息をするように本を読む

初めて読んだ本も、読み返した本も、
ジャンルも著者もおかまいなしの私的読書記録
と、なんだかだらだら日常のことなども

顔のない男

2012-09-27 10:26:26 | 北森鴻
北森鴻 著

砧公園で殺された一人の男。
身元はすぐに判明したものの、彼を知るものは誰もいなかった。
交友関係は皆無、接点すらない。
原口刑事と又吉刑事は彼の部屋で一冊のノートを発見した。
そのノートから次々と事件が発覚する。

どこかに通うとか、特定の取引先がある、とかそんな仕事をする
必要に迫られなければ、こういう暮らしも不可能ではないんだ、と
改めてびっくりした。
そして謎が謎を呼ぶ展開。次々と増えていく登場人物とその背景に
いったいどこまで広がるのだか不安を覚えるほどだ。
しかし、最後にはきちんとおさまるのはさすが。

で、途中で気づいたのはこれって連作短編集なのね。
そうか、どうりで話がいろいろなはずだ。
てっきり長編だと思って読み続けていたのは、それぞれがきちんと
関連してつながって最後を迎えるから。
登場人物たちの個性もよく書き分けられ、適材適所に配置されている。

結構暗いというか嫌な事件が多いのだが、ちゃんと解決するので
すっきりの読後感。
謎の主人公よりも、周囲の人たちのもつ世界が興味深かったな。

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