北森鴻 著
店舗を持たない骨董屋・旗師の宇佐見陶子が主人公のシリーズ。
陶子は無名の作者のタペストリーに惹かれ、全作品を買おうとする。
作品が届かないことに疑問をもった陶子が作者のアパートを訪れたとき、
そこにあったのは彼の死体だった。
緋色の美しさに魅了される表題作をはじめとした4篇が収められている。
全てにおいて真贋はわからない。
それは真実を見極める眼でしか決められない。
磨きぬかれた美意識と、商売ゆえのかけひきと。
そしてそれゆえに錯綜する欲望。
油断の入る隙すらない審美眼の戦いが繰り返される。
日頃あまりものを持たない私は、骨董はおろか貴金属すら縁がない。
それを特に不幸とも惨めとも思わないが、このような美の世界から
切り離されていることだけは残念に思う。
良い材料と高い技術を駆使して丹念に作られたものが、長い年月の
うちに価値を増す、それは素晴らしいことだと考えるから。
そして美を愛するということは単なる蒐集ではなく、文化や歴史を
まるごと知って愛することでもある。教養そのものだ。
研ぎ澄まされた陶子の姿からは、清々しさとそして一抹の哀しみが
伝わってくる。
店舗を持たない骨董屋・旗師の宇佐見陶子が主人公のシリーズ。
陶子は無名の作者のタペストリーに惹かれ、全作品を買おうとする。
作品が届かないことに疑問をもった陶子が作者のアパートを訪れたとき、
そこにあったのは彼の死体だった。
緋色の美しさに魅了される表題作をはじめとした4篇が収められている。
全てにおいて真贋はわからない。
それは真実を見極める眼でしか決められない。
磨きぬかれた美意識と、商売ゆえのかけひきと。
そしてそれゆえに錯綜する欲望。
油断の入る隙すらない審美眼の戦いが繰り返される。
日頃あまりものを持たない私は、骨董はおろか貴金属すら縁がない。
それを特に不幸とも惨めとも思わないが、このような美の世界から
切り離されていることだけは残念に思う。
良い材料と高い技術を駆使して丹念に作られたものが、長い年月の
うちに価値を増す、それは素晴らしいことだと考えるから。
そして美を愛するということは単なる蒐集ではなく、文化や歴史を
まるごと知って愛することでもある。教養そのものだ。
研ぎ澄まされた陶子の姿からは、清々しさとそして一抹の哀しみが
伝わってくる。
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