ここのところ、主婦の座を脅かされている。
クビになる日も、そう遠くない気もする。
我が家に、新たな若い女が出現した。
朝は、誰よりも早く起き、部屋を暖め、朝食をこころを込めて作り、わたしの夫を笑顔で送り出す。
彼女は、毎朝、5時過ぎには出勤する、夫のために、準備時間の余裕をみて事前に起き、夫に尽くす。
夫の目じりは下がりっぱなし。
目じりのシワは、今年初頭から、はっきりくっきり、深く刻まれたに違いない。
で、負けじと、わたしも、今日は夫が出て行く20分前に起きた。
かなり、頑張って。
20分あれば、かんたんなサラダ、トーストや、コーヒー、コール・ミールぐらいは用意できる。
で、眠い目をこすりこすり、片身だけ上着の袖を通し通し、ダイニングキッチンに行ってみると・・・
若い女は、すでにもう、すべてを終了していた。
う・・・、でも、まだサラダが出ていない。
せめて、サラダだけでも追加して、本妻の面目を保たねば。
「はい、どーぞ。
でも、ドレッシング、かけすぎたらダメよ。
あんたは、いつも、ドレッシングをかけすぎるんだから。
自分のカラダぐらい、自分でコントロールしないと。
健康にも、美にも、まったく注意を払わないんだから」
言わなくてもいい、聞きたくもないことを、ぐわっとまとめて吐き出す、ヒール(悪役)おばば。
これなら、しゃしゃり出てこないで、布団のなかで寝てるほうが、すっとマシ。
なんのために、こんなことをするのか?
わざわざ、嫌われるために?
年末に帰ってきた上娘に、わたしは、いま、清く正しい主婦道を教えられている。
「仕事もしないで家にいるんだったら、これぐらいするのは、主婦なら、あたりまえでしょ?」
就職後、はじめて産休と育休をとって、仕事を離れている彼女。
はじめての、まとまった時間のフリータイム。
彼女の言葉に、ぐうの音も出ず、わたしは、うなだれている。
劣等生、落第生、落ちこぼれ生。主婦失格。
アタマの上を、主婦先生の発するお小言、教えが、重く通過する。
誰が、こんな娘に育てたのだろう?
わたしじゃない、誰かだろう。
いったい、誰?
成長してくれて感謝している・・・・。
嬉しそうに出勤する、夫の、でれっとした顔を見つつ・・・。
わたしの「クビ。レイオフ」は、目の前だ。