民謡/梅若朝雲(駅前仙人)の徒然日記2007.1.28~

民謡&三味線の師範・釣り・料理など多趣味。

Vol.182 津軽民謡・弥三郎節

2007-07-20 00:57:51 | Weblog
弥三郎の家も、ご多聞にもれず貧農であった。
猫の額ほどの田畑を持っている・・事が、母親である「婆さま」を守銭奴ならぬ守田奴に駆り立てるのである。かまどの灰、糠の一掴みも「嫁にはままにさせんぞ」・・と言う訳である。舅も居るのだろうが、影も形も出てこない・・が六番に「親衆」としてチラッとだけ出てくる。

「♪一つァエー 木造り新田の下相野 村のはんずれコの 弥三郎ァエ」

「♪二つァエー 二人と三人と人頼んで 大開の万九郎から 嫁貰った」
・・どっか良い嫁いないか?ってあっちにもこっちにも人を頼んで、やっと大開の万九郎さんから嫁をもらったーー。

「♪三っつァエー 三つ物揃えて 貰った嫁 もらって見たどこァ気にあわね」
・・チャント結納まで揃えて貰った嫁だけど・・貰ってみたら、やっぱりナットク出来ない・・婆さま

「♪四っつァエー 夜草朝草欠かねども 遅く戻れば いびられる」
・・牛の食み(はみ)=飼葉=をね、朝刈って晩に又刈って、チョッと遅くなったら「なーーにしてただが?こんなに遅ぐなって?」・・オラもうーヘトヘトだーに。

「♪五つァエー いびられはじかれにらめられ 日に三度の口つもる」
・・朝は朝星夜は夜星・・いびりにいびられて、三度のご飯さえ遠慮になってしまう。・・なのにマザコン亭主の弥三郎と来たらオラの事かばおうともしない・・ロクデナシ・・なのレス。

「♪六っつァエー 無理な親衆に使われて 十(とお)のゆんびこから 血コ流す」
・・婆さまばかりか爺さままで、日にち毎日無理難題。血の出ない指がないほど働いているのに。

七つァエー 何ぼ稼いでも働いても つけるアンブらコもつけさせね」
・・朝は一番星に起こされて、夕べは陽のあるうちは働き通し、遠慮の晩飯食ったと思ったら・・コレから夜なべ(夜業)・・それも終わって、繕い物でもしようと思ったら「夜にともし火使ったら油が勿体ねーーべ?・・ハヨ寝ろ!」亭主はちょっかい出すわ、障子一枚となりでは婆さまが息を殺す・・姑息である。
つける油は血のにじむ指の為ではない。野良着の繕いさえ、したくてもさせてくれない・・。
よく似た歌詞、「福島県/相馬麦つき唄」に「麦も搗けたし 寝ごろも来たし うちの親たちゃホントニ 寝ろ寝ろ・・と」・・当時はどこの農家も同じような事であったのだろう。

歌詞は十五番まで知っているが「八っつァエー」からは明日の事にしよう。写真は「菱の実」の花と思われる。・・ひし形の実は茹でると芋の様な味と食感であると言う。食べたことはないが、貴重なデンプンではなかったかと思われる。・・数週間前に撮っておいたのが今夜役に立った。
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