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わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

釉の熔融(剤)について 3

2009-01-05 23:05:53 | 釉薬に付いて 釉薬の種類 熔融剤
前回の続きを述べます。

 ⑧ 硼酸について

   硼酸成分は、硼酸以外の物質では、硼砂から取る場合も有ります。

  硼酸は次の様な効果が有り、釉の熔融剤として、広く使われています。

  a) 熔け易い物質を作り、全ての珪酸塩熔融物に、混ざります。

  b) 着色酸化物に対して、強力な熔融剤と成る。

  c) 適量使用すると、釉の膨張率を下げるが、多く入れ過ぎると、逆に膨張率を大きくする。

  d) 光の屈折力を大きくするので、光沢を増します。

  e) 低温では、流動性は低いが、高温では、流動性が増し、釉が流れ表面を滑らかにします。

  f) 失透を起さず、他の成分の結晶化を防ぎます。

 尚 硼酸に熔け難い物質には、酸化クロム、酸化錫などが有ります。

⑨ 酸化チタンについて

  この物質は、結晶釉には重要な成分で有り、下絵の具を作る時にも使われます。

  (黄色、黄褐色、赤褐色、ピンク系顔料、などです)

  酸化チタンを還元すると、銅赤の化合物に成ります。

  尚 一般に使われるルチル(金紅石)は、酸化チタンを85~98%含んだ物です。

 ⑩ 燐酸について

  ・ 燐酸を多く含む物質は、骨灰です。

   又 植物の灰も燐酸が含まれ、これを利用すると、光沢に深みが出て、独特な光沢が出ます。

  ・ 低温では、乳白剤として使われますが、多量に使用したり、高温では、光沢を失い、

    釉飛びや、ピンホールの原因に成りますが、釉は薄く掛けて防ぐ事も可能です。

  ⑪ 酸化錫について
   
    酸化錫は、釉に熔けず乱反射し、乳濁作用を起します。それ故乳濁剤として使われます。

   ・ 酸化錫を含む釉薬に、酸化クロムを入れると、ピンクや海老茶(マロン)と成ります。
  
   ・ 最近では、乳濁剤として、高価な酸化錫ではなく、ジルコニアや珪酸ジルコニウムが

     使われています。

   尚 乳濁剤として、酸化アンチモンも使用されます。


 ⑫ 木灰について

  ・ 木灰も溶融剤として、古くから(灰釉として)使われています。

  ・ 木灰は、樹木、樹皮などを焼き灰にし、水洗いし、可溶性の塩基物を取り除きます。

  ・ 昔から使われている灰は、以下の様な物が有ります。

   a) 松、柏、柑橘、椿、つつじ、欅(けやき)、栗、楢(なら)などの樹木の灰(石灰質)

   b) 竹、藁(わら)、羊歯(しだ)などの草の灰(珪酸質)

   c) 獣骨、卵殻、及び芋、木の根など灰(燐酸質)

   e) その他、土灰など各種の灰

  一般に、根には燐酸が、幹には珪酸が、枝葉や皮には石灰が多く含まれています。

  尚、自然灰は、産地、季節その他の条件によって、同じ物(一定な品質)は手に入り難いです。
   
 陶芸釉薬の熔融剤 
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