緑色の釉は、緑釉(りょくゆう)と言われています。
緑釉の代表的な釉は、着色剤の酸化銅や炭酸銅を使った青織部です。(青=緑の事です)
その他に酸化クロムを使った釉や、鉄を添加した青磁釉、更には灰を使った釉もあります。
市販されている緑系の釉には以下の様な種類があります。
織部釉(青織部、還元織部)。青磁釉(砧青磁、天竜寺青磁、銅青磁、青磁マット、亀甲貫入青磁、
氷裂亀甲青磁、酸化青磁)。青銅釉。青銅マット釉。ビードロ釉(灰ビードロ、松灰ビードロ、青ビードロ
酸化ビードロ)。松葉みどり釉。青萩釉。ヒワ釉。緑ナマコ釉。緑伊羅保など豊富に存在します。
1) 織部釉: 美濃(岐阜県)で作られた、古田織部好みの織部釉は、陶器に施釉する事が多く、
木灰釉などに、5~10%程度の酸化銅加え、酸化焼成で得られます。
一般に還元焼成では、赤い色、即ち辰砂(しんしゃ)になります。
① 青織部: 一般的に織部と呼ばれる、光沢のある美しい緑色をした釉で、透明性があります。
それ故、釉を薄めに掛けた場合、鬼板の様な絵の具で描いた下絵も、絵が表れます。
薄い色~濃い緑色まで濃淡を付ける事が可能ですが、メーカーによっては流れ易い釉も
ありますので、厚掛けの際には注意が必要です。
・ 銅を含む釉を薄過ぎる濃度で施釉すると、オレンジ色や茶色になりますので、極端に薄く
施釉できません。
尚、高温での焼成時に銅が揮発し、隣にある作品の色に影響を与える危険性がありますので
窯詰め際には、隣との距離を十分に取る事です。焼成温度は1230℃程度の釉が多いです。
青織部の他に、黒織部と呼ばれる黒色の織部もありましので、混同しない様にして下さい。
② 還元織部: この釉は還元でも緑色に発色するそうです。
(カタログを見て、この釉を始め知りました。なぜ還元でも緑に成るのかは不明です。)
③ 鉄織部釉: 黄色味を帯びた、渋みのある緑の透明釉です。
④ F織部釉: 青味を帯びた緑の透明釉です。
いずれも、酸化焼成で緑に発色します。
2) 青銅釉: 青織部よりやや緑の鮮やかさが劣り、黄色味又は白味を含む光沢のある釉です。
青銅器の様な色に仕上がります。
青銅マット: 上記青銅釉のつや消釉で、結晶釉で銅錆(さび)の雰囲気がでます。
1230℃程度で焼成しますが、温度が高過ぎる時には、光沢が出てマットに成らない場合も
あります。逆に低過ぎる時には、緑色がくすみ黒っぽい色になる場合があります。
・ いずれも酸化焼成で行います。還元が掛かると赤味や紫色になる場合もあります。
・ 焼成温度はメーカーによって差がありますが、主に1230~1250℃で焼成します。
3) 青磁釉: 長石を主体とする基礎釉に、2%程度の鉄分を加え、還元焼成する事で、鉄分が
第一鉄に変化して、青(緑)色に発色します。
・ 鉄分の多い素地を使うと、深みのある色調になります。
① 砧(きぬた)青磁: 青磁釉の中で一番人気のある釉です。
やや黄味を含む鈍い光沢のある緑釉です。
② 天龍寺青磁: 光沢のある緑色です。施釉は厚目の方が良いようです。
③ 銅青磁: 鉄分ではなく、銅を用いた釉で、やや乳濁した青緑の青磁になります。
但し、流れ易いですので、注意が必要です。
④ 貫入青磁、亀甲貫入青磁、氷裂亀甲青磁: 貫入(ひび)の入る光沢のある青磁釉です。
貫入の大きさ(細かさ)によって名前が変化します。但し、素地によってその効果は変わります
⑤ 酸化青磁釉: 還元焼成が基本の青磁釉にも、一部のメーカーで酸化焼成が出来るものも
販売されていますし、酸化、還元の両方で焼成できる青磁釉も市販されています。
但し、後者の場合、還元では緑色に成りますが、酸化では青(水色)に焼き上がります。
以下次回に続きます。
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