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徒然なるままに ~ Mikako Husselのブログ

ドイツ情報、ヨーロッパ旅行記、書評、その他「心にうつりゆくよしなし事」

書評:松岡圭祐著、『ecriture 新人作家・杉浦李奈の推論 IV シンデレラはどこに』(角川文庫)

2022年04月23日 | 書評ー小説:作者ハ・マ行

『ecriture 新人作家・杉浦李奈の推論 IV シンデレラはどこに』は前巻の『ecriture 新人作家・杉浦李奈の推論 III クローズド・サークル』からわずか2か月後に発刊されています。こんなに速く次巻が出る小説シリーズが他にあるでしょうか。ラノベでも3・4か月に1度だと思うのですが。

今回の『シンデレラはどこに』編は、前巻のアガサ・クリスティーのパロディ風とは打って変わって、再び盗作(翻案)問題を取り上げているものの、ヒロインの杉浦李奈が脅迫によってなぜか『シンデレラ』の童話の原典が何かを調べる羽目になる非常に面白いストーリーです。シリーズ中最高の面白さだと思います。

『シンデレラ』の起源をめぐる研究だけでも相当興味深いのですが、これが他作家の作品をそっくり真似て、文体や名前を変えただけの小説を多数ハイペースで出版して著作権侵害・翻案だと批判を浴びている売れっ子作家RENと被害者作家たちの戦いのストーリーに巧妙に埋め込まれ、非常にエンタメ性の高いミステリーになっています。さすが松岡圭祐、と言える作品です。

李奈自身もRENのパクリの被害に遭っている上に、脅迫状への対処でストレスマックスになっていますが、これまでの経験でずいぶん逞しく成長したようです。



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2022年03月23日 | 書評ー小説:作者ハ・マ行

松岡圭祐の高校生ハードボイルドシリーズ『高校事変』が遂に完結しました。
この最終巻はとにかく戦闘シーンの連続で息つく暇もなく、あれよあれよという間に日本の半分が焦土と化すような危機的状況に至ります。
異母兄弟姉妹たちを始め、様々な事件を通じて関わり合った(元)警察官やクラスメートなどの味方が増えたとはいえ、ヒロインの優莉結衣は所詮高校生に過ぎません。
圧倒的な資金力と軍事力を盾についに表立って日本国家を掌握した優莉家長男・架祷斗に対抗する術はあるのか?
パワーの不均衡さは途方もなく、どこにも打開策がなさそうな絶望的な状況です。

ここで絡んでくるのが(ややネタバレになりますが)智沙子と結衣の母親、昭和・平成時代に二度も日本を滅亡させそうになった凶悪テロリスト・友里佐知子の遺産です。


前回すでに登場していた『探偵の探偵』の紗崎玲奈に加え、この巻では『千里眼』シリーズのスーパーヒロイン岬美由紀も登場します。
シリーズを跨いで展開するストーリーは、ファンには嬉しいですが、『千里眼』シリーズを知らない読者にはもしかすると展開がやや唐突な感じがするかもしれません。

とにかく、『高校事変』シリーズが完結してよかったです。しかも、希望に満ちたハッピーエンドで。
好きか嫌いかで言えば、このシリーズは好きではありません。ハードボイルド小説と言えば聞こえがいいかもしれませんが、やはり過剰・苛烈な暴力シーンの描写は感情的に受け付けられません。

それでも読んでしまうのは、松岡ファンとしての網羅癖であることの他に、やはりこの作品が「読ませる」ものだからです。




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2022年03月07日 | 書評ー小説:作者ハ・マ行

売れないラノベ新人作家・杉浦李奈が事件に何らかの形で関わり、それについてノンフィクションを書くために調査して、真相を明らかにするというシリーズ『ecriture 新人作家・杉浦李奈の推論』ですが、その第3弾はパターンが変わり、アガサ・クリスティーの『そして誰もいなくなった』風の事件の真っただ中に杉浦李奈が放り込まれ、クローズド・サークルを生き残って真相究明する本格ミステリーです。

彗星のごとく現れた人気作家・櫻木沙友里を発掘し、独占し続ける中堅出版社の爽籟社の文芸編集者・榎嶋裕也が後続作家の公募を打ち、李奈と彼女の友人坂・那覇優佳を含む8人が最終選考に残ります。
彼女たちは瀬戸内海のリゾートアイランド汐先島に招待されます。オフシーズンのため、高級宿泊施設を含む島ごと三日間貸し切り、祝賀会と今後の説明かいがあるという話です。宿泊施設の名前は「クローズド・サークル」。
名前を聞いただけで「ひとりずつ殺されちゃうかも」と連想するような設定です。というのも「クローズド・サークル」はミステリー用語で何らかの事情で外界との往来が断たれた状況、あるいはそうした状況下でおこる事件を扱った作品を指すからです。

実際、汐先島には住民がおらず、招待された小説家たちは貸切クルーザーで島に運ばれ、3日後に迎えの船が来るまで島を出られない状況です。
そして最初の晩にアレルギーのためにみんなとは違うカレースープを食べた榎嶋裕也が突然身体を痙攣させ、額に汗をにじませ、のけぞって激しく嘔吐した後、椅子ごとばったりと後方に倒れる。最初の死者。島に群生するトリカブトの根がスープに入れられていたようだった。

その場に姿を現していなかったのは、島で写真集のための写真撮影をする予定だった売れっ子作家の櫻木沙友里のみ。
彼女と榎嶋の関係はこじれていたらしく、「後続作家」たちが集められたことにへそを曲げて、李奈たちが島に到着する前から姿が見えなくなっていた。

スマホは圏外、固定電話や無線LANなどが使えない。壁の保安器のようなものがこわされ、配線が根こそぎ引きちぎられていたからだった。榎嶋の死を通報することもできないまま、死体をとりあえず物置に安置し、それぞれの自室に戻ると、会った時に交換し合ったサイン入り自著が部屋からなくなっていた。

途方に暮れる彼らは、それぞれの部屋にあったタブレット端末の中にあったメッセージに従い、翌朝7時を待って画面を観、指示された場所に向かいますが、そこに待ち受けていたものは?

その後、新たな死人は出ないものの消息不明になってしまうので、否応なしに緊張感が高まっていきます。
ホテルの外で野宿しているらしい櫻木沙友里から郵便受けに短編小説を書けという謎の課題が出されたりして、訳の分からない展開になります。
さて、真相は?

本作品は意外な転換が2段構えになっているので、最後の最後まで油断できないストーリー展開の秀逸なミステリーであると同時に、出版業界の裏側・内部事情をKADOKAWAや新潮社など実名出しで(ある程度のデフォルメはしてあるものの)暴露する暴露本的面白さもあり、売れない作家たちの苦悩を深掘りし、なぜ、何のために小説を書き続けるのかを問う作品でもあります。
自分の作風を維持するのか、ブームが起きるとどの出版社も編集者もそのブームに乗るような類似作品を求めるようになるのを受け入れて、言われるままに求められるようなものを書くのか、創作と生活のためにお金を稼ぐ必要があることの葛藤がそこに浮き彫りにされています。

ラノベ推理作家の李奈は今回もまた少し成長します。彼女が次に書く小説はどんな作品になるのか楽しみです。



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2022年02月16日 | 書評ー小説:作者ハ・マ行

マンヤ・プレーケルスの「Als ich mit Hitler Schnapskirschen aß(私がヒトラーとシュナップス用チェリーを食べた時)」は2017年に Verbrecher Verlagから出版され、2018年度 Jugendliteraturpreis青少年文学賞や Anna-Seghers-Preis アンナ・セーガース賞、Kranichsteiner Jugendliteraturpreis クラーニヒシュタイナー青少年文学賞受賞作品です。

物語はドイツ民主主義共和国だった1980年代にブランデンブルク州のHavelstadt ハーヴェルシュタットで子ども時代を過ごした Mimi Schulz ミミ・シュルツによって語られます。

「民主主義共和国」とは名ばかりの一党独裁国家だった東ドイツ。ブランデンブルクの田舎町で育った少女の視点で描かれる社会の移り変わりに関するリアリティは、貴重な歴史ドキュメンタリーと言える一方で、寄る辺もなく翻弄されて絶望感の漂う一人の女性の私小説でもあります。

タイトルにある「ヒトラー」とはもちろんかの有名なアドルフ・ヒトラーのことではなく、東西ドイツ統一後にネオナチのリーダーとしてミミの幼馴染であるオリバーが名乗るようになった(あるいは呼ばれるようになった)通称です。
ミミとオリバーが幼い頃にハーヴェル川で一緒に釣りをしたその思い出が美しければ美しいほど、後の分かたれてしまった二人の人生の道のりが物悲しく感じられます。

読んで楽しくなるようなストーリーではありませんが、東独、壁の崩壊、「die Wende」と呼ばれる通りに何もかも「ひっくり返った」その具体的な様子、ネオナチと呼ばれるストリートキッズ・ストリートファイターの台頭などミミを通して追体験できます。

プレーケルスのドイツ語の表現は独特で味わい深いです。酒・セックス・ドラッグにかかわる表現は時に赤裸々で、ブランデンブルク方言と若者言葉・スラングが入り混じって本物らしさを醸し出しています。
その分外国人には読みにくいという難点もあるのですが、ネットで調べても分からないような表現はないので、調べる手間を惜しまなければ十分に理解でき、味わえます。

未邦訳作品ですが、Amazon Japanで購入できます。


書評:松岡圭祐著、『ecriture 新人作家・杉浦李奈の推論 II』(角川文庫)

2021年12月24日 | 書評ー小説:作者ハ・マ行


『ecriture 新人作家・杉浦李奈の推論 II』は何と今年9冊目の新刊なのだそうで、著者の旺盛な多作ぶりには何やらミラクルめいたものがあります。
『小説家になって億を稼ごう』(新潮新書)で紹介されていた小説の書き方をご本人も実践されているらしいので、頭の中で常にいくつもの物語が進行していて、「熟成」した物語から一気に書き下ろしていく感じなのだろうと想像しています。

商品説明
推理作家協会の懇親会に参加したラノベ作家・杉浦李奈は、会場で売れっ子の汰柱桃蔵と知り合う。後日、打ち合わせでKADOKAWAを訪れた李奈は、その汰柱が行方不明になっていることを知る。手掛かりとなるのは、1週間後に発売されるという汰柱の書いた単行本。その内容は、実際に起こった女児失踪事件の当事者しか知り得ないものだった。偶然の一致か、それとも・・・・・・。本を頼りに真相に迫る、ビブリオミステリ!

「本を頼りに真相に迫る、ビブリオミステリ」というのは一つのジャンルなのでしょうか。「ビブリオミステリ」と聞いて真っ先に思い浮かぶのは三上延氏の『ビブリア古書堂の事件手帖』シリーズですが、こちらは「古書」の名の通り物理的な存在としての取引価値のある古書が常に事件の中心にあるのに対して、『ecriture』シリーズの方は本は本でも中身、つまり作品としての内容が事件のカギを握っているため、かなり違う様相を呈しています。「文芸ミステリ」と名付けた方が相応しいのではないかというのが個人的な感想です。

今回も初刊同様、杉浦李奈が事件についてのノンフィクションを書くことになりますが、前回と違って今回は本人の自発的な希望です。汰柱桃蔵がたとえ少々難ありの人物であったにせよ、彼の「不謹慎」と評価された女児失踪事件を扱った小説『告白・女児失踪』やその後の彼の死亡によって浮かび上がる汰柱桃蔵犯人説などの世間の出版業界や小説に対するネガティブな評判をそのまま放置しておけないというのが李奈の動機です。
作品中何度も「何のために書くのか」「売れれば何でもいいのか」という問題提起が李奈の自問自答として登場しますが、これは松岡圭祐氏ご自身が出版業界の商業主義を批判するものだと解釈できます。

今回もまたKADOKAWAを始めとする有名な出版社などが実名で登場し、フィクション作品のはずなのにリアルで生々しい印象があります。本を作る工程や映画化・ノベライズなどが決まる過程など『小説家になって億を稼ごう』同様「そこまでバラしていいのか?!」と業界人が危惧するくらいのレベルの詳しさです。それを読み応えがあると感じるかどうかは受け手の感覚次第かと思いますが。

私がこの『ecriture』シリーズを「文芸ミステリ」と名付けたいもう1つの理由は、作品全編に散りばめられた文学作品や古典的な推理小説からのお宝のような引用です。森鴎外『花子』、徳富蘆花『不如帰』、太宰治『酒ぎらい』、石川啄木『一握の砂』、江戸川乱歩『同性愛文学史』、横溝正史『悪霊島』、松本清張『疑惑』、高木彬光『白昼の死角』、長嶋有『佐渡の三人』など。
この中で事件と深く関わりのある作品は横溝正史『悪霊島』と松本清張『疑惑』で、その絡め方も絶妙です。

なぜ、プライドが高くオリジナリティにこだわる汰柱桃蔵が犯人しか知り得ない事実を織り込んだ『告白・女児失踪』を書くに至ったのか。なぜその本の出版直前のタイミングでメルセデスベンツSクラスの新車に乗ったまま埠頭から海へ飛び込んだのか。その直前に警察に通報の電話をかけ、松本清張『疑惑』の中のくだりを読み上げたのはなぜなのか。自殺なのか他殺なのか。前夜に汰柱桃蔵の自宅に侵入したものは何者なのか。汰柱桃蔵の死と直接関係あるのか否か。
そうしたミステリにあるべき謎もワクワクするものですが、その一方で主人公李奈の小説を書くことへの思いや女児の母親への思いやりと優しさ、さらにノンフィクションの取材を通じて真実と真摯に向き合い成長して行く様が描かれることで、魅力的な人物の成長譚となっているところがすばらしい。『小説家になって億を稼ごう』で書かれているいわば小説の「王道」がキッチリと実践されていることがよく分かり、『小説家~』を読んだ読者なら「やってるやってる」と思わず得心の笑みがこぼれてしまうかもしれません。

『ecriture 新人作家・杉浦李奈の推論 II』をAmazonで購入する。またはHontoで購入する

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2021年12月19日 | 書評ー小説:作者ハ・マ行

商品説明
脱北者の証言に基づく――
貴方が北朝鮮に生まれていたら、この物語は貴方の人生である

この国に生を受けただけなのに、希望はどこにある――
平壌郊外の保安署員クム・アンサノは11年前の殺人・強姦事件の再捜査を命じられた。犯人として収容されている男と面会し記録を検証するが、捜査の杜撰さと国家の横暴さを再認識するだけだった。実はアンサノの父は元医師。最上位階級である「核心階層」に属していたが、大物政治家の暗殺容疑をかけられ物証も自白もないまま収容されている。再捜査と父への思いが重なり、アンサノは自国の姿勢に疑問を抱き始める。そしてついに、真犯人につながる謎の男の存在にたどりつくが……。鉄壁な国家が作り出す恐怖と個人の尊厳を緻密に描き出す、衝撃の社会派ミステリ長編。

北朝鮮を舞台にするミステリーはそれ自体とても珍しいものだと思います。
そもそも「北朝鮮」という国自体がミステリーじゃないかと思えるくらいです。
脱北者の証言を基にして書かれたという話なので、「出身成分」という身分制度があり、国家・主体への忠誠度に応じて「核心階層」「動揺階層」「敵対階層」に分類されて、それによって住む場所も働く場所も全然変わってくる社会構造は事実なのでしょうけど、とても衝撃的でした。
作中人物が「世界のどの国でも同じ」と主張しているように、確かに身分の違いはどこの国にも多かれ少なかれあるものです。平等が建前の民主主義国家であろうと、親の財産状態や教育の高さなどによって子の将来にも貧富の差が生じるのが厳然たる現実ではあります。
けれども、自由と平等の建前があるのとないのとではやはり違いは大きいと思います。「出身成分」という身分制度では、制度として確立されており、親の身分を子が受け継ぐことが必然的であって、抜け道がどこにもありません。そこに絶望的な差別が横たわっていて、改善の余地もないわけです。
でも、建前として自由と平等があれば、少なくとも法的な差別を受けることはありませんし、いわゆる「貧困の連鎖」も教育によって断ち切る可能性もあり、また、貧富の格差は税制改革などで是正することも可能です。
この1とゼロの違いは実は一番大きな違いだと思うのですが、「どこも同じ」と言ってしまうのは、「隣の芝生は青い」と考えていては生きていけない厳しい現実がそこにあるからでしょう。

そうした社会的背景の中で行われる11年前の殺人・強姦事件の再捜査には様々な差別・偏見・先入観が絡み、真実など何の意味も持たないかのような空気があります。そんな中でただ一人クム・アンサノが真実を追求していくのですが、仕事の一環なのにあちこちで賄賂を渡さないと話も聞けない、どこにも通してもらえないなど社会腐敗があちこちに見られます。
そして、オチの部分ではもう何が真実で何が欺瞞なのか錯綜して分からなくなってくるくらい複雑な話で、読み応えがあります。


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書評:松岡圭祐著、『アルセーヌ・ルパン対明智小五郎 黄金仮面の真実』(角川文庫)

2021年12月09日 | 書評ー小説:作者ハ・マ行

『アルセーヌ・ルパン対明智小五郎 黄金仮面の真実』は『シャーロック・ホームズ対伊藤博文』のように世界的に有名な推理小説を基にした完成度の高いパロディ小説で、ひょっとすると原作よりも面白いかもしれません。
昭和4年の日本を舞台に江戸川乱歩作の『黄金仮面』の謎と矛盾をすべて解明するばかりではなく、さらに意外な展開があります。カリオストロ伯爵夫人にかつて生まれたばかりの息子を奪われたルパンが、「ルパンの息子なのでは」と噂される明智小五郎の真偽を確かめるためと、意図せず黄金仮面をかぶって出会ってしまった大鳥不二子に会いに日本へ旅立ちます。55歳の最後の(?)冒険なのかどうかは知りませんが、若い頃のように機敏には動けないということを認めざるを得ないような失態を何度か晒してしまってます。
それでもめげずにダンディに立ち直るところがいいですね。
『黄金仮面』は読んだことがないのですが、この作品を読んで興味が湧きました。

『アルセーヌ・ルパン対明智小五郎 黄金仮面の真実』をAmazonで購入する。またはHontoで購入する

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書評:松岡圭祐著、『ミッキーマウスの憂鬱』(新潮文庫)

2021年12月05日 | 書評ー小説:作者ハ・マ行


続編の方を先に読んでしまいましたが、シリーズ第1作『ミッキーマウスの憂鬱』を遅ればせながら読みました。

ディズニーランドに夢を抱いて派遣・準社員として働くことになった21歳の後藤大輔。美装部に配属された初日、勝手がわからずにあちこちで白い目で見られ、冷たくあしらわれ、早くもディズニーランドのバックステージは他のバイト先と変わらない「普通の職場」であることに幻滅し始めます。
そんな中、ショー用のミッキーマウスの着ぐるみが紛失し、職場の空気が一層悪くなります。

当たり前と言えば当たり前ですが、夢の国ディズニーランドも一企業。会社としての側面も人間が集まるところには必ずある軋轢もないわけがないのですが、「キャスト」と呼ばれる社員・準社員たちがゲストの夢を壊さないように必死に演技をしているのが特徴的ですね。
公式にはミッキーマウスは「着ぐるみではない」というのも徹底していますね。
興味深い舞台設定の青春成長小説と言えますが、松岡圭祐の作品としては珍しいタイプの作品ですね。

ミッキーマウス紛失事件で美装部の女性にあらぬ疑いをかけて圧力をかけた嫌な調査部の正社員が最後にはちゃんと懲らしめられるところがいいですね。胸のすく思いをしました。
現実世界ではそういうことはほぼほぼ起こることはないだろうという展開でしたが、そこは、その、ディズニーランドということで。その舞台設定だからこそできたオチと言えるでしょうね。


『ミッキーマウスの憂鬱』をAmazonで購入する。またはHontoで購入する

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2021年11月25日 | 書評ー小説:作者ハ・マ行

松岡圭祐の作品だからと特に注意せずぼんやりと電子書籍で買ってしまいましたが、『ミッキーマウスの憂鬱ふたたび』とタイトルに「ふたたび」がついている以上、その前の『ミッキーマウスの憂鬱』があるはずなことに読んでしまってから気付きました。😅 
ただ、ストーリー上は続き物というわけではなく、単にディズニーランドのバックステージが小説の舞台であるというだけの話なのだろうと思います。重なるキャラもたぶんあるのでしょうが、それは後で確認することにします。

『ミッキーマウスの憂鬱ふたたび』は、東京ディズニーランドで「カストーディアルキャスト」(清掃員)として19歳の永江環奈を主人公としています。高卒で「就職」というには不安定な立場の「キャスト」と呼ばれる雇用形態で、母親からは「所詮、清掃のバイト」とバカにされ、職場ではダンサーなどの華やかなキャストたちに比べて地味で、「カースト最下位」として軽んじられる毎日にだいぶ嫌気がさしてきている中、閉園後に残る謎の客の捜索や園内のカラスを許可なく猟師に打ち殺させているという噂、そしてテーマパークの顔として活躍するアンバサダーの公募といった松岡圭祐の作品にしてはスケール感が小さい事件が互いに絶妙に絡み合って物語が進行していきます。
環奈は他作品のスーパーヒロインとは全く違い割と平凡な等身大の19歳の女の子という感じです。作者の新しい路線なのでしょうか。
分かりませんけど、ディズニーランドのバックステージという閉じられた世界で平凡な主人公にとっては大事(おおごと)のアンバサダーに向けた努力をしながら人間として少し成長するという青春小説です。
舞台設定のリアルさやキャラの深みは「松岡圭祐」という感じがしますが、テーマはあまり「らしく」ないですね。だから面白くないというわけではなく、きちんと「読ませる」作品です。
ただ、好みの問題として、私はもっとスケールの大きい(けれどあまり人の死なない)ミステリー要素の大きい作品の方が好きですね。

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2021年11月20日 | 書評ー小説:作者ハ・マ行


23歳の新人ラノベ作家 杉浦李奈を主人公とした文芸ミステリーは、すでに第2弾も発売告知されており、松岡圭祐の執筆スピードは一体どういうことになっているのだろうかと毎度のことながら感心しつつ新シリーズを読んでみました。
20代前半の若い女性を主人公にするのは安定の松岡ワールドと言えますが、今回は文芸、純文学の世界で物語が展開します。文学作品からの引用や芥川や太宰などの日本の代表的な作家にまつわる事件などが織り込まれている雰囲気は少し三上延の『ビブリア古書堂の事件手帖』シリーズに似通った匂いがあります。けれども主人公の杉浦李奈はまだ3作しか出していない「Z級ラノベ作家」でビブリアの栞子さんのように古書に詳しいわけでも、松岡圭祐自身のこれまでの作品に登場するスーパーヒロインのように特殊な身体能力や膨大な知識量と推理力があるわけでもなく、文学的素養はあるけどまだ未熟な作家に過ぎないところが特徴的と言えます。
新進気鋭の小説家・岩崎翔吾との雑誌対談に出席し、テーマの「芥川龍之介と太宰治」について互いに意見を交わした李奈は、これを縁に次作の帯に岩崎からの推薦文をもらえることになりましたが、新作発売直前に岩崎の小説に盗作疑惑が持ち上がり、せっかく郵便で送られてきたばかりの献本の帯を外して出版社に返却を求められます。それどころか、このスキャンダルを利用して岩崎の盗作の真相に迫るノンフィクションを書くように担当編集者から指示され、事件に深くかかわっていくことになります。
杉浦李奈がノンフィクション作家としての取材など右も左も分からないところから始め、様々な人に関わって取材を重ねて行くことを通じてどんどん逞しくなり、人間的に成長するというストーリーラインと作中のところどころにスパイスとしてちりばめられた文学談義の魅力もさることながら、どんどん掘り下げられていく岩崎翔吾という人物像も実に興味深いです。
しかし、メインディッシュはやはり、盗作疑惑が持ち上がってからしばらくして岩崎翔吾は失踪し、後に李奈に死体として発見される展開も目を惹きますし、その後、岩崎に盗作されたと主張していたフリーライターの嶋貫克樹も死んでしまうことで事件が新展開を見せ、謎が深まっていくミステリー性の高さですね。
出版業界の裏事情も巧みに織り交ぜられているところも興味深いです。

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李奈が今後どう成長して行くのか、早くも次巻が楽しみです。

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