日本では、町にもよりますがごみの分別収集にかなり力を入れているようですね。ペットボトルやヨーグルトのパックもアルミ、プラスティック、ペット・・・とそれぞれに分けたり、ごみを出す指定日を詳しく分けてあったり・・・
ブルガリアに来られたらきっと、「あっ、ブルガリアでも分別収集してるんだ!! エコが進んでるんだね~」と思われるかも。特に最近では「紙」、「ガラス」、「プラスティック」などと色分けされたゴミ箱がどこでも置かれています。
ただ、ブルガリアの場合・・・ ごみを集めにトラックが来たら、それぞれのごみ箱の中身を同じトラックが持って行く・・・ つまり、分別してごみを出す意味があまりない・・・ EUに加入しているブルガリア、ヨーロッパと言うとエコ先進国や分別に厳しい、という雰囲気があるかもしれませんが、かなりの温度差がありますねぇ
では、ブルガリアはエコではないか? というと、実はそうでもないのが興味深いところ・・・
一国の首都、百万都市ながら馬車の走るブルガリアはソフィア。でもその積荷がずいぶんと変わっています。以前は解体した家から出た建材や干草を山のように積んだ馬車をお馬さんがヒーコラヒーコラ(それこそ馬車馬のように・・・)引いているのをよく見たのですが、
最近の積荷、それは、ペットボトル!! 馬車の周りに高く囲いをつけてたくさん積めるように工夫した馬車・・・ まあ、カサはあるけど重くはないのでお馬さんも軽やかに走っていきます。
(ある意味)エコなのは、それだけではありません。 たとえば、ウチにあった古くなった家具(ソファーとしましょう)を「よっこいしょっ」とごみ置き場においておくとしましょう、すると・・・
ごみ置き場を巡回している人たち(注:ゴミ回収のトラックじゃないよ)が、そのソファーを壊して、まずはソファーのばね(金属)、そして骨組みや肘掛など(木の部分)となくなって、最後にはすべてがなくなる、という具合にきれいに片付いていきます。 なぜこの順番でなくなるか、というと・・・
金属、古紙、そしてビンやペットボトルは回収業者(地区に少なくとも1軒はある・・・ ウチの近所にも!!)に持っていくとお金になるから!! (木の部分は冬の薪用・・・) そしてそのお金はタバコやお酒代に「再利用」されていくわけです・・・ だから最近、たくさんの馬車や乳母車(ベビーカーではなく、日本のソレのような)を押したり引いたりする人がゴミ箱からゴミ箱へ移動していきます。
ごみアサリをする人が増えた、特に今年に入って・・・ 日本で言うところのホームレスが驚くほど少ないこの国・・・ 家持ち、土地持ち、アパート持ちだけど年金が少なくてやっていけないお年寄り、子供をつれたロマの人たちや、「別に集めているわけじゃあないけど何かないかな?」とゴミ箱をのぞき込んでる輩・・・ すいかけのタバコがあると、「ラッキー♪」とばかりシケモクをふかすニコチン中毒の老若男女・・・ さらにパザールの近所のゴミ箱には売り物にならなくなった野菜が廃棄されますが、その中から使えるものを探して持って帰る人たちもたくさんいます。(所によっては食べ物や再利用できる洋服などを別の袋に入れてとりやすいようにゴミ箱のふちに引っ掛けておく親切な人もいます・・・)
もちろんこういう人たちは以前からいましたよ。でも、欧州危機が取り沙汰される今日この頃、年金をブルガリア人たちの数倍ももらっている隣の国ギリシャでは、EUから突きつけられた緊縮策に、「ごみあさりをしてまで生きたくはない」と老人がピストル自殺する、っていうニュースがあったくらいなのに・・・。
でも、いつもクリザタ(危機)の中を生き抜いてきたある意味たくましいブルガリアの人たち・・・。 そして分別収集しなくても(できなくても。はたまた結局ごみは埋め立て処理なので分別する意味すらなくても)、金目のものから回収されて専門業者に集められ、もっていった人が収入を得る・・・ これがカンペキなエコにつながっていくのかもしれません・・・