旅限無(りょげむ)

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言った、言わない、記憶に無い 其の六

2009-03-15 18:04:19 | 政治
中川氏は「もうろう会見」については「途中まではきちんとした対応をしたと記憶するが、記者とのやりとりが同席した白川方明日銀総裁に移る中で緊張感の糸が切れ、文字通りもうろうとしてしまった」と釈明。さらに「政府・与党に迷惑をかけた。誤報や意図的報道があっても責任は感じている」と述べた。
2009年3月14日 産経新聞

■「途中まで」とはどの時点の事なのか判然としませんが、少なくとも御本人には多少の?記憶が残っているようです。世界的な経済危機を話し合う場で、職責に相応しい仕事をしたのかどうかではなく、どんな酒を何処でどれだけ飲んだのか?ばかりが注目されるようでは、財務大臣としては失格でしょう。もしも再選されても、国際会議に出席するような重責には座れないでしょうなあ。

■任命権者の麻生コロコロ首相も、米国のオバマ政権が発足して最初にホワイトハウスに招かれた外国首脳!のはずだったのに、終わってみたら「日本の現首相」だったら誰でも良かったんだ、と言われる始末。既に米国政府は「選挙後」を見据えて世界戦略と経済政策を練っているとか……。暗黒の雛祭り?までは小沢クラッシャー代表は有頂天になって不規則発言を連発していたのでした。


民主党の小沢一郎代表は2月14日……主宰する「政治塾」で講演し、中国の政治情勢について「中国はバブルが崩壊し、共産党の腐敗が進行し、軍部の力も強くなっている。景気後退で失業者が増えるだろうし、各地で暴動も起きているという。共産党政権は基盤が揺らいでいる」と述べた。その上で「極東は世界で一番不安定だ。極東の中心の中国が乱れたら、イラクやアフガニスタンの比にならない騒ぎになる」と懸念を示した。……

■「その上で」を挟んでの前後が矛盾しているような気がしますが、あっさりと「極東の中心はチャイナ」だと前提しているのなら、小沢クラッシャー代表の意図は「基盤が揺らいでいる」共産党政権を全面的に支えるために粉骨砕身、手段を選ばず支援するべきだ。と主張したいようです。在日米軍に関する発言では日本独立を強く打ち出しているのですから、要するに米国とは距離を取ってチャイナと急接近する外交を理想としていることになります。それが民主党のマニュフェストになるのでしょうか?


また、国内政治については「経済状況は深刻だが、リーダーが必要な時にいない歴史の悲劇が繰り返されている。民主主義も国民生活も、政権交代から改革がスタートする」と強調。5月に始まる裁判員制度について「仕組みは悪くないが、日本人は自分で判断して意思表示をすることが苦手なので、死刑判決などについて発言できる人がいるのか」と疑問を呈した。
2009年2月14日 産経新聞

■「政権交代」が起こった時のリーダーは誰なのか?過去に一度だけ起こった政権交代は自民党の田中派出身の細川護熙さんがリーダーになり、小選挙区制度と政党助成金制度を実現しただけで政権を放り出したのではなかったでしょうか?日本の悲劇は政権交代してもリーダーが居ないことになるのかも知れませんぞ。さてさて、問題はその後、裁判員制度を否定した発言でした。昔、米国でイタリア系マフィアが大規模な抗争を続けていた頃、「血のバレンタインデー」という有名な大量殺人事件が起こったのでしたが、この2月14日の発言が公設秘書逮捕の引き鉄を引いたのかも?

■何せ今の検察庁トップは樋渡利秋検事総長という人は、99年に創設された「司法制度改革審議会」の事務局長を務め、各界からの反対意見や批判の矢面に立って新制度の骨子を作り上げ、「裁判印制度は民主主義の申し子」と断言しているのだそうです。小沢クラッシャー代表が「政権交代から民主主義がスタート」すると言うのなら、検事総長は「裁判員制度は民主主義から生まれる」と言っているわけです。政権交代→民主主義→裁判員制度という流れに統一されれば波風は立たなかったかも知れませんが、どうやら両者が考える民主主義はまったく違ったもののようですなあ。

言った、言わない、記憶に無い 其の伍

2009-03-15 18:04:03 | 政治
■検察によって一挙に政局が動き出したのは確かで、最も政局に敏感なクラッシャー小沢が怪人20面相のように日々豹変して周囲を驚かせ続けたのでした。

民主党の小沢代表は13日、衆院本会議を欠席し、都内のホテルや個人事務所にこもった。これまでは党本部で所属議員と面会を重ねていたが、検察を批判したとされる面会時の発言の釈明に後で追われるなどしたことで、面会は控えた方が得策と判断したようだ。……小沢氏が10~12日の3日間に面会した議員は約40人に上り、党内では「小沢詣で」と呼ばれた。しかし、その後、小沢氏周辺が「面会者リスト」を作ろうとしたことが伝わり、党内では「踏み絵のつもりか」と反発する声も出た。

■『週刊文春』3月19日号によると、岩手県議の一人は小沢さんを「カネに細かく人を信用しない」と評しているそうですが、政権奪取目前で検察に仕掛けられた喧嘩に勝つためには、田中角栄流の「政治は数、数は力、力は金」原理主義に立ち戻るしか方法が無かったのか?最初は「数」を確保しようと突如として愛想の好い多弁な政治家に変身!しかし、「面会リスト」を作るなどという露骨なことをして墓穴を掘るのは「人を信じない」性格が禍したのでしょうなあ。

■「政治とカネ」の問題を日本中が思い出してしまったからには、「力は金」の原理を振り回すのは最も愚かな選択ですから、盟友だった羽田元総理を見棄てた時と同じく何処かに雲隠れして「所在不明」になってしまう悪い癖が出はしないか?と民主党の幹部は心配で夜も眠れないかも知れません。雲隠れするなら、その前に代表を辞任して欲しいところですが、誰も小沢ネコの首に鈴を付けには行けないようです。


……面会者によって検察批判が小沢氏の言葉として広がったこともあり、小沢氏に近い党幹部が「小沢氏は今は検察の出方を見極め、進退の最終決断を下すまで、静かに蟄居すべき時だ」と若手議員らに面会を自粛するよう求めた。……小沢氏の元秘書で、東京地検特捜部の事情聴取を受けた石川知裕衆院議員も13日、報道各社の取材を受ける予定が、党の指示で急きょ中止になった。石川氏は衆院本会議も欠席した。鳩山幹事長はこの日の記者会見で、「メディアの餌食になってもいけない。(石川氏の地元選挙区での)相手は、財務相を辞め、もうろう記者会見をした中川昭一氏だ。『中川先生がピンチだ』という状況で、石川氏の聴取が漏れたこと自体、煙たいものを感じている」と語った。
2009年3月13日 読売新聞

■北海道第11区の有権者の皆さんは、もしも解散総選挙となったらアル中の前大臣か小沢の元秘書かのどちらかを選らばねばならなくなりそうです。石川議員は、前回の選挙で2万票差で中川前大臣に負けたのですが、上位当選者が北海道知事選挙に出馬したので比例名簿の繰り上げ当選したのだそうですから、中川バッカス前大臣の敵失で民主党人気の追い風が強まっていた矢先に、大学卒業のは2000年(平成12年)~2004年(平成16年)の間、すっかり有名になった「陸山会」の事務を担当していた前歴が大きなダメージとなってしまいましたなあ。

■3月14日の午後、札幌市での記者会見で「有権者、後援者には本当にご心配をお掛けしたことをおわびする」と謝罪しなければならなくなったのは可哀想な気もします。その姿を見て酔いが醒めたのか?バッカス中川前大臣が復活?!


自民党の中川昭一前財務相は14日朝の民放CS放送番組で……「もうろう会見」後に視察したバチカン博物館で、立ち入り禁止区域に入って警報機を鳴らすなどの失態をしたとの報道について「警報器も鳴っていないし、私に対する注意もなかった。同行した神父さんから、お酒のにおいはしていなかったと手紙をもらっている」と述べ、一部は誤りと主張した。

■鮮明な映像が残っているので「朦朧会見」の失態は、今更「言わなかった」ことには出来ますまいし、ましてや「記憶にない」などと言ったら泥酔を自白するようなものです。神父さんからの「手紙」まで用意しているのですから、議員辞職も政界引退もまったく考えてはいないようですなあ。やっぱり「ニッポンいち」の声に従うバッカス中川さんのようです。

言った、言わない、記憶に無い 其の四

2009-03-15 11:16:48 | 政治
……塩崎氏らは、2月に策定したばかりの公務員制度改革の「工程表」見直しまで要求した。これには政府側も「とても対応できない」(公務員制度改革本部事務局)と音を上げており、塩崎氏らの要求を「反対のための反対だ」(政府関係者)との見方もある。……昨年6月に成立した基本法は、内閣官房に「内閣人事局」を設置すると規定し、人事行政に関する総務省や人事院の機能移管を明記した。

■基本法が作られたのは、今では誰の覚えていない福田ホイホイ内閣での話ですから、最初から官僚受けが良いという評判が高かった福田ホイホイ元首相が、本当に国家公務員全員を敵に回すような大改革が出来るのかいなあ?と訝る声が多かったのですが、渡辺喜美元行政改革担当相が一人で頑張っている様子が煙幕の効果を発揮して「天下り」を撲滅せよ!という国民の声を背景にしてそれなりに事はホイホイと進んでいたかのように見えたものです。


政府は当初、公務員への労働協約締結権付与をめぐる問題が解決するまでは、人事院の機能の移管を先送りし、総務省の人事・恩給局と行管局の機能のみを先行移管する方向だった。だが、当時、自民党にいた渡辺喜美元行政改革担当相らが「旧行政管理庁が復活するだけで改革が骨抜きになる」として、人事院や財務省からも移管すべきだと主張した。……甘利明行革相は行管局について「戦略的な人事管理には組織管理も不可欠だ」と行管局全体の移管を決定。名称も「内閣人事・行政管理局」と変更した上で「工程表」を決めた。

■渡辺さんの後任となった甘利行政改革担当相が人事院のボスに子ども扱いされたのはこの後直ぐのことでした。法案のグレー・ゾーンを巧みに拡張して「骨抜き」工作は着々と進められていたらしく、今、最も官僚に受けが良いとも言われる鳩山邦夫総務大臣が一人で浮かれていたようです。


鳩山邦夫総務相は2月23日の衆院予算委員会で「強力な組織が内閣官房にできあがることで、びしばしと行革ができる」と胸を張った。しかし、機能強化を求めていたはずの渡辺氏は2日、一転して政府案を「焼け太り体制だ」と批判して、中川氏らを側面支援した。また、霞が関内にも官邸機能が強化されることへの警戒感が出ている。特に、財務省は内閣人事・行管局ができると、将来は「内閣予算局」にまで拡充され、「同省の力の源泉である予算編成を官邸に奪われるのではないかとの危機感を持っている」(総務省関係者)という。くしくも、自民党「改革派」と霞が関が政府案に反対しているという構図になり、官邸サイドも「麻生内閣つぶしの動きだ」(政府関係者)と両者の動きに神経をとがらせている。
2009年3月3日 産経新聞

■これが小沢クラッシャー代表の公設第一秘書が逮捕される前夜の話で、3月5日にはオフレコ懇談の場で問題の漆間発言が飛び出すという次第。もしかすると公務員改革法案をしっかりと「骨抜き」した安堵感で気が緩み、妙な達成感で高揚したエリート官僚が口を滑らせたのかも?否、麻生ホイホイ内閣を完全に掌に載せたという情況判断があってからこそ、最悪の支持率に苦しむコロコロ内閣に恩を売る心算で発言したのかも知れませんなあ。与党も野党も区別なく、現行の官僚システムに手を出す者は許さない!という霞ヶ関の意志を代表している心算だったのなら、何とも恐ろしい話であります。

■秘書の逮捕を受けて怒髪天を衝いた小沢クラッシャー代表は、逮捕翌日の4日午前、「異常な手法」「不公正な国家権力・検察権力の行使」「民主主義の危機」などの激しい言葉を並べて国策捜査を批判し、鳩山由紀夫幹事長も「陰謀」という言葉を使って擁護したのでした。その後の新聞やテレビの報道は国策捜査の片棒を担ぐように検察側からの怒涛のリークに飲み込まれ、まるで検察庁の腹話術人形状態になりました。

■こういう時こそ週刊誌や月刊誌の出番!久し振りに何冊も週刊誌を買い漁った人も多かったのではないでしょうか?入手した週刊誌から浮かび上がった問題の背景については後述するとして、どうやら各種マスメディアが検察批判の大合唱を始めそうな雲行きに慌てたのか、週刊誌の記事が予測した通りに与党自民党側へも飛び火して「西松なら二階」と有名だった大臣が標的にされ、「検察VS旧田中派」の構図が鮮やかに浮かび上がりましたなあ。