「滝」の俳句~私の心に見えたもの

220728 佐々木博子(「滝」瀬音集・渓流集・瀑声集 推薦作品より)

あめんぼの走り宿題残りけり 鎌形清司 「滝」9月号〈滝集〉

2011-09-25 05:43:58 | 日記
 一読、ボルトのフライングを思い出してしまった。正しく
はフライングスタートで「不正出発」の事だ。「宿題しなさ
いよ」の声を聞く間もないスタート。「あめんぼう」でも「あ
まえんぼう」でも「きかんぼう」でも良いではないか。元気
な男の子の瞬間移動を見たようで楽しい。これで良いのだ。
宿題なんて日が沈んでからいくらだって出来る。(H)

反抗期南瓜の花に匂ひあり 後藤外記 「滝」9月号〈滝集〉

2011-09-24 20:44:04 | 日記
 南瓜の花に匂いがあると言われて、どんな香りかと嗅ぎに
行ったら、ちょっとスズランの匂いに似ているような気がし
た。反抗期というのだから、その頃の思い出に繋がる香りか
とも思ったが、今、南瓜の花の匂いに気が付いた、ちょっと
した驚きと読んでみたい。反抗期という自己主張。南瓜の花
も花として香っているのだ。意外な取合せに惹かれた。(H)

人こゑのうすみどりなる春障子 田口啓子 「滝」9月号<滝集>

2011-09-22 20:06:06 | 日記
 例会に投句された句である。私も互選を入れた。人の声が
して顔を上げたら、障子が若緑を透かしている。それを人の
声がうすみどりだと言う。その陽光の柔らかさを表現する、
春障子の在り様に、この季語の必然を感じた。作者のはんな
りとしているのに静かな俳句にいつも魅せられる。(H)