場所・秋田県にかほ市象潟町 道の駅・象潟 「ねむの丘」
「小説十八史略」 陳舜臣 毎日新聞 昭和52年発行
----ひそみにならう----
絶世の美女。その名を西施という。
夫差はどんなに美人でも、道理のわからぬ愚昧な女はきらいであった。
たおやかな賢女。
それが夫差の理想の女性である。
彼は西施に夢中になった。
夫差は出征のときも、陣中に西施を伴っていた。
片時も離さなかったのである。
西施は眉をひそめると、一そう美しくみえた。
眉のあたりに、ひきしまったポイントがつくられ、それが新しい魅力を生む。
呉王の宮殿では、宮女たちが西施を真似て、悲しくもなんともないのに、
眉をひそめるポーズをつくるのが、流行ったという。
「ひそみにならう」という諺がある。
自分にアウカドウカ、まるで考えないで、他人の真似をすること、
つまり猿真似のことをいう。
撮影日・2022年7月11日