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みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0759「おとぎ話的な」

2019-12-28 18:19:14 | ブログ短編

 ネットで妙(みょう)なサイトを見つけた。〈あなたの望(のぞ)みかなえます〉的(てき)な、これって絶対(ぜったい)やばいやつでしょ、と思いながらも無料(むりょう)という言葉(ことば)につられてダウンロードしてしまった。
 すると、中東風(ちゅうとうふう)の音楽(おんがく)が流れてきて、砂漠(さばく)の中の遺跡(いせき)をバックにしてターバンを巻(ま)いた男が現れた。その男は面倒(めんど)くさそうに言うのだ。
「ご主人(しゅじん)さま、あなたの望みを三つだけかなえることができます」
 僕(ぼく)が戸惑(とまど)っていると、男はあからさまに嫌(いや)な顔をして、「あれだろ、あの、ほら、片思(かたおも)いの彼女が振(ふ)り向いてくれるようにとか、昨日(きのう)買った宝(たから)くじが当たりますようにとか、そんなチンケな願(ねが)いごとを考えてんだろ? 分かってんだよ」
 僕はおかしなゲームだと思って呟(つぶや)いた。「これって、魔法(まほう)のランプ的なやつなのかな?」
 男はそれを聞いて不機嫌(ふきげん)に答(こた)えた。「そうだよ。昔(むかし)はよかったよなぁ。お城(しろ)を出してくれとか、大金持(おおがねも)ちにしてくれとか…。こっちもやりがいってもんがあったんだよ。近頃(ちかごろ)の連中(れんちゅう)ときたら…。あ~ぁ、どうでもいいようなことばっかりだよ。で、決(き)まったのか? こっちも暇(ひま)じゃねえんだからさ。さっさと言ってくれないかなぁ」
「あの、そんなこと急に言われても…」僕には別に望みとか、考えたことなかった。
「分かったよ。じゃあ、次は呼(よ)び出す前に望みを決めといてくれないかな。もう、そんな奴(やつ)ばっかりだよ。まったく休む暇もありゃしない」
 突然(とつぜん)、電源(でんげん)が切れたように画面が真っ暗(くら)になった。これって、故障(こしょう)しちゃったの?
<つぶやき>おとぎ話の世界でも、生き残(のこ)りをかけて日々努力(どりょく)しているのかもしれません。
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