わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

現代の陶芸256(まとめ1)

2012-12-24 21:54:51 | 現代陶芸と工芸家達

現代では、陶芸家と呼ばれる人々は、数千とも数万人とも言われる程です。

従来ですと、昔より続く限られた窯場を中心に活躍していましたが、現在では、雪の降る極寒の北海道

や東北、北陸などに千人単位の陶芸家が住み着き、活動しています。

冬季でも暖房が行き届いている為、以前なら不向きな場所での、陶芸活動も可能に成っています。

現在では、我が国の何処の地でも陶芸活動は可能です。

このシリーズを終わるに当たり、現在の陶芸事情を考えて見たいと思います。

1) 土が自由に手に入る様に成った事。

   昔ならば、地元の土を使う事が必要で、良い土の産出する場所に窯を築き、作陶する必要が

   ありましたが、現在では好みの土を遠方より取り寄せる事が可能に成っています。

   勿論、地元の土を見出しその土(又はブレンドした土)を使って活動している人も多いです。

2) 作る作品について。

  ) 陶芸を趣味にしている方ならば、自分の好きな様な作品を作れば良いのですが、焼き物で

    生計を立てるとなると、自分の好みの物のみを作っている訳にはいきません。

    勿論、超売れっ子作家ならば、ある程度自分好みの作品で、生計を立てる事も可能でしょうが

    その様な方は、ほんの一握りの作家に限られます。

  ) 一般的には日常使用する食器類が多く作られます。この分野には量産された安価な

     焼き物が「ひしめいて」います。手造りの特徴を生かした、ある程度の特色ある絵柄、文様、

     色(釉)で勝負する事に成ります。

     茶道が盛んな我が国では、茶道具やそれに伴う懐石料理用の器も、一定の需要がある様で

     茶道具を専門に作っている方も多いです。

  ) 日用品の中でも、酒気類や花入(花瓶)なども、ある程度の需要が有りますが、それらは、

     薪による焼成、即ち登窯や窖窯(あながま)で焼成した、焼き締め陶器です。

     焼き締め陶器は、施釉した陶器より人気も高く(作る者も使う人も)、より高値を付ける事が

     可能です。 特に備前焼などは、人気がある有名作家では、ぐい呑みでも数万円~数十万円

     の値が付く事も稀では有りません。更に壷などの大物に成ると数百万の値さえ付きます。

  ) 現在主流に成っているのは、窖窯による焼成で、以前主流であった登窯は、共同窯と

     して使われた場合が多く、個人の窯として使用するには容積が大き過ぎる為、ほとんど

    使用されなくなっています。但し、薪で焼成する為には、環境問題も有って、ある程度設置

    場所が制限される為、人里離れた山の中や、山里に築く事に成ります。

    注: 窖窯(あながま)とは、トンネル状の地下式又は半地下式の窯で、斜面を利用して、焔の

       引きを強くし、高温を得る窯です。主に古代から中世にかけて作られ、土中を堀抜くか、

       斜面に溝を堀り、天井を被せた構造になっていますが、現在では、耐火レンガを利用して

       築いています。自然釉が掛り、灰被りや胡麻(ごま)などの景色や窯変などが発生し、

       予想だにしない良い景色の作品が、出来上がるの事が多いです。

  3) オブジェ的な作品や、展覧会用の作品について。

   ) オブジェ的な作品は、一部美術館などでお買い上げに成ったとしても、一般的には商品的

     価値が認められる事は稀です。即ち、作品が大き過ぎて一般家庭で設置するスペースも有り

     ませんし、美術的価値が有っても、単なる「お飾り」でしかない為です。

     その為、若い頃主に、オブジェを作っていた方も、やがて年齢と共にオブジェ的作品から離れて

     いくのが普通です。

   ) 展覧会用の作品にも同じ様な事が言えます。

      公募展などで入選する為には、ある程度の大きさのある見栄えの良い作品でなければ

      なりません。一般家庭では大き過ぎる作品です。

      但し、展覧会用の作品は美術館などで買上げとなる以外は、販売する目的で作る訳では

      なく、入選や賞を受賞する事に主眼が置かれます。入選や受賞がその人の経歴と成って

      後々有用に作用すると考えるからです。但し、入賞したからと言って必ずしもその人の作る

      他の作品の価値が上がる又は販売増に繋がるとは限りません。

以下次回に続きます。

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