みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0830「しずく81~再会」

2020-03-11 18:19:32 | ブログ連載~しずく

 柊(ひいらぎ)あずみは、とある深夜喫茶(しんやきっさ)にいた。店内(てんない)は薄暗(うすぐら)い照明(しょうめい)で、ロックが大音響(だいおんきょう)で流れていた。客(きゃく)たちは回りのことなどお構(かま)いなしに、それぞれのお楽しみに夢中(むちゅう)になっている。
 あずみのテーブルに男がやって来た。二人は表情(ひょうじょう)を変えることなく言葉(ことば)を交(か)わした。男はあずみの横(よこ)に座(すわ)ると、大きく息(いき)を吐(は)いて言った。
「どこにいたんだ? 突然(とつぜん)いなくなるなんて、俺(おれ)がどれだけ――」
 あずみは男の手に触(ふ)れて、「ごめんなさい。それは、謝(あやま)るわ。あなたにこれ以上(いじょう)…」
「分かってる。君(きみ)のことは、全部(ぜんぶ)、分かってるつもりだった。だけど…」
 男は言葉を詰(つ)まらせた。あずみは男から手を離(はな)すと、
「私たち、やっぱり会うべきじゃなかったわね。ごめんなさい…。私…もう行くわ」
 男は立ち上がろうとするあずみの手をつかんで、「待てよ。まだだ、まだ話しは終わってない。ひとつ、聞かせてくれ。俺たち、短い付き合いだったけど、俺は真剣(しんけん)に君のことを…。君は、どうだったんだ? 俺のこと…」
「私も、真剣だったわよ。あなたのこと、愛してた。今も、忘(わす)れたことなんて…」
「じゃあ、まだ脈(みゃく)はあるってことで、いいんだよな? 俺も、君のことを――」
「ダメよ。それはダメ。私と一緒(いっしょ)にいたら、あなたにまで危険(きけん)が及(およ)ぶわ」
<つぶやき>訳(わけ)ありの二人のようですね。この再会(さいかい)が、運命(うんめい)を変えることになるのか…。
Copyright(C)2008- Yumenoya All Rights Reserved.文章等の引用と転載は厳禁です。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする