民謡/梅若朝雲(駅前仙人)の徒然日記2007.1.28~

民謡&三味線の師範・釣り・料理など多趣味。

Vol.132 のんしこら=熊本県民謡

2007-06-05 23:31:14 | Weblog
「♪親はどんなもの 渋茶にまよてノンシコラ 知らぬ他村に娘やる 
アラヨカ ノーンシノンシ ホーッホヨーカヨーカ ユーナカバッテンドウシュウカイ 
カンネンサーイ カンネンサーイ」

拙者の郷里、熊本県民謡「のんしこら」の一節である。他府県の方にこの「オハヤシ」が理解されるとは到底思えない。
「私は親としてまことに愚かな事をしてしまった。お庄屋さんに呼ばれて、めったに飲むことも無いお茶をご馳走になった」「どうじゃな?チョッと遠いがよそ村にあんたの娘を欲しいと言うお人があるのじゃが?」「・・・承知いたしました」
庄屋でなくても良いし、親は父でも母でも良い。「そら良かったねーーあんた、そらー良かったバイ」と村の無責任ご近所さん。「良いことは無いけどどうしようもない、約束してしまったから」・・と親。ここで「かんねんさい」と親が娘に・・。
かんねんとは多分「観念」。親が娘に「観念しろ」とは言わないノダ・・デッタイニ。
親は娘に「かんにんしてな、ごめんやで」と言っていると思うのレス。「観念せい」は侍がギラリと長いのを抜いて言うせりふだ。
「♪親とおやとの約束ならば いかざなるまい 泣き泣きも」・・と続く。

そこで熊本弁を理解していない唄本の編集者には書き直しを、またこの記事を読んだ先生方にはこの様な解釈をして欲しいと願うのでアリマス。
「♪今年はじめて 姑にそえば ノンシコラ 石ではかまを縫えというた」
なんと言う姑じゃ!・・でもこんな話が「祖谷の粉挽きうた」や「弥三郎節」の中に出て来て唄の哀歓を深くする。
「♪粉挽けこ挽けと挽かせておいて 粗い細いのなしょ立てる」・・祖谷の粉挽き唄より
「♪十四ゃエー 湿りうたねで粉搗かせ こぼすなみだコで 粉搗けた」・・弥三郎節より
なしょは難くせ。湿りを打つのは「早く搗けるが嵩(かさ)が減るので駄目だ・・と言うのレス。
拙者はどんな民謡も好きだが、とりわけこんな「ドラマチック」な唄が好きレス。
もともと唄と言うものは「ある想い」があって、体を動かしている内に「リズムとメロデイー」が付いたと解釈している。そこで網引きやら櫓こぎやらの雰囲気のある歌が生まれたのだと思うのレス。・・雰囲気のない唄は「NG」と成る所以でアリマス。
雰囲気と言うことで言えば、「見てきた様な講釈師」ではないが、歌が生まれたときにはその歌に体温も脈拍もあった。紙に書かれた歌を読んだ人には脈拍も体温も感じられない。唄うと言うことは冷たい文字に命を吹き込むと言う事なのダ。と理屈だけは達者な拙者なのレス・・踊りも三味線も一緒でしょう。

郷里とは言え、どの地方でどんな風に唄われたかの現場は知らない。のんしは、「あなた」のことを「主は→ぬしゃ」と言うから「のんしこら→あんたチョッと」位の軽いコロガリだと思う。弾みの「コラ」そのものに意味はないとも・・思うしこれで全部つながる・・わけレス・・「よかったバイ」

カンニンサーイ→かんにんさっしゃい→かんにんしてね→カンニンサーイ
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