みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

1119「べとべと」

2021-08-30 17:40:32 | ブログ短編

 何だか床(ゆか)がべとべとすることってないですか?
 それは妖怪(ようかい)べとべとの仕業(しわざ)かもしれません。拭(ふ)いても拭いてもべとべとが消(き)えなければ、そこにずっと寝(ね)そべっているはずです。そのままにしておくと、べとべとがどんどん広がって、そこら中(じゅう)がべとべとになってしまいます。
 べとべとはごちゃごちゃしたところが大好(だいす)きです。そういう場所(ばしょ)では、べとべとの子供たちが走り回っていて、部屋中(へやじゅう)ごちゃごちゃにしてしまうでしょう。そうなってしまったら、もう元(もと)の状態(じょうたい)に戻(もど)すことは難(むずか)しくなってしまいます。
 さて、妖怪べとべとを追(お)い出すにはどうすればいいのでしょうか?
 先(ま)ず一番は、家の中を綺麗(きれい)な状態にしておくことです。ごちゃごちゃがなくなれば、べとべとも大人(おとな)しくなってしまいます。でも、そんな状態を保(たも)つのは大変(たいへん)です。
 そんな時は、魔法(まほう)の呪文(じゅもん)を使いましょう。とっても簡単(かんたん)な言葉(ことば)です。
〈さぁ、お部屋の片(かた)づけをしたいひと、この指(ゆび)と~まれ〉
 べとべとたちはこの呪文を聞くと、あなたの周(まわ)りに集まって部屋の片づけを手伝(てつだ)ってくれるはずです。でも、中には頑固(がんこ)で言うことを聞かないヤツもいるかもしれません。これはちょっと厄介(やっかい)です。大きなべとべとだと諦(あきら)めるしかないかも…。それでも、時間はかかるかもしれませんが、あなたがお手本(てほん)を見せて少しずつ手なずけていきましょう。
<つぶやき>妖怪は至(いた)る所(ところ)に存在(そんざい)しているかも。あなたの周りにもきっと隠(かく)れていますよ。
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1118「ガメラ再び」

2021-08-28 17:38:50 | ブログ短編

「教授(きょうじゅ)、急用(きゅうよう)って何ですか?」記者(きしゃ)をしている遠藤(えんどう)が入ってくるなり言った。
 教授はうずたかく積(つ)まれた本の後ろから、人なつっこい笑顔(えがお)で顔を出した。
「いやぁ、すまん、すまん。忙(いそが)しいところ申(もう)し訳(わけ)ないねぇ」
「かまいませんよ。実(じつ)は、これから南アルプスに行くところなんですよ。ほら、最近(さいきん)、登山者(とざんしゃ)の遭難(そうなん)が続いてまして。不思議(ふしぎ)なことに、リュックとか持ち物は見つかるんですが、肝心(かんじん)の人間(にんげん)が見つからなくて」
「そうか、それはちょうどよかった。ちょっと、君に見てもらいたいものがあってね」
 教授は、薄汚(うすよご)れたファイルを記者に手渡(てわた)して、「大学(だいがく)の書庫(しょこ)で見つけたんだよ。昭和(しょうわ)42年に起きた姫神島(ひめがみじま)の島民失踪事件(とうみんしっそうじけん)のことが書かれている」
「島民の失踪…? 教授は、この件(けん)と登山者の行方不明(ゆくえふめい)に関係(かんけい)があると?」
「君は、ギャオスを知っているかね? 昭和に出現(しゅつげん)した怪獣(かいじゅう)だ。人間を餌(えさ)にしていた。ファイルの最後(さいご)にこうある。〈どこかにギャオスの卵(たまご)が残(のこ)っているかもしれない〉とね」
「そいつが、人間を…。じゃあ、犠牲者(ぎせいしゃ)が増(ふ)え続けるってことですか?」
「ギャオスを倒(たお)すには、ガメラを待つしかないだろう。昭和のときのようにね」
「その…ガメラっていうのは、人間を助(たす)けに来てくれるんですか?」
「ああ。今、富士山(ふじさん)の辺(あた)りで地震(じしん)が頻発(ひんぱつ)してるだろ。これは火山活動(かざんかつどう)とは関係(かんけい)ないようなんだ。私は、この地震はガメラが起こしていると思っている」
<つぶやき>昭和の懐(なつ)かしい怪獣たち。今は、どこで、どうしているのでしょうかねぇ?
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1117「黒猫ちゃん」

2021-08-26 17:39:22 | ブログ短編

 彼女が改札(かいさつ)を出ると、目の前に友だちの姿(すがた)があった。友だちは彼女を見て言った。
「ほんとうに来ちゃったのね。やめた方がいいって言ったのに…」
「そんなに来ちゃいけなかったの? あたしたち友だちでしょ。何でそんなこと…」
「ごめん。でもね…」友だちは何かを言いかけたが、「じゃぁ、家(うち)まで走(はし)るわよ」
 そう言うと、友だちは走り出した。わけが分からず、彼女も友だちの後を追(お)いかけた。しばらく走って、急(きゅう)に友だちが足を止めた。彼女も、友だちの横(よこ)で止まる。友だちは、彼女の腕(うで)をつかんでまわれ右をした。友だちは言った。
「このままよ。じっとしてて…。あいつが通り過(す)ぎるまで」
「あいつって誰(だれ)のことよ。誰かいるの?」彼女は後ろを見ようとしたが、
「ダメ。後ろを見ないで。ここは、やり過ごすのよ。そうじゃないと…」
 突然(とつぜん)、彼女が下を見て声をあげた。「わぁ、かわいいぃ。黒猫(くろねこ)ちゃんだわぁ」
 黒猫が、彼女の足にすり寄(よ)っていた。それを見た友だちは、彼女の手をつかんで走り出した。家にたどり着くと、彼女は友だちに何がどうなってるのか訊(き)いてみた。友だちは、
「黒猫よ。あの黒猫が目の前を横切(よこぎ)ると、不吉(ふきつ)なことが起(お)きるの。これは迷信(めいしん)じゃないわよ。私の知ってる人も、何人も犠牲(ぎせい)になってる。あなた、すり寄られたわよね。今日は、泊(と)まってって。外(そと)へ出ない方がいいと思うの。あなたの命(いのち)にかかわるかもしれないから」
<つぶやき>黒猫は魔女(まじょ)の使(つか)いだって聞いたことあるけど。この黒猫がそうかもしれない。
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1116「占い師」

2021-08-24 17:35:44 | ブログ短編

 顔には人生(じんせい)が表(あらわ)れるといいますが、人の顔には年輪(ねんりん)のようなものが刻(きざ)まれていくのでしょう。ここにも、その年輪を刻んできた男がいます。
 ――彼女は占(うらな)い師(し)。といっても、駆(か)け出しの新米(しんまい)である。そんな彼女の前に、強面(こわもて)のお兄さんが座(すわ)ってしまった。この男、顔を見ただけでやばい人だと分かるほど。
 彼女は、おどおどしながら男に訊(き)いた。「あの…、何を占ったら…」
 男はぎょろりと彼女を見て、「そりゃもちろん、金と女だろ。それ以外(いがい)にあるのか?」
「ああ…。そうですねぇ。分かりました。じゃあ、金運(きんうん)と…結婚運(けっこんうん)を…」
 もう、消(き)え入りそうな声で彼女は答(こた)えた。彼女にとってこの人が最初(さいしょ)のお客(きゃく)。もう、最悪(さいあく)って感じ。それでも彼女は、真剣(しんけん)に男の顔を見つめた。男は、何を勘違(かんちが)いしたのか、
「なに見てんだよ。がんつけてんじゃねぇぞ、こらっ!」
 彼女は思わず飛(と)びのいて、「す、すいません。ご、ごめんなさい。あ、あたし、そんなつもりじゃ…。あの…、あたし、人相(にんそう)を見てるだけなんです」
 男はばつが悪(わる)そうに、「そうか…、悪かったな。まあ、気にすんな。なぁ」
 彼女は座り直(なお)すと、「あの…。じゃあ、とりあえず…えっと……」
 彼女は泣(な)きそうな顔になっていた。男は、彼女の方を気にすることなく言った。
「で、どうなんだ。この先(さき)、良(い)いことあるんだろうなぁ。ちゃんと見てくれないと…」
<つぶやき>この後、大丈夫(だいじょうぶ)だったのかな? 彼女の占い人生、ここからスタートだね。
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1115「しずく138~夢の女」

2021-08-22 17:43:00 | ブログ連載~しずく

 日野(ひの)あまりは、突然(とつぜん)、手をつかまれて、思わず声をあげそうになった。あまりの手をつかんだのは、月島(つきしま)しずくだ。次の瞬間(しゅんかん)、あまりは目まいを感じた。しずくが彼女の心の中を覗(のぞ)いたのだ。しずくは微笑(ほほえ)んであまりにささやいた。
「もう大丈夫(だいじょうぶ)よ。あなたは一人じゃない。もう心配(しんぱい)することないから…」
 あまりは、それを聞いて、思わず涙(なみだ)がこみ上げてきた。水木涼(みずきりょう)が慌(あわ)てて言った。
「ど、どうしたんだよ。どこか痛(いた)いところでも…。ごめん、稽古(けいこ)…きつかったか?」
 あまりは目頭(めがしら)を押(お)さえて、「いえ、違(ちが)うんです。そういうことじゃ…」
 あまりは呼吸(こきゅう)を整(ととの)えると、静(しず)かに話し出した。
「実(じつ)は…、あたし、夢(ゆめ)を見たんです。その夢に出てきた女の人に、烏杜高校(からすもりこうこう)へ行きなさいって言われて…。そこへ行けば助(たす)けてくれる人がいるからって」
 川相初音(かわいはつね)は呆(あき)れたように、「えっ…。あなた、夢で学校(がっこう)を決(き)めちゃったの?」
「はい。ちょうど進路(しんろ)に悩(なや)んでいたときで…。夢でその人、はっきり言ったんです。しずくを探(さが)せって…。最初(さいしょ)は何のことか分からなかったんですが…。部活(ぶかつ)の先輩(せんぱい)が転校生(てんこうせい)の話をしてて…。その転校生が、月島しずくだって言ってたので…。それで…」
 水木涼はホッとしたように、「何だよ。それで、朝、教室に来てたのか?」
<つぶやき>この後輩(こうはい)はどんな娘(こ)なの。登場人物(とうじょうじんぶつ)が多すぎて、作者(さくしゃ)は何も考えてないかも。
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