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極楽飯店.58

※初めての方はこちら「プロローグ」「このblogの趣旨」からお読みください。

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「『神のエネルギーに乗る』っていうのは、分裂していた自己が、いよいよ完全に向けた流れにのって、本来あるべき流動が展開されているってことだよ」

「完全に向けた流れって?」

「全体性の流れを妨げることなく、自らも神として活動できているってことさ」

その言葉が理解できず、俺たちがまた首をかしげていると、閻魔は再度風船を見せてこう続けた。

「いい?いままで君たちは全体から切り離された感覚の中にある小さな意識、この小さな風船の方を『自分』だと錯覚していた。でも、本当の自己は、この大きな風船の中心に在るんだ。ここにある意識は、いわば、神としての意識。あらゆる創造エネルギーの起点はここに存在してる。何かを具現化する動力は、ここにしかない。なのに君たちは、その動力から離れた場で願いを叶えようとあがいていた。創造エネルギーの起点から大きく離れた場において、自分(分裂した自己)の願いを、自分(分裂した自己)の力で叶えようとしていたんだよ」

「ああっ!こ、このことだったんだ!」

突然白井が叫び、俺たちを見ながら口をパクパクさせた。何かを言いたいのだが、言葉が見つからないといった風にバタついている。

「落ち着けよ。どうしたんだ」

「ばぁちゃんの言ってたことですよ!『貴方には、自分の願いを叶える力はない』って、あの言葉!」

皆が声を揃えて小さく「あっ」と漏らすのを確認すると、閻魔は優しく微笑み話を続けた。

「その通り。分裂した自己(虚像)に、願いを叶える力はない。その力を持つのは『本当の自分(実体)』なんだ。願いを叶えたいのであれば、第一段階として、その願いが源(ソース)に届かなきゃいけない。でもそこに詰まり(カルマ)があれば、願いが源(ソース)に行き着かなくなっちゃう」









「とっても単純な仕組みなんだけどね、だからこそ、分裂した自己から見ると、この仕組みがとっても厄介なんだ」

「厄介?」

「願っても、なかなか叶わないってことだよ」

「どうしてです?」

「君たちのかつての願望の数々を思い返してみなよ。その多くが、不満や不安を元に生まれた願いなんだ」

言われてみて、確かにそうだと思った。金が欲しい、モノが欲しい、誰かに好かれたい、嫌われたくない、身の安全を確保したい、死にたくない、その他もろもろ。

思い出せた願いの多くは、確かに不満や不安を解消したいが故に生まれたものだった。そしてまた、その不満と不安を解消するにはどうすればいいのかと模索する思考がある。

と、いうことはつまり…

「なるほど。願いと同時に、恐れや思考(カルマ)が存在しているな」




……つづく。



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