大阪鋼巴球迷的博客(だあばんがんばあちうみいだぼーくぉ)

熱烈なるガンバ大阪サポの筆者が、世界で最も多くサッカーファン人口を持つ中国にガンバの名前を広めんと日中二ヶ国語で発信する

ポストシーズン制度考察

2013-09-14 22:52:52 | サッカー全般
2シーズン制に反対の横断幕が今日のJ1の様々なスタジアムで出ているけども、Jリーグからしてみれば、大事なのは2シーズン制というよりは、ポストシーズンゲームの方で、2シーズン制は手段に過ぎないのだろう。実際、ポストシーズンゲームの導入を決めるに当たり、報道によると2ステージ制の他にももう一つ、上位4チームによるプレーオフという案も出されたみたいだし。

個人的にはサッカーで北米的ポストシーズンという制度自体は、他の手法でもって北米でのポストシーズンゲーム導入の目的を果たせているという理由から基本的には不要というスタンスだが、どうしても北米の4大スポーツで行われている形を真似したいんなら、もう一つの提案である上位チームでのプレーオフ制度の方が良かったと思う。出来れば8チームぐらい参加ってことにすればもっと盛り上がるでw

まあ、流石にそれはサッカー的ではないとして却下されたんだろうな。

今回の導入に当たり、北米の4大スポーツを引き合いに出す人がいるんだけども、そもそもなんで北米でああした制度が有るのかを正確に理解している人たちは少ないんじゃないだろうか?その目的の一つには消化試合を極力減らすというのがあるからなんだが。

北米の4大スポーツにおいて、消化試合があると何で問題なのかと言うと、オラがチームがコケてしまって、上に行く望みがなくなると、ファンはその競技のシーズン終盤頃に開幕した他の競技にサッサと乗り換えてしまうからですわ。

とりわけMLBなんかはその問題に対して凄く敏感なわけでして。地区優勝やワイルドカードの枠が決まった時点で、その順位に関係ない試合は打ち切ってしまうことがあるのも、順位が確定した後に客の入らないガラガラな試合を続ける意味がないという、経済的合理性という観点に基づいているからなわけです。だからまあ、MLBはワイルドカード枠の拡大という手法で消化試合を減らそうとしてるわけ。ちなみに、NPBのCSについてもいろんな批判があるけども結局あれも同じ方向性で導入されたものだと筆者は認識している。だからこそ、CSにおける上位チームのアドバンテージをどうするかが課題ではありますけどもね...

で、結局消化試合という問題からポストシーズンのプレーオフが導入されていたというあちらの背景を考えると、サッカーでは逆にそうした制度を導入する必要はなかったと考えられていたように思えるわけです。

というのも、サッカーのリーグ戦では、ボトムズには、降格という危機が忍び寄る。上位チームや中の上のグループに対しては、優勝が厳しくなっても、欧州ならばCL出場の可能性があり、そこに手が届かなくても、ヨーロッパリーグもある。下部リーグにおいては、欧州カップ戦の出場はなくとも、プレーオフ制度で、昇格争いを盛り上げようとしている(その意味で、今季の大分の成績だけでもって昇格プレーオフ制度を否定するのはお門違いなわけでして)。

だからまあ、こうして見てみると、CLもヨーロッパリーグも昇格プレーオフにしても、勿論それらの本チャンは大事なんだけども、同時にその資格を手にするまでの過程を盛り上げるという副産物を産み出しているわけ。その意味で、北米でのポストシーズンにしても、サッカーにおけるこれらの仕掛けにしても、方法論こそ違えど根底の発想は実は同じなわけです。シーズンの順位争いを如何に最後まで盛り上げるか、という点においては。

その観点で考えると、今回のJリーグの改革には問題が潜んでいる。

一つにはACLの出場権の扱い。従来の制度だと、3位以内までに入れればACLという目標が上位チームチームには目標があった。象徴的だったのが10年のシーズンで、名古屋が残り3試合残してリーグ優勝した後も最後までACLの出場権争いで盛り上がったし、そのことを金子センセイも絶賛してなかったっけ?新制度だと、JFAがどう決めるのかは解らないけど、恐らくはポストシーズンゲームでの成績に基づくわけか。ただ、それだと少なくとも年間一位のチームには出場権が付与されそうなので、そこがせめてもの救いなんだけども、従来とは異なり、各ステージで優勝争いに絡んでこないとACL出場の目標には届かなくなるかもしれんし。つまり、ACL出場をリーグ戦終盤の盛り上げにはあまり使えなくなるということですわ。

もう一つには、プレーオフ開催によって確かにその分については潤うんだけども、それがシーズン順位決定争いをどのように活性化させるか、という点が見えてこない事だ。筆者にしてみれば、この点が見えて来れば、本来は賛成ではないものの条件付きで賛成は出来る。だからこそ、冒頭でも申し上げたように、どうしてもやりたいのなら、1シーズンやって年間の上位チームでプレーオフの方がまだいいんじゃないかって書いたのもそのためですがね。2ステージ制度では、前後期優勝や降格が絡んでくる以外は消化試合が増えるわけだし。

そして観客数にしても、平日開催が増えることで平均観客動員も怪しくなるかもしれんしね。確かに、新しい仕掛けによってそれを見に来るという層は出てくるかもしれないが、それは裏返せば北米と同様にポストシーズンだけを見ればOKという、固定化されたライト層を生み出すかもしれない。2年前のバンクーバーなんかその典型で、スタンレーカップファイナルの間に街中で便乗騒ぎしてた連中なんかが、普段からカナックス観てるとはとても思えんし(あいつらは往年の名選手だったリンデンやブレを覚えてるか?)。お陰で地元の日加商工会議所が在留邦人向けの様々なイベントを延期せざるをえなくなったし。

ホンマ、今のところポストシーズン行うことで儲かると試算されている金だけですね。まあ、Jリーグからの試算が出されて、それがどこまで信憑性があるかは別にして、反対してたら分配金減るぞ、なんて説得(恫喝?)されたら、反対意見もへったくれもないもんね。その意味では、各クラブの社長さんには同情するんだけども、ポストシーズンという制度を如何にシーズンのじゅん活性化に繋げるか、という考えは、Jリーグにも社長さんらにも出てこんかったかな…