みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0130「お天気ママ」

2017-12-31 19:06:04 | ブログ短編

 ママの天気予報(てんきよほう)は不思議(ふしぎ)なくらいよく当(あ)たる。でもね、まれにママの天気予報がはずれてしまうことがある。その時は、ママの体調(たいちょう)が悪(わる)いときなの。病気(びょうき)になる前兆(ぜんちょう)みたい。前にね、突然(とつぜん)倒(たお)れてしまったことがあって、その時は大変(たいへん)だったわ。それからというもの、ママが天気予報をはずした時は、家族(かぞく)みんな、真(ま)っ先に家に帰ることにしているの。
 今日のこと。テレビの天気予報は晴(は)れなのに、ママは午後(ごご)から雨(あめ)になるかもって言ったの。でもね、昼が過ぎても雨になる気配(けはい)もなかった。あたしは心配(しんぱい)になって家に電話をしたわ。いつもなら、ママがいるはずの時間なのに誰(だれ)も出ないの。あたしはますます心配になって、学校を早退(そうたい)して家へ急(いそ)いだわ。家に帰るとパパがいて、ママと話しをしていた。
「もう、何なのよ」ママはあきれた顔で言った。「私だって、間違(まちが)えることあるわよ」
「でも、ママ。一応(いちおう)、病院(びょういん)で検査(けんさ)してもらおうよ」
「パパ、なに言ってるの? そんなに心配しなくても、私はどこも悪くないわよ」
「でも、もしもってこともあるから」
「そうよ、ママ。あたし、ママがいなくちゃ何もできないのよ」
「じゃあ、今日から、家事(かじ)とか手伝(てつだ)ってくれるよね。いろいろ教(おし)えてあげるから」
 ママはそう言うと、にっこり微笑(ほほえ)んだ。
<つぶやき>母から教わることっていっぱいあるかも。何か教えられたことありますか?
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0129「髪を切った理由(わけ)」

2017-12-30 18:45:05 | ブログ短編

 私は髪(かみ)を切った。それもかなり大胆(だいたん)に、フェアリーショートにしてしまった。今までずっと髪を長くしていたので、まわりの人から嫌(いや)というほど質問攻(しつもんぜ)めにあった。でも、別に特別(とくべつ)な理由(りゆう)があるわけじゃないの。ただ何となく切りたくなっちゃっただけ。切ってみると、何だかこれもありかなって、私はとても気に入ってるんだ。
 翌日(よくじつ)の朝。職場(しょくば)の友だちからメールが届(とど)いた。その内容(ないよう)を見て私は驚(おどろ)いた。私が彼にふられて髪を切ったことになっていた。それも、この件(けん)に関(かん)して私には訊(き)かないようにって…。まったくドジな話よね。私にまで一斉(いつせい)メールをするなんて。
 私はため息(いき)をついた。これから友だちと会うとき、どんな顔をすればいいのよ。だいいち、私には彼なんていないし、どこからそんな話が出てきたのかな? 私のいないところで、どんどん話が膨(ふく)らんでいるようで…。
 よし、こうなったらはっきり訂正(ていせい)しといたほうがいいわ。私は彼女にメールを打った。送信(そうしん)ボタンを押(お)そうとしたとき、いやーな考えが頭に浮(う)かんだ。彼女、どこまでメールを送ったのかな? 仕事関係(しごとかんけい)とか、会社(かいしゃ)の同僚(どうりょう)や上司(じょうし)とか…。まさか、そこまで…。
 彼女って、まだ若(わか)いのに誰(だれ)とでも仲(なか)よくなって。そういえば、社食(しゃしょく)で部長(ぶちょう)とアドレス交換(こうかん)してたわ。――今日、会社休もかなぁ。でも、そしたら失恋(しつれん)の痛手(いたで)とかって思われて…。
「あーっ、もう!」私は思わず叫(さけ)んでしまった。
<つぶやき>間違いはすぐに訂正しておきましょう。あいまいにしておくのは要注意(ようちゅうい)です。
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0128「お宝争奪戦」

2017-12-28 18:47:05 | ブログ短編

 地球(ちきゅう)の上空(じょうくう)には大量(たいりょう)の宇宙(うちゅう)ゴミがただよっている。
 ある日、そのゴミの中に未確認(みかくにん)の物体(ぶったい)を発見(はっけん)した。直径(ちょっけい)2メートルほどの物体なので、人工衛星(じんこうえいせい)であることは間違(まちが)いないようだ。偶然(ぐうぜん)発見したとはいえ、これだけの大きさの物をなぜ今まで確認できなかったのか不思議(ふしぎ)である。しかし、どこの国に問(と)い合わせても、その場所(ばしょ)に衛星(えいせい)を打ち上げた記録(きろく)は残(のこ)されていなかった。
 観測(かんそく)を続けてみると、その謎(なぞ)の衛星は地球の上空を不規則(ふきそく)に動きまわっていることが分かった。まるで意志(いし)をもっているかのように、使われなくなった人工衛星などに近付いたり離(はな)れたりを繰(く)り返していた。
「今度のはデカいから稼(かせ)げるかもな」
「そうだな。まったく地球人って奴(やつ)は、何でこんなとこに放(ほう)っておくんだろうなぁ」
「でも、そのおかげで、俺(おれ)たちは何の苦労(くろう)もなくお宝(たから)をいただけるわけだ」
「まったくだ。俺たち盗賊(とうぞく)にとっちゃ、宝の山だぜ」
「こんなに遠くまで来たんだ。せいぜい稼がせてもらおうぜ」
「オイ、あれを見ろよ。どこの宇宙船(うちゅうせん)だ?」
「俺たちのお宝を横取(よこど)りしようなんて、ふてえ野郎(やろう)だ。追(お)っ払(ぱら)ってやろうぜ」
<つぶやき>私たち地球人の知らないところで、こんな争(あらそ)いが起きているかもしれません。
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0127「人類の始まり」

2017-12-27 18:42:33 | ブログ短編

 とある大学(だいがく)の研究室(けんきゅうしつ)。今、ここでは壮大(そうだい)な実験(じっけん)が行われようとしていた。学生(がくせい)を前にして、教授(きょうじゅ)が実験の趣旨(しゅし)について話しはじめた。
「これから君たちには、私の実験に参加(さんか)してもらう。実験のテーマは、<人類(じんるい)はいかにして言葉(ことば)を手に入れたのか>。私の考(かんが)えでは、全(すべ)ての言葉の始まりは<ア>だ。ウキウキでもなく、ウホウホでもなく、<ア>が全ての言葉の始まりなのだよ。そこでだ、今後(こんご)、この研究室内での会話(かいわ)は全て<ア>を使うことにする。それ以外(いがい)の言葉を使った者(もの)には、単位(たんい)はつかないと思ってくれ。では、今から――」
「教授、待って下さい」学生のひとりが声をあげた。「いきなりそんなこと言われても」
「アア、アアアアア、アアアーアー(もう、実験は始まっているぞ)」
 学生たちには選択(せんたく)の余地(よち)はなかった。誰(だれ)からともなく<ア>を使い始めると、研究室全体(ぜんたい)が<ア>で埋(う)め尽(つ)くされていった。それは、さながら原始時代(げんしじだい)に戻(もど)ったようだ。中には、猿(さる)の真似(まね)をする学生も現れた。教授はその様子(ようす)を満足(まんぞく)そうに見つめていた。
 数日後のことである。研究室の前の廊下(ろうか)に学生たちが集まっていた。教授が姿(すがた)を見せると、学生たちは教授に詰(つ)め寄(よ)り言った。
「いつまでこの実験を続けるんですか? こんなことをやって何の意味(いみ)があるんです」
「意味を考えるな。原始人になりきるのだ。そうすれば、おのずと言葉は生まれてくる」
<つぶやき>言葉の誕生(たんじょう)の瞬間(しゅんかん)はどうだったのかな。この実験で新語(しんご)が誕生するかもね。
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0126「一生分の幸せ」

2017-12-24 18:38:58 | ブログ短編

「僕(ぼく)と付き合ってくれないか?」
 隆(たかし)は一大決心(いちだいけっしん)で由香里(ゆかり)に告白(こくはく)をした。
「えっ、あたしと?」由香里は顔を赤らめて、「でも、でも…」
「僕は、君のことが好きなんだ。前からずっと」
「でも…、それじゃ幸(しあわ)せになりすぎてしまうわ。だからあたし…、付き合えない」
「僕のこと好きじゃないってことか…」隆は肩(かた)を落としてうなだれた。
「好きよ、あたしも。でもね…」由香里は隆に背(せ)を向けて、「人の幸せの分量(ぶんりょう)はね、生まれた時に決められちゃうの。だから、もしあなたと付き合ってしまったら、一生(いっしょう)分の幸せを使い切ってしまうかもしれないでしょ。あたしは、少しの幸せで良いの。その方が、最後(さいご)まで幸せでいられるじゃない」
「大丈夫(だいじょうぶ)だよ」隆は由香里を振(ふ)り向かせると、「僕が、幸せにしてあげる」
「ダメよ。そんなこと、できないわ。もう決まってるんだから」
「そんなことないさ。そりゃ、僕なんかじゃ…。君のことほんとに幸せにできるのか、自信(じしん)があるわけじゃない。けどね、僕はこう思うんだ。二人が笑(わら)っていられれば、幸せだって2倍になる。もし、子供(こども)ができれば3倍、4倍にだってなるんだ。二人で、幸せを増(ふ)やしていこうよ。僕は、君の笑顔を見てるだけで、じゅうぶん幸せなんだ」
<つぶやき>幸せって何でしょうか? 人それぞれ、いろんな幸せがあるんでしょうね。
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