初音(はつね)はつくねの顔を覗(のぞ)き込みながら言った。「そうかな? あたしが見た感じ、そんなことないと思うけど。でも、人を寄(よ)せ付けなくする雰囲気(ふんいき)はあるわよね」
「ああ、そうかも…」つくねはちょっとまごつきながら答(こた)えて、「だからね、川相(かわい)さんって、誰(だれ)とでも仲良(なかよ)しじゃない。クラスのみんなと上手(うま)くやっていくには、あなたと…」
「もう、やだ」初音は笑(わら)いながら、「そんなこと…。あたしに任(まか)せてよ。あたしが、みんなと仲良くできるように――」
初音が話しに夢中(むちゅう)になっている間(あいだ)に、つくねは手にした石(いし)をそっと初音の背中(せなか)に押(お)し当てた。だが、緑(みどり)の石は何の反応(はんのう)も示(しめ)さない。――当然(とうぜん)のことだが、背中に触(さわ)られたのだから初音だって気づいてしまう。〈えっ〉という感じで立ち止まると、背中の方をちらっと見つつ、つくねと目が合った。つくねは、取り繕(つくろ)うように何か言おうとした。その時、いきなり後から背中を押されて、つくねはその拍子(ひょうし)に手にした石を落としてしまった。
同じく初音も背中を押されて、二人して振(ふ)り返ると、そこにいたのは水木涼(みずきりょう)だった。涼は口をとがらせながら二人を睨(にら)みつけ言った。
「もう、ひどいじゃない。二人だけで帰るなんて。どうして、私も誘(さそ)ってくれないのよ」
初音は呆(あき)れた顔をして、「だって、あなた、部活(ぶかつ)に行ったんじゃなかったの?」
<つぶやき>まさかここで涼が来るとは、これは想定外(そうていがい)の出来事(できごと)でした。さあ、どうする?
Copyright(C)2008- Yumenoya All Rights Reserved.文章等の引用と転載は厳禁です。