

子どもの時の家に、子どもの時のままで駆け戻りたい。しかし、それが今は不可能なことになってしまっている。なぜなら、今は大人になっているのだから。両親を幼い頃のように、何の作意もなく、くつろがせることもできなくなっている。その両親も、以前の両親ではなくなっている。なぜなのだろう。理屈では簡単に納得できることだが、実感としてはどうしても納得できない。
子どもの時へのなつしさ、という言葉をここでは使うことができない。なつかしいのではない。子どもの時が過去のものになってくれないから、思い惑わなければならない。
[ken]津島佑子さんは、私の6歳上1947年3月に生まれ、誠に残念ながら今年の2月18日、68歳でご逝去されました。太宰治さんのお子様でもあります。私は、津島佑子さんの著作を読んでいないので、機会を見つけて目を通してみたいと思いました。(つづく)