みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

1419「みおの事件簿/別荘地」

2023-09-27 17:31:49 | ブログ短編

 目黒(めぐろ)たちが乗り込んだ車は山の中へ入って行く。鬼瓦刑事(おにがわらけいじ)が呟(つぶや)いた。
「こんなところに何があるって言うんだ? 登山(とざん)でもしてるのかなぁ」
 目黒は不機嫌(ふきげん)そうに、「なにバカなこと言ってるんだ。確(たし)か…、この先(さき)に別荘地(べっそうち)があったはずだ。今は廃墟(はいきょ)みたいになってるがな…」
 車はまばらに別荘が点在(てんざい)している所(ところ)に出た。目黒は車を停(と)めるとGPSを確認(かくにん)した。そして彼らは車を降(お)りた。そこへ応援(おうえん)の刑事たちがやって来たので、みんなで手分(てわ)けして一軒(けん)一軒確認していく。目黒と鬼瓦も駆(か)け回った。
 その家を見つけるのにそれほど時間(じかん)はかからなかった。窓(まど)から明(あ)かりがもれていたのだ。目黒はその別荘に近づいて窓から中を覗(のぞ)いてみた。すると、小太(こぶと)りの男がコーラをがぶがぶと飲(の)んでいた。男のそばには大きなソファーが…。目黒は目を見開(みひら)いた。ソファーに樋口(ひぐち)みおが寝(ね)かされていた。男は舌(した)なめずりをしてみおに近づいて行く。そして、みおの服(ふく)を脱(ぬ)がせ始めた。目黒は窓ガラスを割(わ)って中へ突入(とつにゅう)して行った。離(はな)れた所で待機(たいき)していた鬼瓦は驚(おどろ)いて、慌(あわ)てて他の刑事たちと駆け出した。
 小太りの男は突然(とつぜん)のことに仰天(ぎょうてん)したが、すぐにその場を逃(に)げ出した。裏口(うらぐち)から表(おもて)に出る。そしてエンジン音が聞こえ、車が急発進(きゅうはっしん)して行った。外にいた刑事たちは車を追(お)っていく。駆けつけた鬼瓦に、目黒がスマホを投(な)げて言った。「追ってくれ」
 どうやら車にはGPSが…。鬼瓦は合点(がてん)して、「俺(おれ)に任(まか)せろ。絶対(ぜったい)に捕(つか)まえてやるよ」
<つぶやき>何とか犯人(はんにん)にたどり着くことが…。鬼瓦は犯人を逮捕(たいほ)することができるのか?
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1418「あたしの彼は…」

2023-09-23 17:23:09 | ブログ短編

 あたしの彼は宇宙人(うちゅうじん)だったのよ。彼との出会(であ)いは…アブダクション。初めて彼を見たとき、不思議(ふしぎ)と怖(こわ)くはなかったわ。だって、彼…とっても優(やさ)しそうな目をしてたから。彼は移住(いじゅう)する星(ほし)を探(さが)して、宇宙を旅(たび)してるんだって。地球(ちきゅう)を見つけたとき、とっても美(うつく)しくて感動(かんどう)したって言ってたわ。
 彼とのデートは、いつも彼の宇宙船(うちゅうせん)だった。太陽系(たいようけい)のクルーズはとっても楽しかったわよ。たくさんの絶景(ぜっけい)を見ることができた。彼の宇宙船には特別(とくべつ)な装置(そうち)がついていて、地球の人たちには見つからないようにしてるんだって。
 ときどきは地上(ちじょう)でデートをしたいけど、彼は三分もいられないのよ。だから、ゆっくり散歩(さんぽ)を楽(たの)しんだり、おしゃべりしたりなんて、とてもできない。
 彼との結婚(けっこん)も考えてみたけど、やっぱりあたしは地球で暮(く)らしたい。だから、彼とはお別れしたの。だって、彼の星はとっても寒(さむ)くて、地下(ちか)で暮らしてるんだって。あたしは青い空が大好きだから、それを見ることができないなんて…。
 お別れのとき彼は言ったわ。「この星を造(つく)り替(か)えることはできるけど、そんなことをしたら君(きみ)たち生物(せいぶつ)が生きられなくなってしまう。君を失(うしな)うなんて、僕(ぼく)にはとても耐(た)えられないんだ。だから、安心(あんしん)していいよ。この星のことは不適合(ふてきごう)だって報告(ほうこく)しておくからね。もう誰(だれ)もこの星を脅(おびや)かすことはないはずだ」
<つぶやき>今回は回避(かいひ)したけど…。いつまた狙(ねら)われるか分かりませんよ。どうしましょ?
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1417「妄想癖」

2023-09-19 17:32:40 | ブログ短編

 あたしは妄想(もうそう)に取り憑(つ)かれてしまったみたい。いつも頭の中にあの人が現れて…。
 あの人っていうのは、地下鉄(ちかてつ)に乗(の)っているときに見かけた人で、素敵(すてき)な人だなって思ってしまったの。あたしの思い描(えが)いていた彼氏(かれし)に瓜(うり)二つ…。こんなことがあるなんて、これは奇跡(きせき)よ。そして、その人…、あたしと同じ会社(かいしゃ)に勤(つと)めてた!
 これは、つい最近(さいきん)、分かったことなんだけど…。違(ちが)う部署(ぶしょ)だから、まったく顔を合わせることがなかったの。それ以来(いらい)、あたしの頭の中には妄想の彼が居座(いすわ)ってしまった。日を追(お)うごとに、あたしの妄想はどんどんエスカレートして…。
 とうとう…。今、あたしの目の前にあの人が現れた。妄想のはずなのに、何だかとってもリアルに感じてしまうのは、なぜ? あの人が、あたしに話しかけている。まるで、あたしに向かって愛(あい)をささやいているようだ。あたしは、身体(からだ)の力が抜(ぬ)けていく。次の瞬間(しゅんかん)、あたしはあの人に抱(だ)きしめられていた。
 あたしが目覚(めざ)めると、そこは病院(びょういん)のベッドの中…。後輩(こうはい)の娘(こ)がそばにいて、心配(しんぱい)そうにあたしを見つめていた。どうやら、あたしは急(きゅう)に倒(たお)れたみたいだ。そばにいた人があたしを抱き止(と)めてくれて、倒れて怪我(けが)をすることはなかったそうだ。抱きしめられたと感じたのは、それだったんだ。
 男性が病室に入ってきた。あたしの目は釘付(くぎづ)けになってしまった。あの人だ!?
 後輩が言った。「あっ、先輩(せんぱい)。この人ですよ、先輩を抱き止めてくれたのは…」
<つぶやき>妄想が現実(げんじつ)になってしまうのか? この先、どうなるのか興味津々(きょうみしんしん)ですよね。
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1416「つながる」

2023-09-15 17:25:23 | ブログ短編

 これは彼に備(そな)わった不思議(ふしぎ)な能力(のうりょく)なのか…。運命(うんめい)といった方がいいのかもしれない。彼の身(み)に起(お)きることが、世界(せかい)に影響(えいきょう)を与(あた)えてしまうのだ。
 これは信じ難(がた)いことだ。例(たと)えば、彼が風邪(かぜ)をひくと、世界のどこかで病気(びょうき)が蔓延(まんえん)してしまう。彼が怪我(けが)をすると、世界のどこかで大惨事(だいさんじ)が起きる。といった具合(ぐあい)だ。普通(ふつう)に考えれば、それは偶然(ぐうぜん)の出来事(できごと)だと笑(わら)って言えるだろう。だか、数え切れないほど同じようなことが起きてしまうと、それはもう必然(ひつぜん)としか思えない。彼にとってはこれが現実(げんじつ)なのだ。
 だから彼は、最善(さいぜん)の注意(ちゅうい)を払(はら)い生活(せいかつ)をしていた。不必要(ふひつよう)な外出(がいしゅつ)はなるべく控(ひか)え、出かけるときは防疫(ぼうえき)につとめる。あせらず慌(あわ)てず余裕(よゆう)を持って目的地(もくてきち)に向かう。事故(じこ)にあうことを未然(みぜん)に防(ふせ)がなくてはならない。誰(だれ)もが大変(たいへん)に思うことばかりだ。でも、彼にとってはこれは日常(にちじょう)なのだ。別(べつ)に苦(く)にもならないようだ。
 そんな彼に、とんでもないことが起きてしまった。それは、女性からの告白(こくはく)だ。
 彼は、今まで女性と付き合ったことがない。ということは、女性と付き合うことで世界にどんな影響を及(およ)ぼすか分からない。彼は悩(なや)んだ。すぐに返事(へんじ)などできない。そこで彼は、しばらく待ってくれと答(こた)えた。ここで、素(そ)っ気(け)なく断(ことわ)ることは彼にはできなかったのだ。それに、その女性のことは彼も嫌(きら)いではなかったから…。
 数日後、彼は熟慮(じゅくりょ)を重(かさ)ねて返事をした。「僕(ぼく)と一緒(いっしょ)に世界を救(すく)って下さい」と。
<つぶやき>こんなこと言われちゃっても…。笑い飛(と)ばすような彼女だと、いいですよね。
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1415「しずく198~不意打ち」

2023-09-11 17:29:12 | ブログ連載~しずく

 大小さまざまなものがエリスめがけて飛(と)んで行く。エリスは瞬間移動(しゅんかんいどう)で次々(つぎつぎ)とかわしていく。そして、水木涼(みずきりょう)のすぐ目の前に姿(すがた)を現した。完全(かんぜん)に間合(まあ)いを取られてしまった。エリスは不気味(ぶきみ)な笑(え)みを浮(う)かべて、涼の胸(むね)をめがけてナイフを振(ふ)り下ろした。
 まさにその時だ。エリスは呻(うめ)き声をあげてその場から離(はな)れた。血(ち)がぽたぽたと床(ゆか)に落ちる。ナイフを持ったエリスの手にペンが突(つ)き刺(さ)さっていた。エリスはナイフを落とすと、激(はげ)しい怒(いか)りの表情(ひょうじょう)でペンを引き抜(ぬ)いて投(な)げ捨(す)てた。涼はすぐさま駆(か)け出して、エリスに攻撃(こうげき)を仕掛(しか)けた。だが、エリスは姿を消(け)して離れた場所(ばしょ)へ移動する。
 涼は向き直(なお)ると息(いき)を整(ととの)えて言った。「大きなものに気を取られて気づかなかったでしょ。私は、そう簡単(かんたん)には倒(たお)せないわよ。そのつもりでかかってきなさいよ!」
 突然(とつぜん)、エリスが笑(わら)い出した。そして、まるで勝(か)ち誇(ほこ)ったように言った。
「あなた、バカなの? あなたは勝てないって言ったでしょ」
 エリスの回りに次々と敵(てき)が姿を現した。二十人はいるだろうか、みんな能力者(のうりょくしゃ)だ。その半分(はんぶん)が、アキや貴志(たかし)がいる方へ向かって行く。涼は思わず叫(さけ)んだ。「卑怯(ひきょう)だぞ!」
 エリスは、「何を言ってるの? これは戦(たたか)いよ。ルールなんてないの」
 涼は周(まわ)りを取り囲(かこ)まれた。飛べない涼は、アキたちを助(たす)けに行くこともでない。涼は覚悟(かくご)を決めたように呟(つぶや)いた。「落ち着いて…。いま、できることをやるだけよ」
<つぶやき>涼はこのままやられてしまうのか。それとも、起死回生(きしかいせい)の一手(いって)はあるのか?
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