みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0245「恋愛保険は必要か」

2018-06-30 18:51:41 | ブログ短編

 いろんな保障(ほしょう)が進んできた現代(げんだい)。とうとう、恋(こい)にも保険(ほけん)をかける時代(じだい)がやって来た。
 この恋愛(れんあい)保険は、結婚資金(しきん)の積立(つみたて)が目的(もくてき)なのだが、オプションとして失恋保障(しつれんほしょう)が付(つ)くのが一般的(いっぱんてき)である。失恋時の傷手(いたで)を少しでも癒(いや)すために、保険会社では様々(さまざま)なメニューを用意(ようい)して、契約者(けいやくしゃ)の獲得(かくとく)にしのぎを削(けず)っていた。
 失恋による損失(そんしつ)は個人(こじん)ばかりでなく、企業(きぎょう)にとっても大きな問題(もんだい)になっている。失恋によって仕事(しごと)の効率(こうりつ)が下がったり、長期(ちょうき)の欠勤(けっきん)をする者まで出てきているからだ。経営者(けいえいしゃ)たちは、その対策(たいさく)としてこの保険に注目(ちゅうもく)している。保険会社でも、新たなニーズに応(こた)えるため、企業向けの失恋保険を検討(けんとう)しているということだ。
 この保険の発売当初(とうしょ)は、若い女性をターゲットにしていた。しかし、予想(よそう)に反(はん)して、男性の契約者が急増(きゅうぞう)。その対応(たいおう)に追(お)われている保険会社もあるようだ。その理由(りゆう)として、恋愛に不慣(ふな)れで臆病(おくびょう)になっている男性が増加(ぞうか)している、と指摘(してき)する専門家(せんもんか)もいる。
 ともあれ、この恋愛保険の可能性(かのうせい)はまだまだ計(はか)り知れない。だが、大きな問題があると話す結婚アドバイザーもいる。それは、恋愛に対して真摯(しんし)に取り組もうとせず、安易(あんい)な恋愛に走る人が増えてきたということだ。
 つい先日(せんじつ)のことだが、恋愛関係(かんけい)を偽装(ぎそう)して、失恋保障をだまし取ろうとした男女が逮捕(たいほ)されている。恋愛の規程(きてい)をどう定(さだ)めるのか。早急(さっきゅう)の対策が望(のぞ)まれている。
<つぶやき>私には難(むずか)しいことは分かりません。でも、一番大事(だいじ)なのは思いやりの心です。
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0244「笑いの壺」

2018-06-29 18:56:28 | ブログ短編

「ねえ、好子(よしこ)。今の、笑(わら)うところじゃないでしょ」
 好子は苦(くる)しそうに笑いながら、「フフフ…。だって、おかしいィ」
 好子はちょっと変わっている。他の人と笑いの壺(つぼ)が違うのだ。友だちが面白(おもしろ)くて笑っていても、彼女は何が可笑(おか)しいのって顔をする。反対(はんたい)に、みんながしらってしてる時、クスクス、ゲラゲラと笑い出す。そして、みんなからひんしゅくを買うのだ。
「私が真剣(しんけん)に話してるのに、そんなに笑うことないでしょ」
「ハハハ…。だって、ほんと可笑(おか)しいんだもん」
「何が可笑しいのよ。ちゃんと分かるように説明(せつめい)して」
 私は、今日は機嫌(きげん)が悪かった。いつもなら、<そうなんだ>ってスルーするのに、今日はそんな気にはならなかった。そんな私を見て、彼女も何か感じたらしく、
「ごめんね。もう笑わないから」好子はフッと息(いき)をはいて真顔(まがお)になる。
「それで、どうしたの? 続きを聞かせてよ」
「もう、いいわよ」私はぷいとそっぽを向く。
「ねえ、気になるじゃない。もう笑わないから。お願い」
「絶対(ぜったい)、笑わない? もし約束(やくそく)破(やぶ)ったら、絶交(ぜっこう)だからね」
 彼女を見ると、すでに笑いをこらえるのに四苦八苦(しくはっく)していた。
<つぶやき>人によって笑いの壺って違いますよね。でも、違っていてもいいんじゃない。
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0243「捜し物は何ですか」

2018-06-28 18:58:20 | ブログ短編

 とある商店街(しょうてんがい)の、日用品(にちようひん)を扱(あつか)っているお店(みせ)。どこにでもあるような小さなお店なのだが、どういうわけか変な噂(うわさ)が広まった。そこへ行くと欲(ほ)しいものが何でも手に入る、と。
「あの、ここに来れば何でも売(う)ってもらえると聞いたんですが?」
「うちには日用品しかないですけど。誰(だれ)から聞いたのか知らないが…」
「私、縫(ぬ)いぐるみが欲しいんです。売って下さい。お金ならいくらでも」
「ちょっと待ってよ。縫いぐるみなんか置いてないから。他の店に行ってよ」
「どこにも売ってないんです。お願いします」
「お願いって言われても、ないものはないんだから」
「カバの縫いぐるみなんです。それも、かかえるくらいすっごく大きなやつで」
「カバ…。カバの縫いぐるみ捜(さが)してるの? 大きなやつねぇ…」
 店主はしばらく考えていたが、「うちにあることはあるけど。売りもんじゃないからな」
「あるんですか?」客は小躍(こおど)りして、「ありがとうございます。おいくらですか?」
「だから、売りもんじゃ…」
 店主は気がいいので、断(ことわ)りきれなくなってしまった。店の奥(おく)へ行くと、大きなカバの縫いぐるみをかかえて戻(もど)って来て、「こんなんでいいのかい?」
「ああ、これが欲しかったんです。ここへ来てよかったわ。みんなにも教えてあげなきゃ」
<つぶやき>こんな便利(べんり)なお店があると助かるよね。でも、苦労(くろう)して捜すのも醍醐味(だいごみ)です。
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0242「季節はずれの花火」

2018-06-27 18:56:04 | ブログ短編

 部屋(へや)の片隅(かたすみ)に置かれた花火(はなび)。彼女と一緒(いっしょ)にやろうと買って来た。でも、その前に振(ふ)られてしまい。夏も終わりだというのに、そのままになっている。
 こうなったら一人でやってやる。僕(ぼく)は近くの小さな公園(こうえん)へ向(む)かった。もう夜中(よなか)で誰(だれ)もいない公園。僕はベンチに座って花火に火をつけた。眩(まぶ)しいくらいの火花(ひばな)が飛(と)び交(か)い、白い煙(けむり)がもくもくと立ち込めた。そして、当然(とうぜん)のことだが、花火の光がだんだん弱くなり、辺りはまた暗闇(くらやみ)になってしまう。僕は、もう一本、もう一本と火をつけた。
 何本目だったろう。僕が顔をあげると、暗闇(くらやみ)の中からうっすらと白いものが近づいて来た。よく見ると、それは浴衣(ゆかた)を着た奇麗(きれい)な女性。僕を振った彼女より、ずっと奇麗(きれい)な人だった。その人は僕のそばまで来ると、にっこり微笑(ほほえ)んでちょこんと座った。
 何でこんな時間にこんな所へ…。この時は、そんなことどうでもよかった。今までの寂(さび)しさがどこかに吹(ふ)っ飛んで、僕はまた花火に火をつけた。ところが、不思議(ふしぎ)なことに一本花火が終わると、一人ずつ浴衣の女性が増(ふ)えていく。みんなモデルのような美しい人ばかり。そして、最後(さいご)の一本。みんなの目線(めせん)が、僕に集(あつ)まっているのが分かった。僕は、おもむろに火をつけた。すると、女性の一人が始めて口を開いた。
「これで、あなたも私たちのものになるのよ。一緒に行きましょうね」
<つぶやき>どこへ行くの? でも、花火の後始末(あとしまつ)だけは、ちゃんとしておいて下さいね。
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0241「なぜの探究」

2018-06-26 19:05:44 | ブログ短編

 ある会社(かいしゃ)に、笑(わら)わない女がいた。とても優秀(ゆうしゅう)なのだが、周(まわ)りからはちょっと避(さ)けられている感じ。でも、彼女はまったく気にしていないようだ。
「彼女は、なぜ笑わないんだろ?」男性社員(しゃいん)の一人が同僚(どうりょう)に訊(き)いた。
「さあな。何でそんなこと気にするんだよ。あんな女と付き合っても、つまんないぞ」
「なぜ、そんなことが分かるんだ? 君は、あの人と付き合ったことがあるのかい?」
「あるわけないだろ。彼女を見てりゃ、それぐらい分かるよ」
「そうかな? これは、確(たし)かめてみるべきだ」
 男は女のところへ行き訊いてみた。「君(きみ)はなぜ笑わないんだ?」
 女は答えた。「仕事中(しごとちゅう)よ。なぜここで笑わなければいけないんですか?」
「確かに、君の言うとおりだ。では、僕(ぼく)と付き合ってくれないか?」
「はい? 言ってる意味(いみ)が分からないんですが。なぜあなたと付き合う必要(ひつよう)があるの?」
「それは、君の笑顔が見たいからだ。勿論(もちろん)、お付き合いしている人がいなければの話だが」
 女はしばらく考えて、「お付き合いしている人はいません。でも、あなたとお付き合いするつもりはありません。もういいですか? 仕事中なんで」
「なぜだ。断(こと)る理由(りゆう)を聞かせてくれないか? 君は、男には興味(きょうみ)がないのか?」
 女はにっこり微笑(ほほえ)むと、きっぱり言った。「あなたに、興味がないだけです」
<つぶやき>この男の探究心(たんきゅうしん)は、まだまだ続くのかも。あんまり変なこと訊かないように。
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