しろみ茂平の話

郷土史を中心にした雑記

西施

2022年07月14日 | 銅像の人

場所・秋田県にかほ市象潟町 道の駅・象潟 「ねむの丘」

 


「小説十八史略」  陳舜臣 毎日新聞  昭和52年発行

----ひそみにならう----


絶世の美女。その名を西施という。
夫差はどんなに美人でも、道理のわからぬ愚昧な女はきらいであった。
たおやかな賢女。
それが夫差の理想の女性である。
彼は西施に夢中になった。
夫差は出征のときも、陣中に西施を伴っていた。
片時も離さなかったのである。


西施は眉をひそめると、一そう美しくみえた。
眉のあたりに、ひきしまったポイントがつくられ、それが新しい魅力を生む。
呉王の宮殿では、宮女たちが西施を真似て、悲しくもなんともないのに、
眉をひそめるポーズをつくるのが、流行ったという。


「ひそみにならう」という諺がある。
自分にアウカドウカ、まるで考えないで、他人の真似をすること、
つまり猿真似のことをいう。

 

 

撮影日・2022年7月11日

 

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芭蕉 〈行く春や 鳥啼き魚の 目は泪〉

2022年07月14日 | 銅像の人

場所・東京都荒川区南千住・南千住駅 西口駅前広場

千住

千住は古く千寿と書き、中世から奥州への道筋になっていた。
徳川家康は江戸へ入国したのち、すぐにここに架橋を命じた、文禄3年(1594)には早くも千住大橋が完成している。
そして日光道中第一の宿駅、江戸四宿の一つとして栄えた。
今も千住1丁目から五丁目まで、わずかながら街道筋の面影を残している。

芭蕉は、元禄2年(1689)の3月27日(5月16日)に深川から舟に乗り、
小名木川から隅田川へと入って千住に上陸した。
深川からは約10キロである。
ここで見送りの人々と別れを惜しみ、遥かなみちのくへの期待と不安を抱いて、
旅路の第一歩を踏み出したのである。

「奥の細道を旅する」  日本交通公社 JTB  1996年発行

・・・

千住大橋は、江戸で最初に架けられた橋です。
浮世絵のなかの大橋も行き交う人々で賑わっていますが、
旅を住処とした漂泊の詩人・松尾芭蕉も、
ここ千住から「奥の細道」へと旅立ちました。
(千住大橋の説明版より)

 


弥生(やよい)も末の七日(なのか)、明ぼのの空 朧々(ろうろう)として、
月は有明(ありあけ)にて 光おさまれるものから、
富士の峰 幽(かす)かに見えて、
上野・谷中(やなか)の花の梢(こずえ)、またいつかはと心細し。
むつまじき限りは 宵(よい)よりつどいて、
舟に乗りて送る。
千住(せんじゅ)と云う所にて 船を上がれば、
前途三千里の思い 胸にふさがりて、
幻(まぼろし)の巷(ちまた)に 離別の泪(なみだ)をそそぐ。


  行く春や 鳥啼(な)き 魚の目は泪


是を矢立(やたて)の初めとして、行く道なお進まず。
人々は途中(みちなか)に立ち並びて、後ろ影の見ゆる迄はと、見送るなるべし。

 

 

 撮影日・2022年7月13日

 

 

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芭蕉 〈草の戸も 住み替る代ぞ 雛(ひな)の家〉

2022年07月14日 | 銅像の人

場所・東京都江東区常盤  芭蕉庵史跡展望公園


芭蕉の「奥の細道」の場所を、訪問してみたいと、数年前からすこしづつ実行している。
今回、東京・山形・秋田の数ヶ所を訪問することができた。(満足)

 

 


月日は百代の過客(かきゃく)にして、行き交う年もまた旅人なり。
舟の上に生涯を浮かべ、馬の口とらえて老いを迎うる者は、日々旅にして旅を栖(すみか)とす。
古人(こじん)も多く 旅に死せるあり。

予(よ)もいづれの年よりか、片雲(へんうん)の風に誘われて、漂泊(ひょうはく)の思いやまず、
海浜(かいひん)にさすらへ、
去年(こぞ)の秋、江上(こうしょう)の破屋(はおく)に 蜘蛛(くも)の古巣を払いて、
やや年も暮れ、
春立てる霞(かすみ)の空に、白河の関越えんと、
そぞろ神の物に憑(つ)きて 心を狂わせ、
道祖神(どうそじん)の招きにあいて 取るもの手につかず、
股引(ももひき)の破れをつづり、笠の緒(お)付け替えて、
三里(さんり)に灸(きゅう)すうるより、
松島の月 先づ心にかかりて、
住める方は人に譲り、 杉風(さんぷう)が別墅(べっしょ)に移るに、

 

  草の戸も 住み替る代ぞ 雛(ひな)の家

 

面八句(おもて・はちく)を 庵の柱に掛け置く。

 

 

撮影日・2022年7月13日

 

 

 

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