彼は彼女の行動(こうどう)に疑問(ぎもん)を感じていた。だから彼女に訊(き)いてみた。
「君(きみ)たち女子(じょし)が集まって長い時間おしゃべりするのには、何か意味(いみ)があるのかい?」
「あら、あたしたちが無駄話(むだばなし)をしてると思ってるの? あなたには分からないかもしれないけど、あたしたちの話の中にはいろんな情報(じょうほう)が詰(つ)まってるのよ」
「僕(ぼく)には信じられないな。時間の浪費(ろうひ)をしてるだけじゃないのかい? 僕だったら必要最小限(ひつようさいしょうげん)ですませるけどね。意味のない無駄な会話(かいわ)は――」
「風呂(ふろ)、メシ、寝(ね)る、だけで充分(じゅうぶん)って言いたいわけ? 昭和(しょうわ)のオヤジじゃあるまいし」
「僕の父親(ちちおや)はそうだった。それだけで充分(じゅうぶん)に会話は成(な)り立ってたさ」
「ふ~ん、あなたのその性格(せいかく)は、お父さんから来てるのね。あたし、あなたのお母さんみたいにできるかしら…」
「僕の母親(ははおや)になる必要(ひつよう)があるのかい? まったく理解(りかい)できない。君は何を考えて――」
「まあ、そうなんだけど…。そうだ。あたし、あなたのお母さんとお話がしてみたいわ。いいかしら?」
彼はぎょっとして彼女を見た。そして、細心(さいしん)の注意(ちゅうい)を払(はら)って次の言葉(ことば)を発(はっ)した。
「それは、もう少し先(さき)でもいいだろ? 君は、今のままで、充分だから…」
<つぶやき>ここは慎重(しんちょう)にいくべきなんじゃない? 彼女が母親に感化(かんか)されちゃうと…。
Copyright(C)2008- Yumenoya All Rights Reserved.文章等の引用と転載は厳禁です。