旅限無(りょげむ)

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米国の腐臭 其の壱

2009-03-23 08:39:49 | 外交・情勢(アメリカ)
■米国のオバマ大統領が支持率を下げているそうです。就任当初から根拠のない期待感が過熱しているとの懸念がありましたから、誰がどんな理由で選んだかさっぱり分からない日本の総理大臣の支持率低下とは事情がまったく違うのでしょうが、前政権が全世界に見せ付けた米国の暗部とダメさ加減はまだまだ長い尾を引いておりますから、その後始末を一身に負う新大統領の苦労は始まったばかりであります。
 
■今月上旬にNHKが放送した『未来への提言』というインタヴュー番組にエマニュエル・トッド氏が登場しまして、現代世界の諸問題に関して実にてきぱきと的確なコメントをしておりましたなあ。無駄な話は一切なし。日本にとっての最大の問題は「人口問題」なのだと痛い指摘をしたトッド氏は、米国が抱える最大の問題は「教育問題」だということになるのだそうです。日本の人口問題は右肩上がりの高度成長期が忘れられない自由民主党という生きた化石みたいな政党と徒党を組んだ官僚が、好き勝手に統計数値を曲解して「明るい未来」を偽造し続けた結果の世界第一位の早さで進む少子高齢化現象。ソ連崩壊を人口調査のデータだけから予想して的中させたトッド氏から見れば、この先の日本が経験する恐ろしい苦難が分かるのでしょう。

■ずっと前からさまざまな兆候があったのに、「日本は何をしていたのでしょう?」と冷笑的に政府が大失敗した過去を思い出せながら、近い将来に関しては「移民に関する無知と臆病さ」を指摘しておりました。今のオバマ政権が前のアホ政権の負債を背負って苦闘しているように、日本でも万が一にも政権交代などが起こったら、半世紀以上にも亘って自民党が積み上げた負の遺産を継承しなければなりません。中でも田中角栄さんが猛烈な勢いで作り上げた政治システムを「ぶっ壊す」のは大仕事でありましょう。

■さてさて、トッド氏が指摘した米国が抱える最大の問題の方ですが、彼が言うには「優秀な人材が弁護士業か金融業に集中する」今の米国を作り上げたのは独特な教育システムに原因があることになります。技術分野や製造業には人材が集まらず、文化芸術分野も金儲け主義に走って空洞化している米国が変わるためには、教育システムを根本的に改善しなければならないそうで、それには100年くらいのスパンで取り組む必要がありそうだとか……。バブル後の日本が経験した「失われた10年」に対する再評価が始まっているそうですが、トッド氏の予感が当っているのなら米国は「失われた100年」を過ごさねばならないかも?

■ここから、世にも恥ずかしい米国発のボーナス騒動のお話です。


米政府の救済を受けた保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)が幹部へ高額な賞与を支払った問題に怒ったコネティカット州の小政党では、同州内のAIG幹部の邸宅を回るバスツアーを計画している。コネティカット・ワーキング・ファミリーズ党は、ウェブサイトで「われわれ全員がAIGに怒っている」とメッセージを掲載。その上で「裕福で恥ずべき人々のライフスタイル」と名付けられたバスツアーへの参加を呼びかけている。同ツアーは21日に催行予定で、集合場所はコネティカット州ウィルトンの同党本部となっている。……賞与を受け取った従業員の間からは身の危険を案じる声も出ており、一部の幹部は殺害をほのめかす脅迫状を受け取ったという。同党の広報担当者は、バスツアーでどの幹部宅を訪ねるかについては言及していない。同ツアーの催行予定人数は約50人。……
2009年3月22日 ロイター

■ツアー参加者の持ち物は、水筒・弁当に御菓子は300円以内で……という小学校の遠足みたいな事にはならないにしても、お国柄で自動小銃や散弾銃、巨大なサバイバル・ナイフや手榴弾などは「持って来てはいけない物」に指定されそうですなあ。それにしましても、怒りの表わし方が直截な上に幼稚です。ツアーに参加するくらいに熱心に怒っている人なら、豪勢な邸宅を前にしたら投石や唾棄ぐらいはするでしょうし、ネット社会ですからグーグル地図とデジタル写真を組み合わせて詳しい場所を世界中に発信する人も出て来そうです。標的にされる方とは生きた心地もしないでしょうなあ。まさかGPSを利用して手製の無人爆撃機を飛ばすようなマニアまでは出て来ないとは思いますが……。


(CNN)米政府の資金注入を受け公的管理下にある保険大手AIGの一部幹部社員が高額ボーナスを得ていた問題で、全米の20州の司法当局が調査を開始したことが20日判明した。コネティカット州ではAIGのリディ最高経営責任者(CEO)と役員11人に召喚状を送る方針。召喚状は州の消費者保護関連法案に基づく。ボーナスを得た社員リスト、関連契約書類の提出や注入された税金がボーナスに使われたのかの事実確認などを求めている。同州の司法当局者は、税金を使って再建されている企業の従業員はボーナスの詳細を示す法的、倫理的義務があると主張している。同州にはAIGの従業員多数が居住しているという。

■なるほど、前のニュースがコネチカット州発だったのは「従業員多数」が住んでいるからなのですなあ。でも、高額所得者も多いはずですから住民税やら地元の諸団体に対する寄付行為など、感謝されてもよい事もしていたのではないでしょうか?まさか所得を丸ごとカリブ海のペーパーカンパニーに避難させ、あれこれ帳簿をいじくって借金塗れにして税金逃れを画策していたわけでもありますまいに?!


……ニューヨーク州司法当局が調査を始め、ボーナスを獲得した社員リストも入手している。ニュージャージー州のミルグラム司法長官は金融危機の引き金をひいたAIGの社員がボーナスを得ていたのかを調べたいと指摘した。ボーナスの受領者の一覧などをAIGに要求、5日以内の回答を求めた。この要請に多くの他州の司法当局も加わったという。……
2009年3月21日 CNN.co.jp

■もはや完全な「犯罪者」扱いであります。日本でもインサイダー取引で逮捕された村上某氏が「金儲けは悪いことなのか?」と開き直って虚しい暴言を吐いて見せたことがありましたが、今の米国で同じ事を公言するのは文字通り命懸けなのでしょうなあ。しかし、巨額なボーナスを受け取った!と憎悪の的になっている人達が行った本当の悪事は高額な所得を得たことではなくて世界の金融システムを崩壊させたことのはずなのですが……。米国人の怒りは単純過ぎませんかな?

言った、言わない、記憶に無い 其の壱拾四

2009-03-18 17:37:26 | 政治
……東北の建設業界に詳しい国会議員秘書は「ゼネコン汚職後に水面下で談合は復活したが、業界では教訓として、わいろによる受注工作は行わなくなった」と前置きし、こう話す。「代わりに頼ったのが小沢氏の影響力だ。依然として大手ゼネコン支店幹部が談合を仕切るが、その後に小沢氏の元秘書の了承を得て、受注額に応じて小沢氏側への献金額が決まる。つまり、裏のわいろが表の献金に変わったわけだ」捜査関係者の話では、小沢氏側が18年まで、多数のゼネコンから年間総額2億円の資金を集めていた疑いが強いことが分かっている。そのうちの多くが、東北地方を中心とした下請け業者側をダミーにした献金やパーティー券の購入だったとみられている。ある下請け業者は「献金の入金が遅れると、小沢氏の元秘書から『早く振り込め』と催促された」と証言した。

■これまで多くのマスコミが「小沢王国」という慣用句を愛用し、「選挙に強い小沢」というフレーズも多用していたのですから、小沢クラッシャー代表だけが持つ特殊な政治力の存在をずっと前から知っていたということになります。その力の源泉と構造については何も報道せず、「王国」なる前近代的な用語を慣用していた姿勢は問題にされるべきでしょうなあ。自民党を飛び出してから、長年の野党暮らしをしているとは言っても、田中派を割って竹下派、そこから飛び出してからは新党濫造を繰り返し、常に政局の中心近くに君臨し続けている本当の理由は何なのか?

■そこには一歩も踏み込まずに世論調査の結果などに悪乗りして、「政権交代は間近!」と書き立てたかと思えば、「民主党分裂!」と見も蓋もない観測記事を垂れ流し、東京地検の特捜部が動いたら「検察の正義」に威を借りて、これまでの迷走報道をチャラにできるからなのか?「小沢辞任!」と書き立てております。新聞やテレビの報道を鵜呑みにしていたら、大切なことがまったく見えなくなるという典型的な例がまた一つ増えたということなのでしょうなあ。

■「選挙に強い小沢」というフレーズの裏側に、田中角栄さんが作り上げた地方の公共事業を食い物にする「談合」と「献金」と「選挙」という公金還流システムが生き残っている可能性はあったのに、それを調べもしないで表面的な「政権交代」騒動を煽り立て、「天下り」を中心とした「官僚叩き」に偏重して行ったのも、政治に対する国民の信頼を回復させるのには逆効果だったかも知れません。

■一説には12兆円もの税金が天下り役人を養うために毎年浪費されているという話もありますが、減ったとは言え莫大な公共事業の予算が都市部から地方へ還流してる構造は変わっておらず、そこに選挙の「地盤」と称する縄張りを持つ地元議員が、大昔の地頭か山賊の頭(かしら)のように目の前を通過する公金から何がしかの物を抜き取るシステムが二世・三世議員の封建領地と化した地方には隠然と存在している限り、公共事業予算は際限も無く水膨れして政治腐敗の元凶であり続けるのでしょうなあ。

■細川政権という奇妙な野合政権が誕生させた小沢さんは、短命だった政権なのに「小選挙区制」と「政党助成金」の両制度を遺産として残しました。これは『政治改革4法案』の二本柱となる制度改革なのですが、どうやら本当の発案者は田中角栄さんだった可能性が高いような気がします。昨日、小沢クラッシャー代表の記者会見の内容には、御本人が目指した「政治改革」と、自分の政治力の源泉となっている地方に根深く残っている公共事業の談合構造という、新旧二つの政治課題に引き裂かれてしまった宿命的なものがあったように思えます。

■自らの進退と政治献金問題を絡めて語る小沢代表の立場は、一見、盗っ人猛々しい開き直った不遜なようにも思えますし、主張内容は矛盾の塊のようでもあります。しかし、これまでの歴史的な経緯を考えますと、小沢代表だからこそ語れた話だったとも言えそうです。政権与党ではないのですから、絵に描いたような「職務権限」を乱用した受託収賄は成立しそうもない野党暮らしをしている間も、自分の秘書たちには「口利きはするな」と厳命していたという元側近の証言が『週刊文春』3月19日号に載っています。どうやら、請託を受けた職務権限を持っている公人が犯す受託収賄罪は成立しないという絶対の自信が大学院法学部出身の小沢代表にはあったようです。

言った、言わない、記憶に無い 其の壱拾参

2009-03-17 18:26:24 | 政治
……「(献金は)ダムや空港など東北地方の公共工事の受注のためだった」ダミーの政治団体を使った小沢氏側への迂回献金が、平成18年までの12年間で2億円近くにのぼった西松建設。捜査関係者によると、西松前社長の国沢幹雄容疑者(70)ら西松の関係者は特捜部の調べに、“実弾”の趣旨についてそう供述しているという。……5~6年に建設相や宮城県知事、仙台市長らが、大手ゼネコン幹部らとともに摘発されたゼネコン汚職事件……。ゼネコン側が、公共工事をめぐる、いわゆる“天の声”を期待して政治家にわいろを渡すという「政・業」の癒着構造……事件の背景には、東北地方の強固な談合体質とその変質があったといわれている。

■長野県、和歌山県、大分県などの地名も出て来ているのですから、取り立てて「東北地方」だけを異界のように扱うのは如何なものでしょうなあ。北海道や沖縄あたりも、相当に怪しい話が転がっているようですし、群馬県なども……。


……「東北では古くから大手ゼネコンの支店幹部が談合の仕切り役となって業界をまとめ、うまみのある大規模工事は大手が独占していた。西松などの後発組は、それが不満で発注権限を持つ地方首長らにわいろを渡すようになり、強固だった談合組織に亀裂が入った」西松関係者によると、ゼネコン汚職後、西松が頼ったのが、自民党を離党したばかりの小沢氏だった。……自民党元副総裁の故金丸信氏の存在がある。金丸氏は竹下派七奉行の中でも、小沢氏を特に重用。金丸氏の次男が西松元社長の娘と結婚しており、「金丸氏から西松を託されたのが小沢氏だった」(西松関係者)という。

■古くは佐藤派から分離独立したのが田中派で、そこから分かれたのが竹下派、田中角栄さんは早世した息子と同年齢だった小沢一郎さんを事の外可愛がっていたのは有名な話ですが、田中首相が金権政治を批判されて辞任して再起を狙うようになってからは、総裁候補を持たない巨大派閥となって他の派閥から4代の首相を担ぎ出しているのに倦んだ連中が竹下総理を実現する為に決起したという流れがありました。竹下派の大番頭だった金丸さんが暗躍して田中金脈の基盤となっていた建設業界ネットワークを根こそぎ奪ったという話もありまして、それを小沢一郎さんが継承したという事なのでしょうなあ。


建設業界に君臨した故田中角栄元首相の秘蔵っ子とも呼ばれた小沢氏は、自民党を出た後も、東北地方の建設業界に影響力を持ち続けてきたとされる。西松はこのころ、ダミーの政治団体を使った小沢氏側への迂回献金を始めた。 「○○(大手ゼネコン)さんからは、これくらいの献金を受けている。西松さんも、もっと増やすことはできないのか」小沢氏側の窓口は、小沢氏の「側近中の側近」といわれた元秘書だったとされる。西松は元秘書と、年間2500万円程度を献金する約束を取り交わした。献金先を指示されるなど、元秘書の“言いなり”だった。

■現在、厳しい取調べを受けている第一秘書が何かを証言したというリーク情報は見当たらないので、頑として口を割っていないのでしょう。一説にはこの年度末に東京地検特捜部は、他の地方から多数の検事を動員しているという話もあるようです。人海戦術を使って何を調べるのでしょう?

言った、言わない、記憶に無い 其の壱拾弐

2009-03-17 07:49:33 | 政治
民主党の小沢一郎代表の公設第1秘書が政治資金規正法違反容疑で逮捕されたことについては「コメントしない。パーティー券購入と政治資金提供は、ちょっと異なる」と述べるにとどめた。
2009年3月5日 産経ニュース

■飽くまでも小沢ケースと同列には扱われたくない!という態度が明らかです。しかし、どちらも同じダミー団体から資金を提供されていますし、どうやらダム建設の受注を目的とした献金だったことも共通していると思われるのですが……。


小沢一郎民主党代表の資金管理団体「陸山会」の政治資金規正法違反事件で、西松建設側が東京地検特捜部の事情聴取に、「ダム工事受注のため複数の政治家側に献金などをした」という趣旨の供述をしていることが14日、捜査関係者の話で分かった。西松は、小沢氏の地元・岩手県の胆沢(いさわ)ダム工事受注をめぐって小沢氏側に口利きを依頼していた疑いが浮上しているが、西松関係者などによると、献金の目的とされるダム工事には、長野県の浅川ダムや大分県の久木野尾(くぎのお)ダムが含まれていたとみられる。

■新たな証言が得られると即座に報道機関に流す手際の良さには感心しますが、身柄を拘束されていて外部と接触できない状態に置かれている人間が何を言ったのか?実際には誰にも現時点では分からないのですが、何故か「正義の味方」の検察から出て来る話は基本的に本当だと暗黙の内に前提されているのは無気味です。とは言っても、こうして岩手県と長野県の「ダム工事」を受注することが献金の目的だった可能性は高くなっていますから、小沢代表のみを血祭りに上げれば事が済むとは思えませんなあ。


……さらに、「各地のダム工事受注を期待して、国会議員や自治体の首長など複数の政治家側に献金やパーティー券購入をした」との趣旨の供述をしていることが新たに判明した。……西松は平成17年10月、大分県の広瀬勝貞知事を支援する団体が開いた政治資金パーティーで計100万円分を購入。その2カ月後に、他社との共同企業体(JV)で県発注の久木野尾ダムの工事を約45億円で落札した。また、長野県の村井仁知事の衆院議員時代の秘書だった県の参事が2月、特捜部の事情聴取を受けた後、自殺した。検察関係者によると、村井氏が当選した18年の知事選前、西松から村井氏側にヤミ献金が渡った疑いがあることから、聴取は行われたという。……ヤミ献金は、前任の田中康夫知事の「脱ダム宣言」で中止になった浅川ダムの工事計画の復活を見込んだものだった疑いがある。

■やっぱり、長野県で起こった政権交代の衝撃が建設会社を吸い寄せていたとしか考えられません。自民党の国会議員に加えてあちこちの地方自治体の首長たちにばら撒かれた西松建設からの政治資金のすべてを洗い直さねば、検察側の正義は揺らぎそうですなあ。


西松は伝統的に土木事業を得意としており……平成19年までに全国で21のダムを完成させている。昭和55年には、二階俊博経済産業相の地元・和歌山県の椿山(つばやま)ダムの工事を他社とのJVで受注。西松OBによると、この工事を契機に、西松は二階氏への支援を始めたという。二階氏は当時、県議だった。二階氏側は、西松にパーティー券を購入させるなどしていた。産経新聞の取材に、大分県知事室は「知事は西松から工事受注のための働きかけを受けたことはない」、長野県秘書課は「西松から知事への働きかけなどはない」としている。
2009年3月15日 産経新聞

■小沢代表も「働きかけ」を否定しているのですから、二階さんや長野県知事などの証言との違いを際立たせる決定的な事実を示さなければ、検察の権威は地に落ちるかも知れません。

言った、言わない、記憶に無い 其の壱拾壱

2009-03-17 07:49:00 | 政治
県建設部によると、西松建設が県発注の工事を行ったのは記録が残る平成5年以降、14年までに7件あり、いずれも共同企業体としての受注だった。村井知事当選後の受注はないという。
2009.2月27日 産経ニュース

■田中県政は2000年(平成12年)から2006年(平成18年)の間ですから、産経ニュースが調査した記録の最後の2年間は時期が重なります。村井県政が始まってから3年が経過していますから、その間に受注が無かったのは「脱ダム宣言」の効果がまだ残っているからかも知れません。


……主なゼネコン9社の東北地方における過去5年間の公共工事の請負状況を読売新聞が集計したところ、西松建設の請負額は計約390億円で3位に……。同社は売上高ベースで9社のうちの下位に位置している。……前田建設工業(約498億円)、鹿島(約478億円)に次いで3位だった。……東北では、鹿島を除く大成建設、清水建設、大林組の大手3社をしのいでいた。西松建設はこの5年間で、岩手県の胆沢ダム(約47億円)のほか、秋田県の森吉山ダム、山形県の長井ダム、宮城県の長沼ダムなどの本体工事や関連工事を、幹事社を務める共同企業体(JV)で請け負った。特にダム工事が目立った05年度では、同社の東北地方における土木工事の請負額は、全国の3割近くを占めた。

■もう一度確認しておきますが、長野県知事選挙で村井さんが当選したのは2006年でした。その時期に脱「脱ダム宣言」を期待して大小のゼネコンが村井知事に献金し、以前から長野県の「共同企業体」に食い込んでいた西松建設が、田中県政時代の「脱ダム宣言」に追われるように東北地方に進出して更なる実績を積み、村井県政が始まるのに合わせて長野県に再び食い込もうとしたようにも見えますなあ。


……ゼネコン各社は、小沢事務所の影響力を期待して、下請け業者などを使って、小沢代表側に年間1000万円程度の献金などをしていたが、西松建設はこれとは別に、ダミーの政治団体を経由して年間1500万円程度を献金していた。ダミー団体経由の献金は、ライバル社に気付かれないようにする狙いもあったとされる。東北地方の地元大手業者は、「かつて西松建設は弱かったが、ここ10年で工事の受注が目立つようになった」と指摘している。
2009年3月16日 読売新聞

■表の政治献金と外為法を破って運んだ裏金を使って「裏献金」をしていた西松建設が、小沢代表には1500万円、村井知事には1000万円を違法に渡していたのなら、検察としては金額のバランスも申し分が無いところだったでしょう。小物の方を先に着手して大物は解散総選挙の日程がはっきりする直前に逮捕する計画だったのかも知れませんが、小物の秘書が自殺してしまったことで検察はパニックになって小沢代表の秘書を逮捕せざるを得なくなったというのが『週刊文春』の読み。


長野県の村井仁知事は5日の県議会一般質問で、準大手ゼネコン西松建設(東京)関連の政治団体が購入した自身の政治資金パーティー券の代金について「政治資金規正法上、適切に処理している。返還すべきとは認識していない」として、現時点で返還する考えのないことを明らかにした。西松建設OBが代表だった「新政治問題研究会」は平成17年7月、自民党衆院議員だった村井氏のパーティー券20万円分を購入した。

■「死人に口無し」とは申しますが、政治資金の全貌を詳細に知っている重要人物が自ら命を絶ったことで、村井知事の「適切に処理」という発言を崩すのは不可能なのでしょう。長野県を舞台とした献金疑惑に関する検察側からのリークはまったくありません。一方の小沢代表に懸けられた疑惑に関しては集中豪雨のように真偽不明の情報が乱れ飛んでおります。例の漆間官房副長官から飛び出した「自民党には波及しない」発言の根拠は、小沢側には多額の現金が流れ、自民党の議員はパーティー券を買って貰っているという違いと、突出した金額にあったようですが、村井長野県知事も「パーティ券」に守られているわけですなあ。でも、検察が追求しようとしていたのは裏側で流れた「1000万円の現金」だったのですが……。

言った、言わない、記憶に無い 其の壱拾

2009-03-16 23:51:26 | 政治
■同じ長野県出身で総理大臣にもなった羽田孜さんと一緒に自民党・新生党・新進党と渡り歩いた後で自民党に復党した村井知事は、小沢クラッシャー代表とも行動を共にしていたことになります。復党してからは「改革の本丸」の郵政民営化を推進するために党の郵政民営化推進委員会の役員として活躍。それが突如として「民業圧迫」になるからと民営化反対を表明。自民党への復党も郵政民営化反対も、御自身の見識ではなく地元後援会の意見に従っていただけのようですから、こういう人は急に大きな権力を握ったりすると危ないのでしょうなあ。

■小泉プレスリー首相が独断で仕掛けた2005年の9月11日に実施された別名「郵政選挙」第44回衆議院議員総選挙で、「抵抗勢力」に転じた村井さんは自民党の公認を受けられず、かと言って無所属候補となって独力で選挙を戦えるパワーも無かったらしく立候補を断念しています。今度は民主党に鞍替えというわけにも行かなかったのでしょうなあ。

■支持者たちの声に応えて脱「脱ダム宣言」で旧来の公共事業依存型の政策に戻し、長野五輪を開催した時の怪しいカネの流れを解明しようとした田中知事の快挙を中断させて使途不明金を再び闇の底に消したのも村井知事ですから、政治資金の出所も何となく想像が付きます。


準大手ゼネコン西松建設の裏金をめぐる疑惑で、平成18年の長野県知事選前後、この選挙で初当選を果たした村井仁知事周辺に1000万円以上の現金を提供したと、西松建設関係者が東京地検特捜部の調べに供述していることが分かった。村井知事は26日、県庁内で報道陣に対し「何の心当たりもない」と全面的に否定。進退に関しても「(県政に)影響はなく、(任期)半ばなので全力を尽くしてやるだけ」と語った。

■情報操作と強引な誘導尋問が得意の検察から流れる「供述」情報は、時としてまったくのウソである場合もあるようですから、村井知事が全面否定を貫くのは当然でしょうが、そこに秘書の自殺という切り札が使われているのなら、あまり爽やかな話ではありません。


村井知事は西松建設との関係について、「中堅建設会社など含めて大手から相当なところまでパーティー券を買ってもらっていると思う」とした上で、「(西松関係者の)すぐに名前が浮かんでくる人は全然いない」と説明。自身の政治資金団体に関しても「団体を管理する人間は、一切の政治的行動とかかわりなくやってきた。(その人物の)許可がないと事務所の金には一切触れなかった。心配がないと聞いている」と話した。

■中堅から大手まで手広くパーティ券を売っていると正直に答えていますが、政治資金の管理方法に関しては何となくウヤムヤな感じです。伝聞の形でしか潔白を証明できないのも困ったことです。


24日に自殺した県参事の右近謙一氏(59)については、「四半世紀にわたる右近君との仕事のやり方は、『お金のことで後ろ指をさされることは絶対にしない』ということだけを厳しくやってきた。それだけは自信がある。政治家として、私ぐらいきれいにやってきた人間はそんなにたくさんいるか、との自負がある。パートナーとしてずっと一緒にやってきた右近君が、そんなところで変なことをするはずがない。人間と人間の信頼。右近君を信じる」と語った。

■根拠の無い自画自賛にも聞こえますが、裏を返せば「カネに汚い政治家はたくさんいるぞ」と言っているようなものです。自負と信頼だけで検察の追及を免れるのは不可能ですが、重要な証人の自殺という事実は鬼の検察でも渡れない深い闇を作ります。どうやら、二枚看板の逮捕起訴を目論んでいた検察が慌てて小沢代表の公設第一秘書を逮捕したのは、長野県知事の村井さんのラインが切れてしまったからのようです。検察が怖れたのは同様に小沢代表の秘書が自殺することだったと『週刊文春』は書いています。

言った、言わない、記憶に無い 其の九

2009-03-16 10:42:33 | 政治
■それまで政務次官どまりだった村井さんでしたが、2001年の第2次森改造内閣で中央省庁再編の内閣府副大臣に就任!その年の4月には国家公安委員会委員長・防災担当大臣に就任です。しかし、これは第1次小泉内閣での話だったのが後々ややこしい事になります。2002年の6月にはチャイナからの汚染食品が問題になって食品安全委員会(仮称)の担当にもなったのに……。一体、何をしていたのでしょうなあ?と文句を言う間も無く9月30日には国務大臣の職をを退任。「小泉改革」とは何だったのか?という大いなる疑問に答えられる立場にいた人なのですが、2003年の第43回衆議院議員総選挙の比例区で6期目の当選を果たしたものの実に不思議な毀誉褒貶の小さなドラマが展開されます。

■最初は小泉改革の「本丸」と言われた郵政民営化の旗振り役になって自民党の郵政民営化推進委員会の役員をしていたのに、何故か「政府案では、民業圧迫になりかねない」と気が付いて、2005年7月5日の郵政国会では反対票を投じたのでした。この人は頭が良いのか悪いのかよく分からない人のようですなあ。頭が良過ぎるからブレるのかも知れませんが、地元の選挙対策事情がいろいろあったのだろうなあ、と考える方が分かり易いのではないでしょうか。因みに村井さんは長野県木曾の出身ですから、名古屋に直結する岐阜券と東京に近い長野県という歴史的な地政学が影響しているのかも?武田信玄と上杉謙信とが戦った川中島合戦の頃と事情は変わっていないと考えると分かり易いかも?

■小泉劇場政局が仕掛けた9月11日の第44回衆議院議員総選挙では、当然の如く自民党の公認は得られず立候補を断念した村井さんは名目だけの名誉職の「顧問」になって余生を送ることになるのですが、そこに降って湧いたのが田中康夫パフォーマンス知事に対する揺り戻し現象でした。田中潰しのためなら道理も手段を選ばない!という凄まじい選挙戦が勃発したのが2006年8月の長野県知事選挙で、自公政権は何に危機感を持ったのか?田中でなければ何でもよい!という強引な選挙を仕掛けようと、小泉改革の「裏切り者」だった村井さんを担ぎ出して612,725票をもぎ取り、現職の田中康夫さんの534,229票と8万票差で県知事になります。

■「脱ダム宣言」に象徴される親方日の丸型の無駄使いを否定する田中県政を50万人以上の長野県人が支持していた事は覚えておくべきでしょう。地方自治体の選挙としては65%という投票率は高い方なのですが、残りの35%の長野県人は脱ダム宣言や長野五輪で浪費された税金の使途解明にどれほどの関心を持っていたのか?という大いなる疑問が残った選挙でした。地方分権!の錦の御旗に大きなシミを付けたような選挙だったとも言われたのでしたが、それも民主主義の原則に従って長野県民が選んだ首長の地位は尊重しなければなりますまし。

■でも2007年2月16日の定例会見で、「(エイズは)特別な仕事に従事している人たちの間で非常に感染度が高いと承知している」と言い放ち、大分県で発覚した教員採用試験汚職に関連して、2008年7月16日の定例会見で採用試験の合否を事前に知らせるのは「まあこれは社会常識として、社会通念上許容されることではないかな、と私は思います。」などと平然と口走る役人上がりの自民党系知事を、選挙に行かなかった35%の県民を含めて今の長野県民がどう思っているのやら……。打倒、田中県政!で一致団結した集団は、税金の無駄遣いの象徴たる公共事業を否定する「脱ダム宣言」を取り消すために大同団結したはずで、突然復活した大規模ダム建設に食い込もうとする大小ゼネコンの怪しい動きがあるのは素人でも予想が出来ます。そこに西松建設の外為法違反の巨額裏金事件が起こります。

言った、言わない、記憶に無い 其の八

2009-03-16 08:12:04 | 政治
■左近さんの自殺報道の後、一部のメディアが西松建設と長野県知事との関係を報道し始めたのですが、あまり大きな扱いにはなっていないようです。

東京地検は25日、長野市内で自殺したとされる長野県総務部参事、右近謙一さん(59)を特捜部が参考人として複数回事情聴取していたことを明らかにした。準大手ゼネコン西松建設の不透明な資金を巡る捜査の一環とみられる。……村井知事は同日、「(事情聴取は)まったく知らなかった。驚いている」と話した。
2009年2月25日 日経新聞

■一番の側近が特捜部に何度も事情聴取されている事実を、閣僚経験者の県知事が知らない?こういう発言は後で「言った、言わなかった」の水掛け論のタネになるはずなのに、地方ニュースの一つとして軽い扱いをしていたのでしょう。この時点でほとんどのマスコミは特捜部が狙っていたもっと大きな標的の存在をまったく察知していなかったはずですからなあ。しかし、翌2月26日、共同通信がトンデモない裏情報を流したのでした。


準大手ゼネコン西松建設の裏金をめぐる疑惑で、2006年の長野県知事選前後、この選挙で初当選を果たした村井仁知事周辺に対し、1000万円以上の現金を提供したと、西松建設関係者が東京地検特捜部の調べに供述していることが25日、分かった。特捜部は、裏金が使われた可能性があるとみて提供の趣旨や金の流れなどについて慎重に捜査。村井知事が衆院議員時代に公設秘書を務め、24日に長野市内で自殺した同県総務部参事の右近謙一さん(59)に対しても複数回にわたって聴取していた。……

■すっかり有名になった西松建設のダミー団体から、村井県知事に渡ったのはパーティ券を購入した20万円だというのが表の話になっているいそうです。単なる偶然なのでしょうが、小沢クラッシャー代表の親分だった金丸信さんが佐川急便から5億円貰って政治資金規正法違反の罪に問われた時、検察は略式起訴にして罰金たったの20万円で済んだ時の金額を思い出しますなあ。まあ、事はそれだけでは済まず、側近だった小沢さんの助言もあって議員辞職して恭順の意を表わしたのに、脱税容疑で金丸さんは逮捕されてしまったのでした。判断ミスを責められた小沢さんは自民党を飛び出すことになったのでした。


西松建設の裏金をめぐっては、海外事業で捻出した計7000万円を税関に無届けで国内に持ち込んだとして、特捜部は外為法違反の罪で前社長国沢幹雄被告(70)や元副社長藤巻恵次被告(68)らを起訴。7000万円は国内工事での受注工作資金などに使われたとみて、使途などについて国沢被告らを追及している。右近さんの自殺について、東京地検は「参考人として事情聴取した。(聴取と自殺との因果関係は)コメントする立場にない」としている。村井知事は旧通産省を退官後、1986年に衆院選に初当選。6期連続当選を果たし、国家公安委員会委員長などを務めた後、2006年8月の知事選で初当選した。……
2009年2月26日 共同通信

■村井県知事の経歴は、1959年に東大経済学部を卒業して通産省に入省。1986年、工業技術院総務部長を最後に辞職して同年の第38回衆議院議員総選挙に自由民主党公認候補として旧長野4区に出て当選。1993年の第40回衆議院議員総選挙では同じ選挙区ながら「新生党公認」で3期目の当選を果たし、次の1996年に行われた第41回衆議院議員総選挙では「新進党公認」として4期目の当選を果たしているそうです。小沢さんと共に歩んでいた経歴は二階パンダ大臣と同じですなあ。2000年の第42回衆議院議員総選挙では「自民党公認」に戻って5期目の当選。出たり戻ったり何とも忙しい話ですが、当時は珍しいことではありませんでした。

言った、言わない、記憶に無い 其の七

2009-03-16 08:12:01 | 政治
■新聞記者に対する態度が急に良くなったと、そんな事さえも大ニュースになるのが小沢クラッシャー民主党代表のキャラクターです。定例記者会見での質疑応答も我慢しながら渋々答えていたのに、秘書が逮捕されてからは驚くほど愛想が良くなって、これまでは一度も立ち止まらず一言も発したことがないというブラサガリ取材にも満面の笑みを浮かべて丁寧に受け答えしている様子が大スクープのようにテレビ画面に流されていました。急ぎ足で行き過ぎるかと思いきや、「オシッコして来るから」の一言を残したクラッシャー小沢は言行一致で小用を済ませると直ぐに記者が待つ廊下に戻って来た!記者たちは仰天して声も出なかったとか……。

■「生兵法は怪我の元」とも言いますし「鵜の真似をするカラス」の譬えもあるように、慣れないことを急にやり始めると思わぬ失敗をするものです。クラッシャーの本領は封印してスマイリー小沢に変身したのは数日間だけで、今度はボロを出さないように都内のホテルに籠城中とのことです。何でもロッキード事件で有名になった小佐野賢治さんの会社が経営するホテルなのだそうですなあ。昔からの定宿なのでしょうか?

■そんな籠城中の小沢さんが特別に会ったのが田中康夫さんだというのですが……。


民主党の小沢一郎代表は13日、滞在している東京都内のホテルで、参院で統一会派を組む新党日本の田中康夫代表と会った。千葉県知事選(29日投開票)について「無党派がカギを握る。大事だ」と田中氏の応援を要請。田中氏は「応援しましょう」と応じた。
3月14日 毎日新聞

■とても小さな記事です。確かの千葉県知事選挙は自民党が統一候補を出せな大混戦だそうですから、このところ地方選挙で連敗中の自公連立政権に止めを刺して解散総選挙に弾みを付けるというのは有りそうな話です。しかし、この時期に元長野県知事の田中康夫さんと会って知事選の応援を養成しただけなのか?もっと大事な話が有ったのではないか?と勘ぐりたくなります。それと言うのも『週刊文春』3月19日号の「史上最低のドロ仕合」という特集記事に掲載されている「秘書自殺の二の舞を恐れた」という文章を読んでいたからなのですが……。


(2月)24日午後5時50分ごろ、長野市西長野の裾花川沿いの道路で、長野県総務部参事、右近謙一さん(59)が電柱にロープで首をつった状態でいるのを通行人が発見し110番した。右近さんは病院に運ばれたが、間もなく死亡が確認された。右近さんは自衛官を経て、村井仁知事の衆院議員時代の公設秘書を務めた知事の側近。村井氏が2006年8月の知事選で初当選した後、同年12月に任期付き県職員として採用された。遺書などは見つかっていないが、長野中央署は現場の状況から自殺とみている。……同僚は「思い詰めている様子もなく、精力的に仕事に取り組んでいた。理由は思い当たらない」と話している。
2009年2月25日 共同通信

■この自殺に関しては新聞やテレビは意外なほど小さな扱いしかしなかったようです。3月3日午後に小沢代表の公設第一秘書が逮捕されるとは誰も思っていなかったからなのでしょうが、『週刊文春』の記事によると、外為法違反で逮捕した西松建設の「裏金」を1年間も秘かに追求していた検察当局は、野党第一党の代表と自民党の元閣僚を同時に立件すればバランスが取れて申し分の無い着地点になると考えていた、という背景が書かれているのであります。検察が標的にした自民党系の元閣僚というのが現職の長野県知事だという話を他のメディアが書かないのは不思議な話ですなあ。






言った、言わない、記憶に無い 其の六

2009-03-15 18:04:19 | 政治
中川氏は「もうろう会見」については「途中まではきちんとした対応をしたと記憶するが、記者とのやりとりが同席した白川方明日銀総裁に移る中で緊張感の糸が切れ、文字通りもうろうとしてしまった」と釈明。さらに「政府・与党に迷惑をかけた。誤報や意図的報道があっても責任は感じている」と述べた。
2009年3月14日 産経新聞

■「途中まで」とはどの時点の事なのか判然としませんが、少なくとも御本人には多少の?記憶が残っているようです。世界的な経済危機を話し合う場で、職責に相応しい仕事をしたのかどうかではなく、どんな酒を何処でどれだけ飲んだのか?ばかりが注目されるようでは、財務大臣としては失格でしょう。もしも再選されても、国際会議に出席するような重責には座れないでしょうなあ。

■任命権者の麻生コロコロ首相も、米国のオバマ政権が発足して最初にホワイトハウスに招かれた外国首脳!のはずだったのに、終わってみたら「日本の現首相」だったら誰でも良かったんだ、と言われる始末。既に米国政府は「選挙後」を見据えて世界戦略と経済政策を練っているとか……。暗黒の雛祭り?までは小沢クラッシャー代表は有頂天になって不規則発言を連発していたのでした。


民主党の小沢一郎代表は2月14日……主宰する「政治塾」で講演し、中国の政治情勢について「中国はバブルが崩壊し、共産党の腐敗が進行し、軍部の力も強くなっている。景気後退で失業者が増えるだろうし、各地で暴動も起きているという。共産党政権は基盤が揺らいでいる」と述べた。その上で「極東は世界で一番不安定だ。極東の中心の中国が乱れたら、イラクやアフガニスタンの比にならない騒ぎになる」と懸念を示した。……

■「その上で」を挟んでの前後が矛盾しているような気がしますが、あっさりと「極東の中心はチャイナ」だと前提しているのなら、小沢クラッシャー代表の意図は「基盤が揺らいでいる」共産党政権を全面的に支えるために粉骨砕身、手段を選ばず支援するべきだ。と主張したいようです。在日米軍に関する発言では日本独立を強く打ち出しているのですから、要するに米国とは距離を取ってチャイナと急接近する外交を理想としていることになります。それが民主党のマニュフェストになるのでしょうか?


また、国内政治については「経済状況は深刻だが、リーダーが必要な時にいない歴史の悲劇が繰り返されている。民主主義も国民生活も、政権交代から改革がスタートする」と強調。5月に始まる裁判員制度について「仕組みは悪くないが、日本人は自分で判断して意思表示をすることが苦手なので、死刑判決などについて発言できる人がいるのか」と疑問を呈した。
2009年2月14日 産経新聞

■「政権交代」が起こった時のリーダーは誰なのか?過去に一度だけ起こった政権交代は自民党の田中派出身の細川護熙さんがリーダーになり、小選挙区制度と政党助成金制度を実現しただけで政権を放り出したのではなかったでしょうか?日本の悲劇は政権交代してもリーダーが居ないことになるのかも知れませんぞ。さてさて、問題はその後、裁判員制度を否定した発言でした。昔、米国でイタリア系マフィアが大規模な抗争を続けていた頃、「血のバレンタインデー」という有名な大量殺人事件が起こったのでしたが、この2月14日の発言が公設秘書逮捕の引き鉄を引いたのかも?

■何せ今の検察庁トップは樋渡利秋検事総長という人は、99年に創設された「司法制度改革審議会」の事務局長を務め、各界からの反対意見や批判の矢面に立って新制度の骨子を作り上げ、「裁判印制度は民主主義の申し子」と断言しているのだそうです。小沢クラッシャー代表が「政権交代から民主主義がスタート」すると言うのなら、検事総長は「裁判員制度は民主主義から生まれる」と言っているわけです。政権交代→民主主義→裁判員制度という流れに統一されれば波風は立たなかったかも知れませんが、どうやら両者が考える民主主義はまったく違ったもののようですなあ。

言った、言わない、記憶に無い 其の伍

2009-03-15 18:04:03 | 政治
■検察によって一挙に政局が動き出したのは確かで、最も政局に敏感なクラッシャー小沢が怪人20面相のように日々豹変して周囲を驚かせ続けたのでした。

民主党の小沢代表は13日、衆院本会議を欠席し、都内のホテルや個人事務所にこもった。これまでは党本部で所属議員と面会を重ねていたが、検察を批判したとされる面会時の発言の釈明に後で追われるなどしたことで、面会は控えた方が得策と判断したようだ。……小沢氏が10~12日の3日間に面会した議員は約40人に上り、党内では「小沢詣で」と呼ばれた。しかし、その後、小沢氏周辺が「面会者リスト」を作ろうとしたことが伝わり、党内では「踏み絵のつもりか」と反発する声も出た。

■『週刊文春』3月19日号によると、岩手県議の一人は小沢さんを「カネに細かく人を信用しない」と評しているそうですが、政権奪取目前で検察に仕掛けられた喧嘩に勝つためには、田中角栄流の「政治は数、数は力、力は金」原理主義に立ち戻るしか方法が無かったのか?最初は「数」を確保しようと突如として愛想の好い多弁な政治家に変身!しかし、「面会リスト」を作るなどという露骨なことをして墓穴を掘るのは「人を信じない」性格が禍したのでしょうなあ。

■「政治とカネ」の問題を日本中が思い出してしまったからには、「力は金」の原理を振り回すのは最も愚かな選択ですから、盟友だった羽田元総理を見棄てた時と同じく何処かに雲隠れして「所在不明」になってしまう悪い癖が出はしないか?と民主党の幹部は心配で夜も眠れないかも知れません。雲隠れするなら、その前に代表を辞任して欲しいところですが、誰も小沢ネコの首に鈴を付けには行けないようです。


……面会者によって検察批判が小沢氏の言葉として広がったこともあり、小沢氏に近い党幹部が「小沢氏は今は検察の出方を見極め、進退の最終決断を下すまで、静かに蟄居すべき時だ」と若手議員らに面会を自粛するよう求めた。……小沢氏の元秘書で、東京地検特捜部の事情聴取を受けた石川知裕衆院議員も13日、報道各社の取材を受ける予定が、党の指示で急きょ中止になった。石川氏は衆院本会議も欠席した。鳩山幹事長はこの日の記者会見で、「メディアの餌食になってもいけない。(石川氏の地元選挙区での)相手は、財務相を辞め、もうろう記者会見をした中川昭一氏だ。『中川先生がピンチだ』という状況で、石川氏の聴取が漏れたこと自体、煙たいものを感じている」と語った。
2009年3月13日 読売新聞

■北海道第11区の有権者の皆さんは、もしも解散総選挙となったらアル中の前大臣か小沢の元秘書かのどちらかを選らばねばならなくなりそうです。石川議員は、前回の選挙で2万票差で中川前大臣に負けたのですが、上位当選者が北海道知事選挙に出馬したので比例名簿の繰り上げ当選したのだそうですから、中川バッカス前大臣の敵失で民主党人気の追い風が強まっていた矢先に、大学卒業のは2000年(平成12年)~2004年(平成16年)の間、すっかり有名になった「陸山会」の事務を担当していた前歴が大きなダメージとなってしまいましたなあ。

■3月14日の午後、札幌市での記者会見で「有権者、後援者には本当にご心配をお掛けしたことをおわびする」と謝罪しなければならなくなったのは可哀想な気もします。その姿を見て酔いが醒めたのか?バッカス中川前大臣が復活?!


自民党の中川昭一前財務相は14日朝の民放CS放送番組で……「もうろう会見」後に視察したバチカン博物館で、立ち入り禁止区域に入って警報機を鳴らすなどの失態をしたとの報道について「警報器も鳴っていないし、私に対する注意もなかった。同行した神父さんから、お酒のにおいはしていなかったと手紙をもらっている」と述べ、一部は誤りと主張した。

■鮮明な映像が残っているので「朦朧会見」の失態は、今更「言わなかった」ことには出来ますまいし、ましてや「記憶にない」などと言ったら泥酔を自白するようなものです。神父さんからの「手紙」まで用意しているのですから、議員辞職も政界引退もまったく考えてはいないようですなあ。やっぱり「ニッポンいち」の声に従うバッカス中川さんのようです。

言った、言わない、記憶に無い 其の四

2009-03-15 11:16:48 | 政治
……塩崎氏らは、2月に策定したばかりの公務員制度改革の「工程表」見直しまで要求した。これには政府側も「とても対応できない」(公務員制度改革本部事務局)と音を上げており、塩崎氏らの要求を「反対のための反対だ」(政府関係者)との見方もある。……昨年6月に成立した基本法は、内閣官房に「内閣人事局」を設置すると規定し、人事行政に関する総務省や人事院の機能移管を明記した。

■基本法が作られたのは、今では誰の覚えていない福田ホイホイ内閣での話ですから、最初から官僚受けが良いという評判が高かった福田ホイホイ元首相が、本当に国家公務員全員を敵に回すような大改革が出来るのかいなあ?と訝る声が多かったのですが、渡辺喜美元行政改革担当相が一人で頑張っている様子が煙幕の効果を発揮して「天下り」を撲滅せよ!という国民の声を背景にしてそれなりに事はホイホイと進んでいたかのように見えたものです。


政府は当初、公務員への労働協約締結権付与をめぐる問題が解決するまでは、人事院の機能の移管を先送りし、総務省の人事・恩給局と行管局の機能のみを先行移管する方向だった。だが、当時、自民党にいた渡辺喜美元行政改革担当相らが「旧行政管理庁が復活するだけで改革が骨抜きになる」として、人事院や財務省からも移管すべきだと主張した。……甘利明行革相は行管局について「戦略的な人事管理には組織管理も不可欠だ」と行管局全体の移管を決定。名称も「内閣人事・行政管理局」と変更した上で「工程表」を決めた。

■渡辺さんの後任となった甘利行政改革担当相が人事院のボスに子ども扱いされたのはこの後直ぐのことでした。法案のグレー・ゾーンを巧みに拡張して「骨抜き」工作は着々と進められていたらしく、今、最も官僚に受けが良いとも言われる鳩山邦夫総務大臣が一人で浮かれていたようです。


鳩山邦夫総務相は2月23日の衆院予算委員会で「強力な組織が内閣官房にできあがることで、びしばしと行革ができる」と胸を張った。しかし、機能強化を求めていたはずの渡辺氏は2日、一転して政府案を「焼け太り体制だ」と批判して、中川氏らを側面支援した。また、霞が関内にも官邸機能が強化されることへの警戒感が出ている。特に、財務省は内閣人事・行管局ができると、将来は「内閣予算局」にまで拡充され、「同省の力の源泉である予算編成を官邸に奪われるのではないかとの危機感を持っている」(総務省関係者)という。くしくも、自民党「改革派」と霞が関が政府案に反対しているという構図になり、官邸サイドも「麻生内閣つぶしの動きだ」(政府関係者)と両者の動きに神経をとがらせている。
2009年3月3日 産経新聞

■これが小沢クラッシャー代表の公設第一秘書が逮捕される前夜の話で、3月5日にはオフレコ懇談の場で問題の漆間発言が飛び出すという次第。もしかすると公務員改革法案をしっかりと「骨抜き」した安堵感で気が緩み、妙な達成感で高揚したエリート官僚が口を滑らせたのかも?否、麻生ホイホイ内閣を完全に掌に載せたという情況判断があってからこそ、最悪の支持率に苦しむコロコロ内閣に恩を売る心算で発言したのかも知れませんなあ。与党も野党も区別なく、現行の官僚システムに手を出す者は許さない!という霞ヶ関の意志を代表している心算だったのなら、何とも恐ろしい話であります。

■秘書の逮捕を受けて怒髪天を衝いた小沢クラッシャー代表は、逮捕翌日の4日午前、「異常な手法」「不公正な国家権力・検察権力の行使」「民主主義の危機」などの激しい言葉を並べて国策捜査を批判し、鳩山由紀夫幹事長も「陰謀」という言葉を使って擁護したのでした。その後の新聞やテレビの報道は国策捜査の片棒を担ぐように検察側からの怒涛のリークに飲み込まれ、まるで検察庁の腹話術人形状態になりました。

■こういう時こそ週刊誌や月刊誌の出番!久し振りに何冊も週刊誌を買い漁った人も多かったのではないでしょうか?入手した週刊誌から浮かび上がった問題の背景については後述するとして、どうやら各種マスメディアが検察批判の大合唱を始めそうな雲行きに慌てたのか、週刊誌の記事が予測した通りに与党自民党側へも飛び火して「西松なら二階」と有名だった大臣が標的にされ、「検察VS旧田中派」の構図が鮮やかに浮かび上がりましたなあ。

言った、言わない、記憶に無い 其の参

2009-03-14 18:27:19 | 政治
公務員制度改革を巡っては、改革の道筋を示す「工程表」を策定する際にも、1月中の政府決定を目指した甘利明行革担当相に対し、反発した漆間氏らの圧力で河村建夫官房長官が「調整不足だ」と2月に遅らせた経緯がある。麻生太郎首相の足元で官僚が抵抗する構図に、「改革をサポートするはずの官邸が、官僚の代弁者として足を引っ張っている」(行革事務局幹部)との指摘もある。

■何が何だか分からない内に解散総選挙をしてしまえ!という実に乱暴な発想で産み落とされたのが麻生コロコロ首相の内閣ですから、実際の行政担当能力が有るのか無いのか、発足当時は誰もまったく気にしていなかった節があります。新聞各社の政治欄は、解散総選挙の「日程」予測ばかりが先行していましたし、週刊誌なども気の早い「当落予想」などを好き放題に掲載していたようです。そんな事をしているから活字メディアの読者が減って行くのでしょうが、「100年に1度の危機」に見舞われていた世界第2位のGNPを誇っているはずの国としては、この半年ほどの政治記事は場当たり的で内容も貧困で、「蜂に刺された程度」発言から「生活給付金」騒動に到る報道すべき優先順位をまったく弁えない記事の羅列は国民をますます不安にしただけでした。

■唯一の存在理由だった解散総選挙がだらだらと先延ばしされる間に、少なくとも政権交代さえ無ければ選挙の影響をまったく受けない官僚たちが軽量級内閣の下で深く静かに暴走していたのかも知れません。お役人はイザとなったら政治責任などまったく取らない人達ですから、暴走した後始末はそれを許した政治家とマスコミ、そして有権者・読者である国民に押し付けられることになります。


国家公務員制度改革基本法を成立させた渡辺喜美元行革担当相は「典型的な、霞が関による骨抜きだ。強大な官僚組織の幹部人事を政治主導で実現するには、局長は最低でも官房副長官以上でなければならない」と語る。
2009年3月13日 毎日jp

■漆間官房副長官が指揮を執った「骨抜き」工作は、現行の官僚権力ピラミッド構造には指一本触れさせないぞ!という強烈な意志を感じます。この無気味さは人事院の改革を巡る暗闘と同じ根っこから出て来ているのではないか?などと想像しておりましたら、非常に気になる新聞記事を発見しましたぞ。何と小沢クラッシャー代表の公設第一秘書が逮捕される直前の話というのですから、同時多発テロみたいな印象も受けますが……。


政府が人事・行管局設置のための国家公務員法改正案……の原案骨子を自民党行政改革推進本部の公務員制度改革委員会に提示したのは2月26日。これに「改革派」と称される塩崎恭久元官房長官や、珍しく会合に姿を見せた中川秀直元幹事長らがかみついた。原案は、内閣人事・行管局に、総務省行政管理局にある機構・定員管理機能を加え、行政情報システムや独立行政法人(独法)の新設・廃止の審査機能も移管するとした。中川氏は「独法は公務員制度改革基本法が想定しない話だ」などと組織の肥大化に懸念を表明。塩崎氏も「人事と関係ないことを入れるのは反対だ」と機構・定員管理機能以外の移管に反対の意向を示した。このため、会合では骨子案の了承を見送り、次回会合の見通しも立っていない。

■奇しくも2月26日という意味深な日に提示された改正法案に、「麻生おろし」の急先鋒だった2人が反対したというわけです。政府公認の「天下り一括管理センター」を作るだけだ!と野党から猛烈な反対を受けていた同法案は、問題の焦点がさっぱり定まらないまま自民党内の権力闘争の具に成り下がり、渡辺喜美元行政改革担当相が自民党を離党する騒ぎになったのでした。

言った、言わない、記憶に無い 其の弐

2009-03-14 18:24:09 | 政治
■週末になってからは、与党も野党も右顧左眄(うこさべん)の「様子見」態勢に入ったようですが、何故か麻生コロコロ首相だけが妙に元気なようです。何か良い事でも起こったのでしょうか?政界を揺るがす発言をした漆間官房副長官は、「辞めろと言われれば辞めるだけ」と実に淡々とした態度のままで週末を過ごしているのでしょう。でも、任命権者の麻生さんは得意のコロコロ変わる表現を駆使して漆間さんを必死に擁護していましたから、解任などされる心配はなさそうです。

……10日午前の閣議後の記者会見では漆間氏の対応を批判する声が出た。法相経験者である鳩山総務相は「今の時代、国策捜査はあり得ず、他党に(捜査が)及ぶとか及ばないなんてことが分かるはずがない。分かるはずがないことは言わない方がいい。あらぬ誤解を招く。強い怒りを感じた」と述べた。

■いつの時代にも「国策捜査」は有るものなのではないでしょうか?特に日本の検察が持っている機構のままなら、暴走もするでしょうし、組織防衛のためになら何でもやれるのですからなあ。民主党の政権構想が実現したら検察も含めて役所の上層部は総取っ替えになるそうですから、麻生コロコロ内閣の支持率が奈落の底に落ちる前に、民主党が自滅して雨散霧消するくらいの「国策捜査」はやるでしょう。まして鳩山総務相も同じ釜の飯を食った田中派OBなのですから、検察と田中派との間に根強く残る怨念の深さはご存知のはずです。


甘利行政改革相も、「漆間氏は官邸の事務の最高責任者であり、警察庁長官だったから、単なる観測発言があたかも検察情報と接しているかのような誤解と疑心暗鬼を与えた。極めて不適切な発言だった」と語った。
3月10日 読売新聞

■人事院のボスに手もなく捻られてしまった甘利行革相が、役人全体のボスを相手に何を言っても唇寒しの感があります。「検察情報」が毎日の新聞紙面にぶちまけられているというのに、政府中枢にだけは1滴も流れて来ないなどと、一体、誰が信じられるでしょう?三権分立が原理的に成立しないような仕組みを一刻も早く是正しないと、国民が選んだ議員によって構成されている議会が最も弱い権力しか持てない油断が民主主義が続きます。既に、今回の検察が仕掛けた「国策(庁益)捜査」は、戦前の2.26事件と同じものだと指摘する声があちこちから出始めているのですから、制度の抜本的な改革が必要でしょう。でも、それが出来るのは国会だけで、そこで少しでも予告でもしようものなら忽ち「国策捜査」の餌食になるのでは、戦前のテロに怯えた政治家たちの時代と何も変わってないことになりますなあ。


国家公務員の幹部人事を一元化するため、政府が10年4月の設置を予定する「内閣人事・行政管理局」の組織案で、当初は官房副長官級を想定していた局長職を、政務官級に格下げしていたことが12日、明らかになった。強力な局長の誕生を懸念する官僚トップの漆間巌官房副長官らが格下げに動き、13日の自民党行政改革推進本部(本部長・中馬弘毅元行政改革担当相)に提示される見通し。ただ「副長官級でないと、霞が関(官僚)の幹部人事を仕切るのは難しい。霞が関による改革の骨抜き工作だ」(自民党閣僚経験者)との反発も出ており、最終決定にはさらに曲折が予想される。

■人事院から上がった烽火を合図に、深く静かにお役人の一斉蜂起が始まったようですなあ。その本陣に居るのが漆間官房副長官だとすれば、今の麻生コロコロ首相など単なる案山子扱いされてしまいそうです。漆間さんを「連れて来た」のは安倍元首相だそうですが、小泉改革の継承者として総理大臣になった人が、北朝鮮による拉致犯罪の捜査で活躍したとかいう理由で官僚のトップに押し込んだのなら、小泉改革には官僚機構の改革は含まれていなかったことになります。やっぱり、郵便局が抱え込んでいる莫大な郵貯と簡保の資産を米国に献上するだけの改革だったのでしょうか?


同局の設置は、政治主導で各府省の幹部人事を一元化し、省庁間の縦割り行政を是正するのが狙いだ。このため、局長は各省の事務次官よりも格上となる官房副長官級とすることで政府案は固まっていた。……3月中の国家公務員改革関連法案の提出を前に、官僚の意を受けた漆間氏らが「骨抜き」を働きかけた。……

■官房副長官という職責ならば、麻生コロコロ首相に仕えるのが本分のはずが、これでは麻生内閣を引っ張りまわしているように見えます。福田ホイホイ前首相よりも御し易いと官僚たちから歓迎されているという噂もある麻生コロコロ首相ならば、国家公務員改革の法案を骨抜きにするくらいは朝飯前なのでしょう。そうなると小沢クラッシャー民主党代表に仕掛けた政治資金規正法違反のスキャンダルは、党内に燃え上がっていた「麻生おろし」を一挙に沈静化させる深謀遠慮だったのではないか?という憶測が根底から崩れてしまうことになりそうですなあ。検察と警察のトップが阿吽の呼吸で政権交代を阻止すると同時に現政権が進める公務員改革の流れを堰き止めてしまう一石二鳥の、役人の・役人による・役人のための「国策捜査」が始まったということになるのかも?

言った、言わない、記憶に無い 其の壱

2009-03-13 21:57:51 | 政治
■「政府高官」とだけしか報道されないオフレコ懇談が発火点となった民主党の小沢クラッシャー代表の政治規制法違反疑惑、米国では映画化もされたウォーターゲート事件の重要証言を繰り返した「ディープスロート」が有名ですが、情報源の秘匿はジャーナリストの生命線です。今回は国民の目にはほとんど触れない内閣官房副長官の口から出た言葉が独り歩きしたのが騒ぎの発端で、オフレコの仁義を破って実名をバラしたのは河村建夫官房長官という身内中の身内で、それも3月8日の日曜日の朝という人騒がせな時間帯、伝播力と衝撃度を高める目的とするかのようにフジテレビの報道番組という場所でのことでした。

■公共の電波で顔を晒して発言したのですから、河村官房長官は今更、「言ってない」とは言えません。一説には「捜査は自民党議員には波及しない」という重大な発言が政界中を揺るがしている様子に怯えた河村さんが、「オレじゃあねえよ」と保身の保険を掛けての公言だったとも言われているようです。しかし、総理大臣のスポークスマン役なのですから、個人的な保身と考えるより麻生コロコロ首相からの指示に従ったと考えた方が筋が通るような気もしますなあ。

■発言の主とされる漆間巌官房副長官は、実に堂々とした態度で国会やマスコミの前に姿を見せたのにはちょっと驚きました。不祥事を起こした会社の責任者が会見場に引っ張り出されると、大概は「この程度の人物か?」と呆れるような小人物だったという場合が多いものですが、さすがはエリート官僚の総元締め、そして警察一家のサラブレッドで警察機構の頂点に君臨していた人物らしく、野党議員だろうがオフレコ懇談の相手だった新聞記者本人だろうが、眉毛一つも動かさず、冷静に淡々と官僚答弁の見本みたいな応答ぶりを見せてくれました。

■「私と私の秘書官の記憶を突き合わせた結果、そういう発言はしたことはない」という卒の無い言い回しには感心してしまいました。自分の思い込みでなく複数の記憶を「突き合わせる」ことで客観性を静かに醸し出し、現場で取材していた20人の記者を徹底的に見下すエリート官僚ならではの迫力が出ていますなあ。漆間さんは歴代の社保庁長官などとは桁違いのエリートらしく、この程度の「暴言」を取り上げられても逃げも隠れもしません。テレビ局を馬鹿にしているのか?新聞や雑誌の取材には余裕シャクシャクで小まめに応じている様子なのに、今のところはテレビ局には出掛けていないようです。

■9日の首相官邸で行われた記者会見は大きな見せ場となったようです。何せオフレコ懇談に参加していた記者が前列にぞろりと並んでいたそうですからなあ。どうやら、最初にオフレコの仁義を破ったのが朝日新聞だったという話が広がっているらしく、同紙の記者が鉄壁の漆間証言に喰って掛かったとか……。「自民党って言ったでしょう?」と詰め寄ったものの、「『検察の捜査についてコメントする立場にない』と終わらせればよかったが、昔、捜査にかかわった経験もあり、一般論としていろんな説明をした。特定の政党の話が出た記憶はない」と釈明して見事な肩透かし!

■官房長官に実名をバラされた直後の会見でも、決して慌てず騒がず、「非常に微妙な時期なので一般論でも捜査に関する話をしたのは適切でなかった。みなさんの認識に誤りを生じさせ、大変申し訳ない。反省している」と謝罪したことにして、「飽くまでも一般論」だったの一点張りで押し通す様子です。検察のやり様と言い、警察官僚の親玉の話しぶりと言い、この国は大変な官僚専制国家になってしまっているのですなあ。そもそも、子供達に「勉強しろ!」と、明治時代から怒鳴り続けた日本の親たちは、我が子に高学歴を授けたい、出来れば高級官僚の採用試験に合格するくらいの「試験名人」になって貰いたい!という下心丸出しで、或る時は物や甘言で釣り、また或る時は鉄拳制裁も辞さない脅迫手段も駆使してお役人への道を進めようと頑張っていたのかも知れません。

■高級官僚とべったり関係を築いている大企業・一流企業への就職も似たような動機で我が子を受験戦争に投げ込んでいたのかも知れませんが、教育制度を弄繰り回し過ぎた結果、何が立身出世なのかが誰も分からなくなってしまった昨今の混乱振りは、喜ぶべきなのか、悲しむべきことなのか?答えに窮してしまいます。複雑怪奇な法令集や日本語とも思えない法律条文を正確に記憶し、陰謀渦巻く官僚の密林で生き延び、食われる側ではなく常に食う側に立ち続けた数十年の「キャリア」 があって、一滴の冷や汗も浮かべることなく。都合の悪い「記憶」は綺麗に消去して開き直れる神経と体質を手に入れることが出来るのでしょう。こういう人は長生きしそうですなあ。

■心臓に爆弾を抱えていると、もっぱらの噂になっている小沢クラッシャー代表が乱闘めいた喧嘩に勝てるのか?日本中が多少は白けつつも注目しているのであります。