息をするように本を読む

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と、なんだかだらだら日常のことなども

大草原の小さな家

2012-07-22 10:50:50 | ローラ・インガルス・ワイルダー
ローラ・インガルス・ワイルダー 著

シリーズ2番めの作品であり、シリーズタイトルともなっている。
大きな森の小さな家』を出て新天地を求めることになった一家。
まだ寒いある日、親戚たちに見送られて一家は旅立つ。

凍りついた湖を渡り、野原や掘立小屋でキャンプし、雨で足止めされて震えながら過ごすなど、
幼児二人と赤ちゃん連れにはあまりにも過酷な日々。
家財道具を幌馬車に積み込み、一番後ろにつくった小さなベッドにローラとメアリーが座り、
大きな大きな円天井の真ん中を、草を踏み分けながらただ進む。
しかし、この風景はあまりにも希望に満ちていて、一家の結束を感じさせる。そして
大切なものがぎゅっとひとつにまとまってここにある、という実感があって
子どもの頃いちばん憧れた風景でもあった。
一日の旅が終わってのキャンプの光景はほのぼのとして、パンと肉とコーヒーだけの貧しい食事も
親子の楽しい時間となる。たった一晩の滞在でも、あたりを片づけ、花を飾る心を教え、
膝のうえのトウモロコシパンだけの食事でも、マナーの大切さを教える両親の姿に、
誰が見ていなくても正しく生きることの美しさを教えられた。

ようやくたどり着いたところは先住民族の居住地。
近い将来ここも白人の開拓者に解放されるはず、という噂を信じての入植だった。
それだけ西へ向かう人が増え、恵まれた土地は残り少なくなっていたようだ。

丸太を切りだし、夫婦で積み重ねる。こんな重労働を当時の動きにくい服装の女性が
行ったのは驚きだが、やはり無理があったのか丸太を支えきれず、母・キャロラインは
けがをしてしまう。
人里離れた地でのけがや病気がどんなに怖かったか、想像にあまりある。
しかし、これがきっかけになり、長い縁となるエドワーズさんとの出会いがあった。
独身の彼はインガルス家を優先して、家を建てるのを手伝ってくれ、そののちも
なにくれと手を貸してくれる。

何よりも素晴らしいエピソードはクリスマスだ。
冷たい川を泳いで渡り、何十キロもの道を歩いてローラとメアリーのために
プレゼントを持ってくれたエドワーズさん。インガルス家ではずっとこの話が
語り継がれていくのだ。

先住民族との摩擦、家族全員がマラリア感染するなど、重い問題も多い。
結局努力を重ねた末に生活の基盤ができかけたところで、やはりこの土地は
原住民のために保護されることになる。
一家は去らなければならなかった。

何もかもがとことん自分の手で行われる生活の豊かさ。
その反面、厳しい自然条件や食生活で一度健康を害してしまうと、すべてが
たちゆかなくなる怖さ。

幼い子ども向けの本でありながら、さまざまなテーマをずっしりと伝える。

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