みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0841「こそ泥」

2020-03-22 18:08:39 | ブログ短編

 ホテルの一室。ビジネスマンらしき男が仕事(しごと)をしていた。何かの資料(しりょう)を見たり、書き込みをしたり忙(いそが)しそうだ。だが、どこか様子(ようす)がおかしい。そこへルームサービスがやって来て、コーヒーを男の前へ置いた。男はそれに気づくと、
「あっ、ありがとう。どうにも、眠(ねむ)くてね。今夜中に仕事を仕上(しあ)げないといけないのに…」
 男はコーヒーを口にした。そしてカップをソーサーに戻(もど)すと、突然(とつぜん)男は突(つ)っ伏(ぷ)して眠り込んでしまった。――まだ部屋に残っていたホテルマンは、男が寝入(ねい)っているのを確認(かくにん)すると、ドアまで走って別の男を呼(よ)び込んだ。入って来た男は不安(ふあん)そうに呟(つぶや)いた。
「こ、殺(ころ)しちまったのかい?」
「バカ言うな。まったく何て男だ。いくら薬(くすり)を飲ませても効(き)かないなんて…。こんな奴(やつ)は初めてだ。さぁ、さっさと片づけちまおう。契約書(けいやくしょ)を頂戴(ちょうだい)するんだ」
「何でそんなのが必要(ひつよう)なんだい? それよりも、手っ取り早く金(かね)をいただいた方が…」
「お前はどうして目先(めさき)のことばかり考えるんだ? こいつが持ってる金より、契約書の方が高く売れるんだよ。何でそれが分からないかなぁ」
 ――男たちは部屋中探し回ったが、目当(めあ)てのものは見つからなかった。
 後から来た男があせって言った。「やばいよ、早くずらからないと…」
「くそっ、何てこった。仕方(しかた)がない、金だけでもいただいて行こう」
「こいつ、1セントも持ってなかったぜ。…ここの払(はら)いは、どうするつもりなんだろ?」
<つぶやき>ちょっと間(ま)が抜(ぬ)けてますよね。もしかして、入る部屋を間違(まちが)えてるのかも…。
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