梟の独り言

色々考える、しかし直ぐ忘れてしまう、書き留めておくには重過ぎる、徒然に思い付きを書いて置こうとはじめる

故郷の夏、子供の頃

2020-08-10 15:39:12 | 昭和の頃
一気に暑くなった、まるで7月分を取り返すかのような暑さだ、
全国で猛暑日の街が出ている、昔からこんなに暑かったんだったけ?
「江戸の雨は馬の背を分ける」と言われたそうだが田舎から出て来た私にとっての東京は夕立の無い都市だった、
集中して人が住み、生活行動も田舎に比べれば格段に活発だ、
エアコンの排熱、車の排気熱、人間自体の熱でいわゆる「ヒートアイランド現象」が起きて突然襲ってくる様な雨が無いのか、
子供の頃遠州の山奥、海岸から直線で50kmに満たない距離で標高500m程度の山襞の村では夕立の降り方はまさしく「馬の背を分ける」様な降り方をした、
抜けるような青空の下未舗装の道路は真っ白で土埃が歩く足元に舞い上がる
海の方向に勢いよく立ち上る入道雲から湧き出る様に真っ黒な雲が低い位置を勢いよく進んでくるとたちまち暗くなり雲の下に白いカーテンの様な雨が襲ってくる、
雨の先端が滝の様に進んでくるのが見えると近くにある神社や公民館や小屋の軒下まで必死で走る、
飛びこんだ直後に散水車の様に雨が通り過ぎる、もっともこの頃はそんなものがある事は知らなかったが、
道路はあっという間に水浸しになると巻き上げられた埃の匂いがする、
来るのもすごいスピードだが通り過ぎるのもあっという間だ、でこぼこの未舗装道路に泡立った水たまりが出来るがカチカチに乾燥した道路に吸い込むことはなく瞬く間に乾いてゆくが打ち水をしたような清涼な風が夕立の後ろを吹いて来た、今でもあの村ではあんな風に夕立が走りすぎているのだろうか、
とうの昔に帰る故郷ではなくなってしまった村だが記憶の中では懐かしい故郷は夏でも懐かしい匂いがする、