息をするように本を読む

初めて読んだ本も、読み返した本も、
ジャンルも著者もおかまいなしの私的読書記録
と、なんだかだらだら日常のことなども

孔雀狂想曲

2012-09-30 10:03:08 | 北森鴻
北森鴻 著

骨董屋が舞台の連作短編集。
しかし、宇佐見陶子が活躍する「冬狐堂シリーズ」とは異なり、
庶民的でほのぼの、そこらへんにある街の古道具屋という感じだ。

扱う品物もピリピリと研ぎ澄まされた芸術品ではなく、手にとって
ぬくもりを感じられるようなものが多い。
九谷焼、人形、ガラス細工、ジッポーにポスター。
雑多なジャンルものたちが集まった店は「雅蘭堂」の名のとおり
暇そのもの。

店主・越名の人柄も魅力的。万引きを気に押しかけバイトになった
女子高生・安積の気持ちもわかる。
そして日頃はのほほんとして見える彼の仕事へのプライドが、
事件がおきたときに現れるのだ。

兄に対する悪質な罠へ立ち向かう越名。
贋作への姿勢。
預かり物を破損した時の責任感。

どれも仕事への誇りと姿勢がよくわかる。

楽しい物語だが、取材に基づく膨大な知識がすごい。
なんだか賢くなれた気がする。


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