福田の雑記帖

www.mfukuda.com 徒然日記の抜粋です。

東電の賠償申請に思う(1)現実的でない煩雑さと低額らしい 事故責任を何と考えている?

2011年10月04日 18時09分38秒 | 時事問題 社会問題
 原発事故から半年が経った。やっと地元紙を見ると地域の方々による復興・復旧などのニュースが多くなってきた。被災者の方々がその地域で元気を取り戻し始めているようだ。これらに関しては中央紙、秋田魁あたりは情報が少ない。

 原発事故で避難を強いられた方々への東電への損害賠償の請求手続きがやっと始まった。既に1世帯あたり100万円の仮払いがされていたものの、その後なかなか進展していなかった。

 ところが、実際に始まってみるとこの請求手続きにはいくつも問題がある事が判明した。
 まず、請求手続きがあまりにも繁雑とのこと。東電が補償の対象の6万世帯に配布した書類は、案内冊子が約160ページ、請求書類が60ページもある,と言う。更に、書類には専門用語が多く、高齢者が多い被災者から理解も記載も困難との声が上がっている。また補償額も不十分との声もある。請求には避難時にかかった費用の領収書を添付する必要があるという。また、この後一切の以後を申し立てないとの誓約もさせられるのだとのこと。

 ここまでは新聞から採った情報であるが、ここまで見ただけで、私ならもう頭がフリーズしてしまう。

 私共医師は患者から各種の書類を記載して欲しいと求められる。医師としての業務の中で最もストレスのもとになる業務である。その中でも記載が困難なのは生命保険会社の疾病特約保険の書類や死亡時の保険金請求の書類である。私共が記載するページはそれほど多くなく,せいぜいA4版一枚、あるいはA3版見開きの一枚程度である。記載に関する注意事項等を記載した説明書も字は細かいがせいぜいA4版1-2枚程度である。それでも記載に手間取る事も、難渋することも少なくない。実際には手間取ると言うよりは手を付けるのが億劫でつい後回しにしてしまう。特に重症患者を複数抱えているときは大変である。

 枝野経産相はこれらの問題点のいくつかを取り上げ東電に改善を求めた。これに対し東電側はわかりやすい補足資料を作ること、被災者の権利を束縛する様な文言を削除する事などを表明し、社長は衆議院予算委員会の場で謝罪したが、当然だろうと思う。

 東電は半年かけて微に入り細に入り賠償について検討し、資料を作ったのだと思う。人類が経験したことのない未曾有の原発事故への対策を進めながらの作業で大変だったと思うが、避難民の苦しい立場を軽視しているのではないかと思う。
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