わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

失敗と対策 (釉薬掛け3)

2008-08-06 22:49:58 | 失敗と対策
 2) 一作品に多色の釉薬を塗る場合の問題

  イ) 一色で全体を塗り、その上に部分的に、他の色を塗る方法は、割合容易な

    事です。

   ・ 但し、色を重ねた部分は、本来の色でない色が出易いです。

     あらかじめ、テスト焼きして下さい。

   ・ 塗る順序を変えると、発色も変わります。

    (最後に掛けた釉薬の色が、優先的に出ます)

  ロ) 二色を塗り分ける場合、分ける境で悩みます。

    境が直線的、又は曲線的にする。更に、境は塗らない場合(素地のまま)

    二色を重ね塗りをする場合(重なった部分の色が変ります)などなどの

    問題です。

   a) 「マスキング」をする

    ・ 皿など平たい作品を、直線的に分けるには、釉薬が多量に有り、容器

     も十分大きい時に、作品を垂直に漬ける事で可能ですが、「バット」な

     どに釉を入れて、漬け掛けしても、丸みを帯びた境目になってしまいま

     す。

    ・ 好みの曲線で区切る場合でも、「マスキング」は有効です。

    ・ 「マスキング」の方法は、マスキングテープ(ガムテープなど)を使

      う。陶画糊(ラテックス)を使う。その他、塗りたく無い部分を何ら

      かの方法で覆う。

    b)  湯呑みなど、内側と外側の色を変えたい場合

     ・ 内側を塗って(柄杓で流し込む)から、外側を漬け(浸し)掛けで

      塗る。この場合何処で区切るかを考える必要があります。

     ・ 外側を塗る際、口を下にして漬け掛けすると、外側の釉が口の内側

      に入り込み、二重に掛かります。

     ・ 逆に、内側の釉を、外側の口周辺まで塗る場合は、底から好みの位

      置まで漬け、そこから上部は、内側の釉を塗ります。
 
      (この際、高台内側に釉が掛らない場合があります。底の部分を少し

      漬けてから、作品を振って、釉を波立たせます。)

   c) 筆(刷毛)で塗る

    複雑な模様に塗り分ける場合、マスキングだけでは、手間が掛かり過ぎ、

    実用的では有りません。

    有る程度の色ムラ(濃淡)を覚悟の上で、筆(刷毛)で塗るのも、一つの

    選択肢です。

   d) スプレー掛け

    スプレーや換気などの設備が有れば、多色掛けには、一番良い方法です。

    不必要な部分をマスキングし、必要部分のみを塗る事が出来ます。

    ・ 但し、紙などを置くだけのマスキングの場合、紙と作品お間に隙間が

      あると、境界線はボケます。密着させてください。

 3) 指痕の問題

   碁笥底高台や、べた高台など、釉薬を掛ける際、作品の何処を持っても、

   指痕が着いてしまう作品があります。

   ・ 着いた指痕を、指や筆で補修して塗るのが、一般的です。

     流れ易い釉薬の場合は、それほど目立ちませんが、流れにくい釉薬では

     指痕が目立ちます。

     特に、指痕の周囲は、毛細管現象によって、他の部分より、厚く掛かり

     ます。乾いた指で軽く撫で、厚い部分を削り取ります。

   ・ 塗る順序を考え、なるべく指痕を着けない様にする。

     即ち、釉薬を塗った部分を持ち、いまだ塗っていない部分に釉薬を掛け

     る。 又、指痕が着いても、見苦しくない場所を選ぶ。

   ・ 作品の半分を塗り、乾燥後(数十秒で持てる様になります)他の半分を

     塗ります。

   ・ 施釉ハサミを使う

     各用途に合わせたハサミが、市販されています。このハサミを使えば

     痕は、点状に残るのみです。


     
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失敗と対策 (釉薬掛け2)

2008-08-04 14:54:12 | 失敗と対策
 釉薬を掛ける方法は、漬け掛け、流し掛け、スプレー掛け、塗り掛けなどの方法

 が有ります。

  作品の大きさ、釉薬の量などの関係で、釉薬を掛ける方法が、限定される場合

 が多くなります。

 釉薬をける際、以下の問題が発生する場合があります。

 1)釉薬の量の問題

   釉薬の種類が少ない場合には、釉薬の量を大量に作り置きする事も可能です

   しかし、種類が多くなるに従い、大量の釉薬を用意する事は、場所的、費用

   的にも、困難になります。

    釉薬が少量ても、釉掛けが可能な方法の順序は、以下の順番です。

   イ) スプレー掛け、刷毛塗り

     この方法が、一番少量の釉薬ですみます。

     但し、次の様な欠点も有ります。

    a) スプレー掛け

      ・ 道具が必要です。即ち、コンプレサー及び霧吹き部分(ノズル)

        又は、手動の霧吹き(市販されている)が、必要。

      ・ 場所が必要。 霧を吹き掛ける際、小さな水滴が飛び散ります。

        それ故、屋内では、換気の設備の有る所が必要です。または屋外

        で行うとしても、周りに飛び散らない様な、囲いが必要です。

      ・ マスクを使用の事。 釉薬の霧を吸い込まない様に、マスクを

        着用する事。

     b) 刷毛塗り

       一つの作品に、複数の釉薬を塗る時や、複雑な模様に施釉する時に

       便利な方法です。

      ・ 刷毛(筆)で塗ると、釉薬が薄くなりがちです。塗る釉は若干、

       濃い目にします。

      ・ 塗った痕が、まだらになり易い。(濃淡が出易い)

   ロ) 流し掛け(柄杓掛け)

    この方法も、少量の釉薬しか無い場合や、大物の作品の時にやる方法です

    又、袋物の内側を塗る場合にも、この方法を使います。

    ・ 盥(たらい)など、口の広い容器を用意し、柄杓に取った釉を、作品

      を回転させながら、流し掛けます。

    ・ 柄杓一杯分の釉しか無い場合でも、容器に溜まった釉をもう一度、

      柄杓に採り直し、流し掛けて下さい。

    ・ 釉が少ないと、流した時、一筋二筋と枝分かれします、釉薬の厚みに

      差が出る事に なりますので、勢い良く流すこと。
   
    ・ 大皿なども、一気に流し掛けます。

    ・ 袋物などは、内側に柄杓で流し込みます。口が小さく片手に持てる程

      度の作品では、口を手で蓋をし、逆さにして、そのまま5回程度振り

      上に向けてから、中の釉を捨てます。

      作品が大きい時は、両手で回転させながら、内側を施釉し、口から捨

      てます。
  
   ハ) 漬け(浸し)掛け、ガバ漬け

     一番均一に掛かり、釉の「ムラ」も少なく、綺麗にぬれます。

     釉薬の量がある程度必要です。

    ・ 作品全体を釉薬の入った容器に、浸す方法です。

    ・ 作品が板状の場合には、平たい容器(バット)を、細長い作品は、筒

      状の容器が必要です。筒状の容器の深さが足りない場合、上下二回に

      分けて、塗って下さい。

    ・ 「ガバ漬け」は、内外を一度の作業で塗る方法です。

      均一に塗れ、指痕も無く塗れます。
     
      但し、練習が必要です。

      方法は、作品を逆さに持ち、一度高台まで沈めてから、勢い良く引き

      上げ、口が水面近くに来たら、振動を与え中の空気を抜き、釉を吸い

      上げ、内側を施釉します。

   ・ 板皿など、底面が広く、釉薬を掛けたく無い場合、撥水剤を塗ると便利

     です。但し、一度撥水剤を掛けた所は、釉が掛かりません。必要最小限
     
     にする事。(もう一度素焼をすれば、撥水剤は無効になります)


 
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失敗と対策 (釉薬掛け1)

2008-08-01 16:40:50 | 失敗と対策
 素焼の終わった作品は、釉薬を掛ける物と、この段階で終わりにする物に分ける

 ・ 窯から出して、「割れ」や『ひび」が入った物は、本焼きすると確実に傷

  が、広がります。

 ・  陶芸用の接着剤も市販されていますが、たいていは、上手くいきません。

   (この接着剤は、「割れ」や「ひび」より、完全に破損分離した部分を接着

    する方が向いています。)

 ・ どうしても、その作品を助けたい場合は、以下の方法が有ります。

   イ) 本焼きを二度行う。

    即ち、一度目の本焼きで、傷を出来るだけおおきく拡げ、その傷に素焼の

    粉(シャモットという)を塗り込め、割れ目を塞ぎ、釉薬を掛ける。

    二度目の本焼きでは、その傷を釉薬が覆い、目立たなくさせられます。

   ロ) 本焼きすると、土がやや軟らかく成る性質を利用する。

    板状の皿などは、「ひび」「割れ」の両端に、粘土を詰めた貝など置き、

    「ブリッジ状」にして、窯詰めをすると、「ひび」『割れ」部分がやや垂

    れ下がり、両方から押し付けられて、釉薬でくっつく事も出来ます。

   ハ) 釉薬でくっつける。

    完全に割れた部品で、それが自立して、元の作品に取り付ける事が出来れ

    ば、釉薬でくっつける事が可能です。

    但し、施釉の際別々ですと、塗りずらいので、一般的な糊(やまと糊)で

    接着し、固定してから、施釉して下さい。
   

 1)作品表面の引っかかりを、紙ヤスリで削る。(この作業をしない人もいます)

   削りカスは、「スッポンジ」で拭き取る。(カスは、残さない様にする)

   紙ヤスリで、表面に出来た浅い傷や、くっついた「削りカス」などを、削り

   取ります。底(畳付き)も紙やスリを掛けて置くと、窯出し後の「研石掛

   け」も、簡単になります。

  ・ 作品に「削りカス」や「ホコリ」などが付着していると、その部分の釉薬

   が逃げ、「釉ハゲ」の原因になります。

  ・ 素焼後長らく、「たなざらし」になていた作品は、『ホコリ」を払います

 2) 釉薬の厚み、及び下絵付けの濃さによる失敗。

   釉薬は種類によって、釉薬の厚みは、千差万別です。

   普通の厚みに掛ける釉薬(一般にはがき一枚の厚さ)、 厚く掛ける釉薬、

   薄く掛けた方が発色良い釉薬が有ります。

   ・ 厚く掛け過ぎると、(又下絵の濃度ガ濃すぎる)と釉が逃げる易い。

    (わざと厚く掛けて、釉が逃げさせ、模様にする場合がありますが・・)

   ・ どうしても、厚く掛けたい場合、

     イ) 薄くした釉薬を、複数回に分けて、掛ける。 

     ロ) 目的の釉薬を塗る前に、透明釉を薄く掛け、その上に目的の釉薬

        を掛ける。

   ・ 釉薬に拠っては、施釉直後から、素焼素地から釉薬が、まくれ剥がれる

     場合があります。

     この場合には、 釉薬を薄くする。C M C(化学糊)を釉薬に入れる。

     などの方法も有ります。
     

  

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