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みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0022「取扱注意の女」

2025-08-12 18:57:21 | 超短編戯曲

   居酒屋(いざかや)で会社(かいしゃ)の飲(の)み会(かい)が開(ひら)かれていた。そろそろお開(ひら)きという感(かん)じ。テーブルの隅(すみ)の方(ほう)で、芳恵(よしえ)が新入社員(しんにゅうしゃいん)の圭太(けいた)にからんでいた。
芳恵「ちょっと、ちゃんと私(わたし)の話(はな)し聞(き)いてる!」
圭太「もちろん、聞(き)いてますよ、先輩(せんぱい)。でも、あの、そろそろ…」
芳恵「なんで、あの女(おんな)に任(まか)せるのよ。私(わたし)の方(ほう)が、きっちりと、この…」
圭太「あの、先輩(せんぱい)。もう、みんな、帰(かえ)ろうって…」
      圭太(けいた)は立(た)ち上(あ)がろうとする。芳恵(よしえ)、彼(かれ)の腕(うで)をつかんで引(ひ)っぱる。
芳恵「まだ、話(はな)し終(お)わってないでしょ。人(ひと)の話(はなし)は、ちゃんと最後(さいご)まで聞(き)きなさい」
圭太「ちゃんと聞(き)いてますって…」
芳恵「私(わたし)はね、この会社(かいしゃ)で、一生懸命(いっしょうけんめい)働(はたら)いてきてるの。もう、七年(しちねん)よ。七年(しちねん)」
圭太「ああ、そうなんですか」
芳恵「あの女(おんな)より、私(わたし)の方(ほう)が優秀(ゆうしゅう)なんだから。ちょっと私(わたし)より美人(びじん)なだけなのに、なんでいい仕事(しごと)は向(む)こうへ行(い)っちゃうわけ」
圭太「いや、そんなことないですよ。先輩(せんぱい)の仕事(しごと)だって…」
芳恵「フフフ…。ねえ、あの女(おんな)の昔(むかし)のあだ名(な)、教(おし)えてあげようか? どん亀(がめ)って言(い)うの。フフフ…。小学校(しょうがっこう)の運動会(うんどうかい)で、いつもびり走(はし)ってて…」
圭太「何(なん)で、そんなこと…」
芳恵「だから、こんなちっちゃい頃(ころ)から知(し)ってるの。ほんと、いやな奴(やつ)だったわよ」
圭太「それって、幼(おさな)なじみとか…」
芳恵「幼稚園(ようちえん)のときなんか、私(わたし)のおもちゃでかってに遊(あそ)ぶのよ。自分(じぶん)のことしか考(かんが)えてないの。今(いま)も、そういうとこあるじゃない。そう思(おも)わない…」
圭太「いや、そうかな…」
      芳恵(よしえ)は圭太(けいた)の腕(うで)をつかんだまま酔(よ)いつぶれてしまう。
係長「じゃあ、さきに帰(かえ)るな。君(きみ)たちの分(ぶん)は、立(た)て替(か)えといたから」
圭太「そんな、係長(かかりちょう)…」
明日香「じゃあね、芳恵(よしえ)のこと頼(たの)んだわよ。ちゃんと、送(おく)ってあげてね」
圭太「いや、待(ま)って下(くだ)さいよ。僕(ぼく)も…」
寛子「大丈夫(だいじょうぶ)よ。君(きみ)は草食系(そうしょくけい)だから、きっと無事(ぶじ)に帰(かえ)れるわよ」
圭太「えっ? どういうことですか」
吾朗「(圭太(けいた)の耳元(みみもと)で)お前(まえ)、変(へん)な気(き)おこすなよ。へたすると、怪我(けが)だけじゃすまないぞ」
圭太「なに言(い)ってるんですか、先輩(せんぱい)」
芳恵「(突然目(とつぜんめ)をさまし)こら、新人(しんじん)。まだ、話(はな)し終(お)わってないだろ(また寝(ね)る)」
圭太「あの、僕(ぼく)はどうすれば…」
時江「彼女(かのじょ)、合気道(あいきどう)やってるのよ。だから、反射的(はんしゃてき)に身体(からだ)が動(うご)いちゃうこともあるみたい。取扱(とりあつかい)には細心(さいしん)の注意(ちゅうい)を払(はら)いなさい。私(わたし)が言(い)えることは、それだけよ」
    みんなは出(で)て行(い)く。圭太(けいた)は、気持(きも)ちよさそうに寝(ね)ている芳恵(よしえ)を見(み)て、途方(とほう)にくれた。
<つぶやき>翌日(よくじつ)、きっと彼女(かのじょ)は何事(なにごと)もなく出社(しゅっしゃ)することでしょう。すべてを忘(わす)れて…。
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0021「よりどころ」

2025-07-17 19:13:41 | 超短編戯曲

   暗闇(くらやみ)の中(なか)。どこともしれない道(みち)。男(おとこ)と女(おんな)が迷(まよ)い込(こ)んだ。
女「ねえ、どうするのよ」
男「どうするって?」
女「私(わたし)たち、どこまで行(い)けばいいの?」
男「そんなこと、俺(おれ)にわかるわけないだろ。こんな暗(くら)くて、先(さき)が見(み)えないんじゃあ」
女「あなたのせいよ。あなたが行(い)こうって言(い)ったのよ」
男「何(なん)だよ。お前(まえ)だって、のこのこついて来(き)たんだろ」
女「何(なに)よ、あなたがそそのかしたからでしょ。俺(おれ)について来(く)れば、幸(しあわ)せにしてやる…」
男「それはな、言葉(ことば)のあやだよ。そんなこともわかんないのかよ」
女「もう、こんなの耐(た)えられない。私(わたし)、帰(かえ)ります」
男「ふん、出来(でき)るもんならやってみろよ。おまえ一人(ひとり)じゃ、何(なん)にも出来(でき)ないくせに」
女「ひどい。女(おんな)だと思(おも)って、馬鹿(ばか)にしないでよ」
男「馬鹿(ばか)になんかしてないよ。俺(おれ)は事実(じじつ)を言(い)ってるだけだ」
女「よく言(い)うわよ。あなただって…。私(わたし)がいなきゃ、何(なん)にも出来(でき)ないじゃない」
男「俺(おれ)は…。お前(まえ)がいなくたって、全然平気(ぜんぜんへいき)だよ」
女「強(つよ)がり言(い)っちゃって。わかったわよ。じゃあ、さよなら。お元気(げんき)で」
      女(おんな)、男(おとこ)から離(はな)れていき、暗闇(くらやみ)に消(き)えてしまう。間(ま)。不安(ふあん)になる男(おとこ)。
男「おい。(間(ま))おーい! どこにいるんだ。戻(もど)って来(こ)いよ!」
      男(おとこ)、女(おんな)が消(き)えた方(ほう)に走(はし)り出(だ)そうとする。女(おんな)、別(べつ)の方向(ほうこう)から現(あらわ)れる。
女「呼(よ)んだ?」
男「(驚(おどろ)いて)わあ! お前(まえ)、脅(おど)かすなよ。何(なん)で、そんな方(ほう)から…」
女「知(し)らないわよ。まっすぐ歩(ある)いてたら、あなたの声(こえ)が聞(き)こえて…」
男「それで、淋(さび)しくなって引(ひ)き返(かえ)してきたのか?」
女「違(ちが)うわよ。引(ひ)き返(かえ)してなんかいないわ。私(わたし)は、まっすぐ歩(ある)いてきたの」
男「どういうことだ。まさか、俺(おれ)たち、同(おな)じところをぐるぐる回(まわ)っているのか?」
女「そんな…。じゃあ、私(わたし)たち、このままずっと…」
男「なに馬鹿(ばか)なこと言(い)ってんだよ。そんなことあるわけ…」
女「(不安(ふあん)になり)ねえ、私(わたし)たち、どっちから来(き)たのかな?」
男「どっちって、(指(ゆび)さして)あっちだよ」
女「それ、違(ちが)うわよ。(別(べつ)の方向(ほうこう)を指(ゆび)さして)むこうだったよ」
男「なに言(い)ってんだ。そっちじゃないよ。俺(おれ)たちが来(き)たのは…」
      男(おとこ)、ぐるりとあたりを見回(みまわ)す。そして、困惑(こんわく)した顔(かお)で女(おんな)を見(み)る。
女「なに? どうしたのよ」
男「わからない。俺(おれ)たち、どっちから来(き)たんだ。出口(でぐち)はどこなんだよ!」
女「落(お)ち着(つ)いて。大丈夫(だいじょうぶ)だよ。きっと、どこかにあるわ。二人(ふたり)で探(さが)しましょ」
男「なあ、俺(おれ)のそばにいてくれ。(女(おんな)にしがみつき)もう、どこへも行(い)かないでくれ」
<つぶやき>男(おとこ)にとって、女(おんな)はよりどころなのかもしれません。女(おんな)にとって、男(おとこ)は…。
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0020「ゴールを目指して」

2025-06-20 18:43:44 | 超短編戯曲

   駅前(えきまえ)の喫茶店(きっさてん)。利恵(りえ)がそわそわしながら待(ま)っている。そこへはるかがやって来(く)る。
利恵「もう、遅(おそ)い。何時(なんじ)だと思(おも)ってるのよ」
はるか「十分遅(じゅっぷんおく)れただけでしょ。それに、急(きゅう)に呼(よ)び出(だ)しといて…」
利恵「ねえ、どうしたの。そんなにお洒落(しゃれ)しちゃって」
はるか「ちょっと……ね。私(わたし)だって、暇(ひま)じゃないんだから」
利恵「そうなんだ。うふふふ…」
はるか「変(へん)な笑(わら)い方(かた)するな。それで、急用(きゅうよう)ってなによ。私(わたし)、あんまり時間(じかん)ないから…」
利恵「(あらたまって)報告(ほうこく)します。私(わたし)、ついに彼氏(かれし)ができちゃいました」
はるか「はい? なによ、そんなことで呼(よ)び出(だ)したの」
利恵「そうだよ。もう、まっ先(さき)にはるかに教(おし)えてあげたくて…」
はるか「いいよ、そんなこといちいち報告(ほうこく)しなくても」
利恵「なに言(い)ってるの。同級生(どうきゅうせい)の友達(ともだち)で私(わたし)たちだけじゃない。いまだに彼氏(かれし)がいないの」
はるか「(声(こえ)をひそめて)もう、こんなとこで、そんなこと…」
利恵「今度(こんど)の彼(かれ)はね、とっても優(やさ)しくて…」
はるか「はいはい。でも、今度(こんど)は大丈夫(だいじょうぶ)なの? お金(かね)、だまし取(と)られてるんじゃ…」
利恵「それは、大丈夫(だいじょうぶ)。私(わたし)だって、ちゃんと学習(がくしゅう)できるんだから」
はるか「それならいいけど。あんた、ほんと変(へん)な男(おとこ)に惹(ひ)かれるんだから」
利恵「彼(かれ)ったらね、いつも私(わたし)に電話(でんわ)してきて。腹(はら)へった、何(なに)か食(た)べに行(い)こうよって、甘(あま)えた声(こえ)で言(い)うのよ。私(わたし)、そのたびに彼(かれ)に付(つ)き合(あ)って。少(すこ)し、太(ふと)っちゃったかな?」
はるか「なにそれ。ひょっとして、おごったりとかしてない?」
利恵「だって、彼(かれ)、まだ学生(がくせい)なのよ。社会人(しゃかいじん)としては当然(とうぜん)…」
はるか「あきれた。彼(かれ)、いくつなの?」
利恵「うふふ。あのね、まだ、二十歳(はたち)。きゃっ…」
はるか「利恵(りえ)、冷静(れいせい)になって、よく考(かんが)えてみな。あなたと、一回(ひとまわ)りも違(ちが)うのよ」
利恵「十個(じゅっこ)だよ。それに、私(わたし)のことお姉(ねえ)さんみたいだって…。彼(かれ)ね、男(おとこ)の兄弟(きょうだい)ばかりで、お姉(ねえ)さんが欲(ほ)しかったんだって」
はるか「はーぁ。私(わたし)、もう行(い)くわ。付(つ)き合(あ)ってらんない」
利恵「えーっ、まだいいじゃない。いま来(き)たとこでしょ」
はるか「私(わたし)、堅実(けんじつ)にいこうと思(おも)って。あなたより先(さき)に、ゴールするからね」
利恵「なによ、それ」
はるか「婚活(こんかつ)よ。私(わたし)、真剣(しんけん)に取(と)り組(く)もうと思(おも)って。これからお見合(みあ)いパーティがあるの」
利恵「えーっ。大丈夫(だいじょうぶ)なの? 男(おとこ)の人(ひと)と話(はな)したりするんだよ。ちゃんと、しゃべれるの?」
はるか「大丈夫(だいじょうぶ)よ…。私(わたし)だって、もう、大人(おとな)なんだし…」
利恵「だって、高校(こうこう)のとき、ひどいふられかたして、十日(とおか)も学校休(がっこうやす)んだじゃない」
はるか「もう、言(い)わないで。思(おも)い出(だ)しちゃうじゃない」
利恵「それ以来(いらい)、男(おとこ)の人(ひと)と…」
はるか「今度(こんど)こそ、乗(の)り切(き)ってみせるわ。それで、淋(さび)しい女(おんな)から卒業(そつぎょう)するんだから」
<つぶやき>みんなの思(おも)いはただひとつ。幸(しあわ)せをその手(て)でつかみ取(と)りましょう。ファイト!
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0019「ブラックパンサー2」

2025-05-24 15:30:36 | 超短編戯曲

   パーティ会場。客の中に紛れ込んでいた刑事たちが、すぐに出入口をふさいだ。
稲垣「(驚き)どうしたんだ。なんだ、君たちは…」
神崎「私が警察を呼んでおきました。事件を未然に防ごうと思いまして」
稲垣「警察? なんてことを…!」
      客の中から、年配の警部が近寄ってきて、
警部「大河原泰造だな。詐欺容疑で逮捕状がでてる。観念するんだな」
稲垣「なにを言ってる。俺は…」
警部「お前の仲間は、すでに我々が拘束した」
稲垣「クソッ…!」
神崎「警部、ダイヤは?」
警部「大丈夫です。いま捜させてます。(蛍光テープを取り出し)これを貼っといたんで、連中の動きはちゃんとつかんでますよ」
      会場にある熱帯魚の入った大きな水槽の中を、刑事たちが手を入れて探っている。
刑事「ありました。警部、見つけましたよ」(走ってきて、ダイヤを警部に渡す)
警部「ほらね、日本の警察も捨てたもんじゃないでしょ」
神崎「(ダイヤを受け取り光にかざす)やっぱり、にせ物ですね」
警部「本物が見つかるわけありませんよ。深い海の底に沈んでるんですから」
神崎「そうですね」
警部「(部下に)おい、連行しとけ」
      刑事たち犯人を連行していく。神崎は明菜に近づき声をかける。
神崎「今日はありがとう。おかげで…。(きょろきょろしている明菜に)どうしたの?」
明菜「あの、何か違うんです。停電になる前と…」
神崎「えっ?」
明菜「私、間違い探しが得意なんです。だから、気になっちゃって」
      明菜は照明のシャンデリアに目を止めた。警部も何ごとかと近寄ってくる。
明菜「みーつけた。あそこです。(シャンデリアの一つを指差す)あそこに、何かあります」
      探偵事務所。翌日。明菜が訪ねてきていた。
神崎「まさか、あんなところに本物のダイヤがあるとはね。君は、よく見つけたね」
明菜「でも、どうやってあんなところに置いたんでしょう」
神崎「さあねぇ。今日、帰るんだろ。元気でね。また…」
明菜「あの! 私を、ここで雇ってもらえませんか? お願いします」
神崎「えっ、何を言い出すんだ、君は」
明菜「私、ちゃんと確かめたいんです。兄のことを。そうじゃないと…」
神崎「でも、山岡は海で遭難して…」
明菜「でも、兄は見つかってません。それに、昨夜の会場にいたんです。私、はっきりと」
神崎「帰りなさい。もうこれ以上、かかわらない方がいい」
<つぶやき>お兄さんには何か秘密があるのでしょうか。それは、また次の機会に…。
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0018「ブラックパンサー1」

2025-04-27 16:25:48 | 超短編戯曲

   探偵事務所。若い女がたたずんでいる。そこへ男が入って来る。
明菜「(驚いて)あっ、ごめんなさい。勝手に入ってしまって」
神崎「だれ? あっ、もしかして山岡の…。そうだよね! いつだったか、写真を…」
明菜「はい、妹の山岡明菜です。あなたは?」
神崎「俺は神崎。ここで一緒に働いてたんだ。あいつも、こんな可愛い妹を残して…」
明菜「生前は、兄がお世話になりました。今日は、私物を引き取りに来ました」
神崎「そうか。そこだよ。(机を指差す)几帳面だったから、きれいに片付いてるだろ」
      明菜は兄が使っていた机にふれる。ドアがノックされて男が入って来る。
稲垣「仕事を頼みたいんだが」
神崎「そうですか、どうぞ」
      古びたソファーに座るようにすすめる。座るやいなや、
稲垣「実は、ブラックパンサーの警備をお願いしたい」
神崎「(一瞬、驚くが平静をよそおって)ブラックパンサー?」
稲垣「ダイヤです。いま日本に来ていまして、明日のパーティでお披露目するんです」
明菜「それって、盗まれたんじゃ…」
      稲垣が鋭い眼差しを明菜に向ける。
明菜「あ、すいません。以前、兄から聞いたことがあるんです。怪盗に盗まれたって」
稲垣「盗まれたのはイミテーションです。本物じゃありません」
神崎「それで、どうしてここに。警備会社に頼めばいいじゃありませんか」
稲垣「予告状が届いたんです。怪盗ドラゴンからね」
神崎「そんなばかな、彼なら…。いや、ドラゴンは死んだと聞いていますが」
稲垣「それは噂です。死んだという証拠はどこにもない」
      稲垣はレトロな封筒を出す。受け取った神崎は封筒から予告状を取り出して読む。
稲垣「この探偵事務所は、ドラゴンと対決したことがあるとか。ぜひ、お願いした」
神崎「(しばらく考えて)わかりました。お引き受けしましょう」
      賑やかなパーティ会場。一角には、ガラスケースに入れられたダイヤが展示してある。
明菜「あの、どうして私まで…」
神崎「ごめんね。人手がなくてね。猫の手も借りたいっていうか…」
明菜「私は猫じゃありません。それに…」
神崎「(時計を見て)そろそろ予告の時間だ。君は、何があってもダイヤから離れるな」
明菜「わかりました。ここにいますけど…」
      神崎が離れると、突然停電になる。動揺する人々。しばらくすると灯りが戻る。
      ケースのそばにいた人がダイヤが消えているのに気づき騒ぎ出す。
      神崎が駆け込んでくる。ケースの横で茫然と立っている明菜を見て、
神崎「どうした。何があった?」
明菜「そんな…。(ゆっくり神崎を見て)兄が…、兄がいたんです。そこに(指差す)」
神崎「あいつが…」
<つぶやき>ダイヤはどこへ。そして、怪盗の正体とは。謎が謎を呼んで次回へ続く。
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