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極楽飯店.51

※初めての方はこちら「プロローグ」「このblogの趣旨」からお読みください。

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「じゃ、今度は『エネルギーの捻れ』を、別なものに例えて話を続けよう、これもあくまで模式図にすぎないんだけど…」

閻魔が串団子のようになった風船を、その手の上で何度か弾ませると、風船はまた、ポコンと小さな音を立ててそのカタチを変えた。

左右が不均等な鉄アレイ、とでも言おうか。大きさの異なる二つの玉を、細い管で繋いだ造形の風船が、閻魔の手の上に浮いている。

「ね、この中に、水が入ってるの見える?」

その言葉の通り、風船の中では少量の水がチャプチャプと波打っていた。まじまじと眺めていると、その水はまるで意志を持っているかのようにうねうねと動き出し、風船の中央、細くなった管の部分に集まっていく。

すると閻魔は、ただでさえデコボコしている額に、さらに皺を寄らせて口元をすぼめると、風船の中央に「ヒュウ…」と一息、真っ白に輝く冷気を送った。風船の中央部分が、パチパチと鳴りながら一瞬にして氷つく。

一連の動きは、まるで手慣れた手品を見せるかのごとく華麗に流れ、その顔に浮かべる笑みもどこか誇らしげに見えた。


「さて。こっちの小さい膨らみを『個人』、こっちの大きな膨らみを『源(ソース・存在する唯一の命)』とするね。で、その間に水が貯まっている。この水が、さっき話した『自他を定義づける思考・情報の集積』のことだよ。そしてさらに、その水を凍らせてしまった要因がある。それが『恐れ』というエネルギー。恐れが思考を固定化し、<自他>という無限のバリエーションを生み出す氷のプリズムになる」



「さっきの風船同様、カタチが変わってもこの風船は一つの同じもの。分裂して存在しているものじゃない。その自覚があろうがなかろうがお構いなしに、存在の全ては、必ずこの源(ソース・命)と繋がっている。『生物』と『無生物』などと分けられるものは何一つなくてね、あらゆる次元を通して、命以外のものは実在しない」

そこまで話すと、閻魔は一拍置いて白井を見つめた。

「そしてね、ムネっち。君が長らく信じてきたような『自分と別に存在する神』ってのも存在しないんだ。人を裁き、審判を告げるのが神じゃない。この源(ソース)こそが神であり、それは命そのもののことなんだ。君は長らくこの氷(カルマ)の障害によって源(ソース)との繋がりを見失い、それゆえの苦悩を抱え続けてきた。分離意識こそが苦しみの始まりであり、その強さは、源(ソース)からどれだけ離れてしまったかに比例する。神との分離感が増すほどに苦しみは大きくなる。君がなんども目にしてきた『キリスト』という言葉は、この氷による詰まりがなくなった状態、源(ソース)と繋がった状態であることを示した言葉なんだ」



……つづく。



p.s.

トークライブでは何度もしている話なのに、こうしてブログに書こうとすると、とたんに難しくなるのはなぜだろう。。。

どうでしょう。伝わってる?



←まるで手慣れた手品を見せるかのごとく華麗に。
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