久々ぶりに、新歌舞伎座に行った。
石井ふく子 百寿記念公演、「かたき同士」作:橋田壽賀子、演出:石井ふく子、出演:藤山直美、高島礼子、熊谷真美。

熱演で面白かったのだが、、、
わたしのすぐ前の席の男性がデカい。
舞台の真ん中がちょうど見えない。
首を左右に折ったり、身体を曲げたりして、必死で見た、、、のはいいが、わたしの後ろの席の人は、おそらく多動症気味の落ち着かないわたしの動きが、鬱陶しいことだろう。
わたしだって、好きで多動症になっているわけではない。
せめて、あの男性が右前の席なら、舞台中央を見るのに、邪魔にならないのに。
ちょうど、舞台中央の対角線上、わたしを遮る、どまん前。
知り合いの方は最前列、しかも舞台真ん中寄りの席だった。
もう1組の知り合いは、前から2番目の席。
わたしは、7列目で、結構リアルな表情までハッキリ見えるはずなのに、、、ちょっと中央よりは右寄りの席、、、それはまだいいとして、、、その、図体の大きな男性が妨げとなり、見えなかった。
必死で隙間から覗いても、メガネの視力検査をしているごとく、矯正視力は、1.0行くか行かないか、、、なので、わたしの目の悪さのせいで、これまたよく見えなかった。
こうなれば、聞くしかない。耳、ヒヤリング、聴力頼り。
マイクが付いているようなので、よく聞こえた。
藤山直美の動きが大きいと、動きが伝わった。
目が悪くても、目の前に障害があっても、会場の空気感は共有できた、、、
のではあるものの、、、やはり、この席の運の悪さはどうしようもない。
面白さ半分、ガッカリ、半分。
同じ立場、条件の知人が最前列で、不公平感、半分。
政治力?
ちなみに、藤山直美は、お父さんにそっくり。
藤山寛美を知る世代のわたし。
泣く演技が特に迫力がある。
美女、高島礼子が霞んで見えてしまう。
やはり、舞台で美女はインパクトが薄いと感じた。
どうしても、活発で爆発的な動きをする、面白い方に目が奪われる。
会場の空気を一気に掴む。
乳幼児が、動くモノが大好きなのと同じ理屈か。
わたしは涙を流すポイントが多分、作者の意図や、他の観客とズレていたと思う。
わたしは、子は子、子供は別人格だと思っているので、所有欲も薄く、見返りはあまり求めないタイプなので、子供が成長して親の元を離れ飛び立って行ってくれたら、本望。
わたしを反面教師にしてくれたら、それでよし。
なので、あまり、お涙頂戴、浪花節志向はない。
赤ちゃんや小さな子供がやがて大きくなる、かわいい子犬や子熊は、肉体的にかわいいのは幼い時だけという、覆せない絶対的な宿命であるだけに、愛おしい。
時は止まらない、待ってくれない。
貴重な時間の冷徹さ。
人生のピークや仕事の成功も、必ず下山する時を迎える。
特に乳幼児が大きくなるのは、一瞬。
幼い子供の小ささには無条件に涙が溢れ落ちる。