとする動きが見られていたが、今回の報道番組によってついに特定されたとして、その生徒の名前がインターネット上で広く拡散されることになった。
しかし、いじめの加害者とされる生徒の実名をインターネット上にさらす行為は法的に問題がないのだろうか。もし、その動機が正義感によるものだとしても、心情的には理解できるが、法的に問題があれば実名をさらした者は何かしらのペナルティを受けてしまうことになりかねない。本橋一樹弁護士に見解を聞いた。
●名誉毀損罪と侮辱罪にはあたらない?
「インターネットは不特定多数人が接続可能なので、いじめの加害者の実名をさらした場合、名誉毀損罪に問われる可能性があります。但し、名誉毀損罪が成立するためには、具体的に人の評価を低下させるに足りる事実を告げる必要があるので、具体的な事実を告げず、『実名を書き込んだ』というだけでは、名誉毀損罪は成立しないでしょう。」
「なお、『いじめ』という抽象的単語と実名の書き込みだけの場合は、事実を摘示しないで公然と人を侮辱したものとして、侮辱罪が成立する可能性があります。もっとも、本件はこれだけ頻繁に世間に報道されておりますので、『いじめ』行為の具体的内容をいちいち書き込まなくても、それが大津市の中学校で実際に起きたであろういじめ行為を容易に推測・認識させ、その加害者を特定して実名をさらしていると判断されてしまうことがあるかもしれません。」
「こうなると、再び名誉棄損罪の成立の可能性が出てきます。しかしながら、今回の事件では、暴行・恐喝等の容疑で既に捜査が開始されているとのことであり、かかる公訴の提起されていない人(加害者が刑事未成年である14歳未満ではないことが前提)の犯罪行為に関する事実は、『公共の利害に関する事実』と見做されるので、インターネットへの書き込みが、もっぱら公益を図る目的に出たものと認められ、かつ、いじめの具体的事実を立証できれば、違法性が阻却され、罰せられないことになっています。」
「もっとも、インターネットへの実名の書き込みが、『公益を図る目的でなされたか』というと、裁判所はそのような認定を果してするかどうか、疑問もあります。なかなか難しいですよね。」
●損害賠償責任を負う可能性が
「次に、民事上の不法行為に基づく損害賠償責任を負う可能性もあります。名誉が一般不法行為の保護法益となることについては争いがなく、故意または過失により、他人の名誉を毀損した場合には、被害者は加害者に対して、損害賠償請求ができます。」
「この場合は、実名を書き込んだだけでも、前後の書き込み等から、実質的にいじめの加害者であることを指摘しているものと判断されれば、名誉が毀損されたとして、損害賠償請求をされる可能性があるでしょう。なお、財産的損害についての賠償請求も可能ですが、名誉毀損との間の相当因果関係の立証が困難であるため、精神的損害に対する賠償請求の方が認められやすいと言えます。」
●違法性はあるが、再調査の実現に繋がったと見る向きも
今回の事件については、インターネット上で加害者生徒や中学校側、あるいは教育委員会などに対する非難が高まったことが事件の再調査に繋がった側面もあると考えられ、もしこのような世論の高まりがなければ事件に対する追及もなかったのではという見方があるが、あくまで法的には加害者とされる生徒の実名をさらす行為には違法性があるということになる。
直接の当事者でない一般の人々がこのような違法性のリスクを伴う行為をしなければ真実が明らかにならないというのは言うまでもなくおかしなことであり、捜査関係者の対応には大きな疑問が残るが、とにかく今後は再調査や裁判を通じ、事件の全容が解明されることを願いたい。
取材協力弁護士
「苛めはなくならない」とは世の文化人もタレントもその辺の大人たちも、みんな言いますけど、本当になくせないのか?? 小学校、中学校、高校の「苛め」を無くしてしまう、というコトは本当に無理なコトなんだろうか? 絶対になくせないものか? システム的に何とか無くすことはできるんじゃないのかなあ。学校の全教職員と教育委員会の全面々の意識で。「苛めを起こさない」という強い意識を持つ。何よりも学校の仕事として、それが優先すれば‥、なくなりそうな気もするんですけど。苛め。しかし、モンスターペアレント的な保護者とか居るしなあ‥。やっぱり学校の先生に大きな権限を持たせないと駄目ですね。子供の人権を変なふうに尊重し過ぎるのもどうかと思うので、「監視カメラ」も良いと思うんだけど。しかし、女子トイレや女子ロッカーの中の監視カメラとかだと、また変態先生とか出て来るんだろうからなあ。やっぱ権限を持った教師と保護者の「苛めは許されない」という強い意識だなあ。何とかシステムも考えてもらいたい。しかし、昭和の時代を生きた者としては、「苛めに合う」ということも人生の成長期の一つの試練、だという気もしなくもないんだけど。何とか打開しようと必死に考えるし、若い日に辛い目に合うというのも、また一つの人生経験だし‥。しかし現実問題として、「苛め」で死者が出るのは大変な問題だ。やっぱり、学校の中を、いろんな意味で、変えないとなあ‥。保護者の責任が大きい、って言うけど、保護者もいろいろ居るし、イイ大人の保護者の教育なんて出来ないだろう。受ける保護者も出て来ないだろうし、またそういうことやる機関も施設もない。為政者側の意識は、「常識」の範疇だろうからなあ。子供の年齢別に段階的に手取り足取り仔細に書き込んだ、「子育てマニュアル」を国や都道府県が配布するとか、結婚したら一度、一定期間「子供の育て方」教育を受けて貰う、とか‥。国民が幼稚になればなるほど馬鹿になればなるほど国家は社会主義にならなければならない。みんな利口でよく解ってたら、個々に任せとけば良いけど。