「滝」の俳句~私の心に見えたもの

220728 佐々木博子(「滝」瀬音集・渓流集・瀑声集 推薦作品より)

福寿草團十郎のにらみかな 鈴木幸子

2019-03-26 19:37:28 | 日記
福寿草は、小さいけれど、ふくよかな豊かな感じのする黄色い花。その黄金色がいかにもめでたさを感じさせるところから元日草と呼ばれ、福と長寿をもたらすとして福寿草となったそうですが、「團十郎のにらみ」の連想に歌舞伎をよく知らない私はどう呼応を導き出したのかとワクワクした。歌舞伎の表現として『にらみ』を思うことは容易だが「團十郎」の特定はなぜ?、と思ったが、そもそもそこが間違っていた。歌舞伎役者は全員にらみをすると思っていたが『にらみ』は、代々、市川團十郎家(成田屋)のみに伝わっている伝統的な所作なので、他の屋号の役者は当然、にらみを披露することはなく、現在は、市川海老蔵のみができる見得なのだそうだ。江戸時代は、「團十郎に睨んでもらえば、一年間無病息災で過ごせる」ともいわれたほどで、にらみを利かせる團十郎を前に、ありがたさで手を合わせる人々もいたそうで、なるほどの取り合わせです。来年からは、福寿草をもっとありがたく愛でることに致しましょう。(博子)