みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0842「見守り隊」

2020-03-23 18:08:07 | ブログ短編

 とある教室(きょうしつ)に、男の子と女の子が二人っきりで、ちょっとソワソワ、ドキドキという感じで、微妙(びみょう)な距離(きょり)で座(すわ)っていた。男の子が独(ひと)り言のように呟(つぶや)いた。
「何で誰(だれ)も来ないんだよ。放課後(ほうかご)集合(しゅうごう)って言ってたよなぁ」
 女の子はそれに答えるように、「そうよね。あたしも、部長(ぶちょう)が言ってたって聞いたわ」
(何やってるんだよ。早く告(こく)っちまえよ。せっかく二人っきりにしてやったのに)
 女の子は小声で言った。「あの…。変なこと訊(き)くけど、好きな人…いる?」
(あ~ぁ、ダメよ。そんなこと訊いちゃ。やっぱ無理(むり)かぁ。こういうの苦手(にがて)だからなぁ)
 男の子はあっさりと答えた。「いるよ。でも、まぁ、付(つ)き合ってるわけじゃないけど…」
(いるよって何だよ。そんな言い方したら勘違(かんちが)いされちゃうじゃないか)
 女の子はちょっとがっかりしたように、「そうなんだ…。それって、片思(かたおも)いってこと?」
「まぁ、そうなるのかな?」男の子は窓(まど)の外(そと)を見ながら答えた。
「告白(こくはく)とか…、すればいいじゃない。きっと、両思(りょうおも)いになれるわよ」
(こいつら…もう我慢(がまん)できない。俺(おれ)が言ってやる。そうしないと部活(ぶかつ)が…)
(ダメだってば。回りが騒(さわ)いだら、まとまるものもまとまらなくなっちゃう)
 突然(とつぜん)、窓が開いて男の子が身(み)を乗り出して言った。「お前ら、こんなとこで何してんだ?」
 窓の外には、部長をはじめ数人の部員(ぶいん)たちがしゃがみ込んでいた。
<つぶやき>好きな気持ちは、好きな相手(あいて)より回りにいる人の方が分かっちゃうのかもね。
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コメント
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