旅限無(りょげむ)

歴史・外交・政治・書評・日記・映画

言った、言わない、記憶に無い 其の弐

2009-03-14 18:24:09 | 政治
■週末になってからは、与党も野党も右顧左眄(うこさべん)の「様子見」態勢に入ったようですが、何故か麻生コロコロ首相だけが妙に元気なようです。何か良い事でも起こったのでしょうか?政界を揺るがす発言をした漆間官房副長官は、「辞めろと言われれば辞めるだけ」と実に淡々とした態度のままで週末を過ごしているのでしょう。でも、任命権者の麻生さんは得意のコロコロ変わる表現を駆使して漆間さんを必死に擁護していましたから、解任などされる心配はなさそうです。

……10日午前の閣議後の記者会見では漆間氏の対応を批判する声が出た。法相経験者である鳩山総務相は「今の時代、国策捜査はあり得ず、他党に(捜査が)及ぶとか及ばないなんてことが分かるはずがない。分かるはずがないことは言わない方がいい。あらぬ誤解を招く。強い怒りを感じた」と述べた。

■いつの時代にも「国策捜査」は有るものなのではないでしょうか?特に日本の検察が持っている機構のままなら、暴走もするでしょうし、組織防衛のためになら何でもやれるのですからなあ。民主党の政権構想が実現したら検察も含めて役所の上層部は総取っ替えになるそうですから、麻生コロコロ内閣の支持率が奈落の底に落ちる前に、民主党が自滅して雨散霧消するくらいの「国策捜査」はやるでしょう。まして鳩山総務相も同じ釜の飯を食った田中派OBなのですから、検察と田中派との間に根強く残る怨念の深さはご存知のはずです。


甘利行政改革相も、「漆間氏は官邸の事務の最高責任者であり、警察庁長官だったから、単なる観測発言があたかも検察情報と接しているかのような誤解と疑心暗鬼を与えた。極めて不適切な発言だった」と語った。
3月10日 読売新聞

■人事院のボスに手もなく捻られてしまった甘利行革相が、役人全体のボスを相手に何を言っても唇寒しの感があります。「検察情報」が毎日の新聞紙面にぶちまけられているというのに、政府中枢にだけは1滴も流れて来ないなどと、一体、誰が信じられるでしょう?三権分立が原理的に成立しないような仕組みを一刻も早く是正しないと、国民が選んだ議員によって構成されている議会が最も弱い権力しか持てない油断が民主主義が続きます。既に、今回の検察が仕掛けた「国策(庁益)捜査」は、戦前の2.26事件と同じものだと指摘する声があちこちから出始めているのですから、制度の抜本的な改革が必要でしょう。でも、それが出来るのは国会だけで、そこで少しでも予告でもしようものなら忽ち「国策捜査」の餌食になるのでは、戦前のテロに怯えた政治家たちの時代と何も変わってないことになりますなあ。


国家公務員の幹部人事を一元化するため、政府が10年4月の設置を予定する「内閣人事・行政管理局」の組織案で、当初は官房副長官級を想定していた局長職を、政務官級に格下げしていたことが12日、明らかになった。強力な局長の誕生を懸念する官僚トップの漆間巌官房副長官らが格下げに動き、13日の自民党行政改革推進本部(本部長・中馬弘毅元行政改革担当相)に提示される見通し。ただ「副長官級でないと、霞が関(官僚)の幹部人事を仕切るのは難しい。霞が関による改革の骨抜き工作だ」(自民党閣僚経験者)との反発も出ており、最終決定にはさらに曲折が予想される。

■人事院から上がった烽火を合図に、深く静かにお役人の一斉蜂起が始まったようですなあ。その本陣に居るのが漆間官房副長官だとすれば、今の麻生コロコロ首相など単なる案山子扱いされてしまいそうです。漆間さんを「連れて来た」のは安倍元首相だそうですが、小泉改革の継承者として総理大臣になった人が、北朝鮮による拉致犯罪の捜査で活躍したとかいう理由で官僚のトップに押し込んだのなら、小泉改革には官僚機構の改革は含まれていなかったことになります。やっぱり、郵便局が抱え込んでいる莫大な郵貯と簡保の資産を米国に献上するだけの改革だったのでしょうか?


同局の設置は、政治主導で各府省の幹部人事を一元化し、省庁間の縦割り行政を是正するのが狙いだ。このため、局長は各省の事務次官よりも格上となる官房副長官級とすることで政府案は固まっていた。……3月中の国家公務員改革関連法案の提出を前に、官僚の意を受けた漆間氏らが「骨抜き」を働きかけた。……

■官房副長官という職責ならば、麻生コロコロ首相に仕えるのが本分のはずが、これでは麻生内閣を引っ張りまわしているように見えます。福田ホイホイ前首相よりも御し易いと官僚たちから歓迎されているという噂もある麻生コロコロ首相ならば、国家公務員改革の法案を骨抜きにするくらいは朝飯前なのでしょう。そうなると小沢クラッシャー民主党代表に仕掛けた政治資金規正法違反のスキャンダルは、党内に燃え上がっていた「麻生おろし」を一挙に沈静化させる深謀遠慮だったのではないか?という憶測が根底から崩れてしまうことになりそうですなあ。検察と警察のトップが阿吽の呼吸で政権交代を阻止すると同時に現政権が進める公務員改革の流れを堰き止めてしまう一石二鳥の、役人の・役人による・役人のための「国策捜査」が始まったということになるのかも?

最新の画像もっと見る