北森鴻 著
短編とエッセイで構成された初期作品集。
香菜里屋シリーズ、京都のシリーズなどの原型となる作品があり、ファンにはうれしい。
この何が出てくるかわからない感覚がタイトルになったのだろう。
もっと明るいイメージの気もするが。
著名な画家の突然の自死。CGデザイナーの主人公と美大生が謎解きをはじめる「仮面の遺書」。
美術への豊富な知識がうかがえる作品だ。
警察に殺人者からの告白文が届き、それが日本の古代史の謎へとつながる。主人公・加藤が
発掘専門の大学教授とともにそれを読み解いていく「踊る警官 」。加藤のひとりがたりで
進む話は、テーマの興味深さとあいまってとても魅力的だ。
素晴らしい才能に恵まれた作家だと思うが、苦しんだ時代もあったのだなあ。
「仮面の遺書」は本当のデビュー作だったのだが、その後2年間新たな作品ができず、
胸をはって言うことに抵抗があったとか。
エッセイではプライベートな話がポンポン飛び出し、人柄がわかって楽しい。
北森鴻を知りたいなら、大満足の一冊。
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