みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

1450「しずく205~新しい能力」

2024-03-15 18:05:27 | ブログ連載~しずく

 人形(ひとがた)が川相初音(かわいはつね)に迫(せま)っていた。彼女の能力(ちから)はもうほとんど残(のこ)っていない。突然(とつぜん)、水木涼(みずきりょう)が目を覚(さ)ました。そして起き上がると感情(かんじょう)のない声で神崎(かんざき)つくねに言った。「私に任(まか)せて」
 涼は両手(りょうて)を前に突(つ)き出すと、彼女の目が青く輝(かがや)いた。次の瞬間(しゅんかん)、両手から光が放(はな)たれた。光は網(あみ)の目のように広がって、人形だけを切り裂(さ)いていく。
 つくねは思わず呟(つぶや)いた。「すごい。こんなことできるなんて…」
 初音は逃(に)げ出そうとするが足が思うように動かない。上空(じょうくう)にいた川相琴音(ことね)が助(たす)けに降(お)りて来た。二人はつくねたちがいる方へ向かった。その時、バラバラになった人形が変化(へんか)を始めた。キューブ状(じょう)だったのがまるで液体(えきたい)になったように床(ゆか)に広がり始めた。そして、一塊(ひとかたまり)になっていく。初音たちがたどり着いた頃(ころ)には巨大(きょだい)な人形になってしまった。
 その頃、柊(ひいらぎ)あずみと貴志(たかし)は地下(ちか)にある電力設備(でんりょくせつび)のある場所(ばしょ)に来ていた。途中(とちゅう)、人を包(つつ)み込んだ状態(じょうたい)で人形が固(かた)まって動かなくなっているのをいくつも見かけた。人形は敵味方(てきみかた)関係(かんけい)なく動いているようだ。あの巨大な装置(そうち)が暴走(ぼうそう)しているのか、それとも日野(ひの)あまりが抵抗(ていこう)しているからなのか? 二人には分からなかった。
 貴志が設備を調(しら)べているあいだ、あずみは付近(ふきん)を見て回った。どこにも人はいなかった。みんな逃げ出してしまったのだろう。貴志が声をあげた。
「見つけたよ。ここを破壊(はかい)すれば電源(でんげん)は落ちるはず」貴志は背負(せお)っていたリュックから小さな箱(はこ)を取り出して言った。「まさかこれを使うことになるとは思わなかった」
<つぶやき>それはいったい何なのでしょうか? 早くしないと巨大な人形が迫ってます。
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1445「しずく204~飛べない」

2024-02-04 18:17:39 | ブログ連載~しずく

 人形(ひとがた)は次々(つぎつぎ)に湧(わ)き出てくる。そして神崎(かんざき)つくねと眠(ねむ)ったままの水木涼(みずきりょう)に近づいて来た。つくねはそばに落ちていた棍棒(こんぼう)を拾(ひろ)い上げて投(な)げつける。棍棒は人形に突(つ)き刺(さ)さったが何のダメージも与(あた)えられなかった。それどころか、棍棒は人形に呑(の)み込まれていった。
 つくねは涼を抱(だ)き起こして、アキの近くへ飛(と)んだ。そして柊(ひいらぎ)あずみに叫(さけ)んだ。
「先生(せんせい)! こいつらに触(ふ)れたら取(と)り込まれるかも。こっちは任(まか)せて、早く行って!」
 あずみは返事(へんじ)を返(かえ)すと、貴志(たかし)とともにその場を離(はな)れた。つくねはどうしたものかと考えた。アキは日野(ひの)あまりを救(すく)おうと能力(ちから)を注(そそ)ぎ込んでいる。あたし一人で何ができるの?
 その時だ。川相初音(かわいはつね)と琴音(ことね)が姿(すがた)を現した。ちょうど人形の目の前に――。
 つくねが叫んだ。「逃(に)げて!」
 琴音はすぐに宙(ちゅう)に舞(ま)い上がったが、初音は壁(かべ)を作るのが精一杯(せいいっぱい)だった。しかし人形はその壁を少しずつ浸食(しんしょく)していく。初音の能力(ちから)を吸(す)い取っているように。初音は叫んだ。
「どうなってるのよ! こいつら何者(なにもの)なの?」
「分かんないよ」つくねが答(こた)えた。「そいつらに触れると逃げられなくなるわ。飛んで!」
 初音は飛ぼうとしたがダメだった。なぜか能力(ちから)を使うことができなくなっていた。壁はどんどん薄(うす)くなっていく。琴音が助(たす)けに向(む)かおうとするのを初音は止めて言った。
「来ちゃだめ! あなたには何もできないでしょ。ここは、何とかするから…」
<つぶやき>いったい何が起きているのか…。人形を止めることはできるのでしょうか?
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1440「しずく203~湧き出る」

2023-12-29 18:04:56 | ブログ連載~しずく

 光の糸(いと)はすぐに消(き)えてしまった。水木涼(みずきりょう)は両手(りょうて)をだらりと倒(たお)した。神崎(かんざき)つくねが呼(よ)びかけても目を開けることはなかった。いつの間にか敵(てき)の姿(すがた)は消えていた。エリスもいなくなり、見えないヤツもどこかへ行ってしまったようだ。
 みんなはホッと息(いき)をついた。その時だ。巨大装置(きょだいそうち)がいきなり唸(うな)りだした。何かが起(お)きようとしているのか? アキが異変(いへん)に気づいて声をあげた。
「どうなってるのよ。お姉(ねえ)さんから、すごい能力(ちから)が装置に向(む)かって流(なが)れてる!」
 柊(ひいらぎ)あずみが駆(か)け寄って日野(ひの)あまりを覗(のぞ)き込んだ。あまりは苦(くる)しそうな顔をしていた。
「何とかならないの?」あずみが言った。
 そばにいた貴志(たかし)が、「装置の電源(でんげん)を切(き)るしかないかも…。でも、このお姉さんが…」
「やって!」アキが叫(さけ)んだ。「お姉さんは、あたしが守(まも)る。死(し)なせるもんですか」
 貴志は電源を探(さが)してみるがなかなか見つからない。どこかに動力源(どうりょくげん)が有(あ)るはずなのに…。そこに千鶴(ちづる)から声が届(とど)いた。「地下(ちか)へ行って。そこにあるわ。私が案内(あんない)するから…」
 あずみはつくねに言った。「貴志と行ってくるわ。ここ、お願(ねが)いね」
 つくねは大きく肯(うなず)いた。貴志は促(うなが)されるまま、あずみについて装置の階段(かいだん)を駆け下りた。そして地下へ向かおうとしたとき、それは起きた。何かがボワッと広がって、みんなは立ち止まった。次の瞬間(しゅんかん)、壁(かべ)や床(ゆか)から何かがもがくように出てくる。それは人の形(かたち)になり、まるでゾンビのように次々(つぎつぎ)に湧(わ)き出してきた。
<つぶやき>何がどうなってるの? こいつらは人間(にんげん)なのか? それとも幻覚(げんかく)なのかなぁ。
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1435「しずく202~光の糸」

2023-11-30 18:02:22 | ブログ連載~しずく

 水木涼(みずきりょう)が叫(さけ)んだ。「気をつけて! 見えないヤツが――」
 涼が言い終(おわ)わらないうちに、カラスと呼(よ)ばれた敵(てき)は神崎(かんざき)つくねに襲(おそ)いかかっていた。つくねは服(ふく)を切(き)られたが何とかかわし、涼に叫んだ。
「そっちへ行ったわよ!」
 涼は身構(みがま)えるが敵の姿(すがた)がまったくつかめない。突然(とつぜん)、右腕(みぎうで)が何かにつかまれてぐいっと背中(せなか)の方へひねられた。後(うしろ)に何かいる。そう思った時には、膝(ひざ)を落(お)として身動(みうご)きができなくなっていた。首筋(くびすじ)に何か冷(つめ)たいものが当(あ)たった。涼は息(いき)を呑(の)んだ。
 涼は思った。まさか、こんなにあっけなく死(し)んじゃうなんて…。まだ恋(こい)もしてないのに。こんなのってありなの? まだやりたいこといっぱいあるのに…。死にたくないよ!
 涼のなかで何かが起(お)きていた。身体(からだ)の中心(ちゅうしん)から熱(ねつ)が湧(わ)き上がってくるようだ。意識(いしき)が遠(とお)くなり、全身(ぜんしん)の力が抜(ぬ)けていく。
 そのとき、涼の背後(はいご)につくねが現れた。そして見えない敵に一撃(いちげき)をくわえた。手応(てごた)えはあった。つくねは周(まわ)りに注意(ちゅうい)を向けた。敵の姿を見失(みうしな)っていた。倒(たお)れた涼は全身を痙攣(けいれん)させている。つくねは涼を抱(だ)き起こし、彼女の頬(ほお)に手を当てて、
「涼、しっかりして…。どうしちゃったのよ。ねぇ……」
 痙攣がおさまると、涼は突然(とつぜん)目を開けて、両手(りょうて)の平(ひら)を上に向けた。すると両手から光が飛び出した。そして、まるで蜘蛛(くも)の糸(いと)のように周りに広がって行った。
<つぶやき>いったい何が起きているのでしょうか? 涼の新たな能力(ちから)が発動(はつどう)したのかも。
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1430「しずく201~対面」

2023-11-10 17:33:26 | ブログ連載~しずく

 怪獣(かいじゅう)たちの壮絶(そうぜつ)なバトルの最中(さなか)に、月島(つきしま)しずくは川相姉妹(かわいしまい)にささやいた。
「あなたたちはあまりのところへ行って。私が送(おく)り届(とど)けるわ」
 初音(はつね)は首(くび)を振(ふ)って、「ダメよ。あいつ、あの洞窟(どうくつ)にいたヤツよ。あなた一人じゃ…」
 しずくはなぜか微笑(ほほえ)むと、「知ってるわよ。あの娘(こ)と、ちょっと話しがしたくてね。私のことは心配(しんぱい)ないわ。今、ちょっと大変(たいへん)なことになってて、手を貸(か)して欲(ほ)しいの」
 初音はしぶしぶ肯(うなず)いた。いつの間(ま)にか、怪獣たちは消(き)えている。岩(いわ)の上にいたメイサが立ち上がってしずくたちを見つめていた。しずくもメイサを見つめる。二人の間(あいだ)に何かのやり取りがあったのか、メイサは微笑んで見せて岩の上にまた座(すわ)り込んだ。
 しずくは二人を促(うなが)して、「さぁ、行って…」二人の前にピンクウサギが現れた。初音はそれを手に取ると、琴音(ことね)と一緒(いっしょ)に幻影世界(げんえいせかい)を抜(ぬ)けて行った。
 二人が消えるのと同時(どうじ)に、メイサがしずくの前に姿(すがた)を現した。二人はしばらく見つめ合うと、メイサが楽(たの)しそうに話しかけた。
「あたし、あなたのこと知ってるかも…。どこかで会わなかった?」
 しずくは恐(おそ)れる様子(ようす)もなく静(しず)かな口調(くちょう)で答(こた)えた。「そうねぇ。どこかで会ってるかもね」
「あなたから強い能力(ちから)を感(かん)じるわ。嬉(うれ)しい。こんなの始めてよ。あなたとなら思いっきり楽しめそうだわ。さぁ、始めましょうよ。あたしは、いつでもいいわよ」
<つぶやき>二人の対決(たいけつ)が始まっちゃうのか? みんなの戦(たたか)いはどう展開(てんかい)していくのか。
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