わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
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陶芸の心得7(土は縮んで強くなる)

2012-07-16 21:53:14 | 陶芸の心得

7) 土は縮んで強くなる。

    成形時の土は、水分を約15~20%程度(重量比)含んでいます。成形後にはこの水分が蒸発し、

  縮みながら、徐々に強度を増して行きます。一番縮む量が大きいのは、成形直後で徐々に縮む量は

  減少して行きます。

 ① 素焼き前までは、土(粘土)の組成的変化は変化せず、水分だけが抜けてゆきます。

    水分が抜けるので、土の粒子同士が接近凝縮し、格段に強度が増す事になります。

    強度が増すとは言え、水に対しては大変弱いです。乾燥した土は水を大量に吸い込み、見る見る

    内に溶け出し、原型を留めなくなります。むしろ、粘土は濡れている方が、水に対して強い様です。

    又、可塑性(かそせい)の大きな素材は、保水性も大きく、乾燥すると大きく縮みます。

 ② 十分乾燥(天日干し)すると、6~7%程度(縦横高さ共)小さくなります。

     土の種類にもよりますが、一般に市販されている粘土は、完成までに12~13%程度縮みます。

     それ故、全縮み量のおよそ半分がこの段階で起こります。

      (尚、備前の土は20%程度縮むと言われています。)

     この段階では、土に粘りがなく、脆い(もろい)く、少しの衝撃で壊れますので、取り扱いには

     特に注意する必要があります。作品の移動はなるべく少なくしたい物です。

   ) 縮む方向は、縦横高さの方向に、同じ割合で縮みます。

      当然大きな作品ほど、縮む量は大きくなります。

   ) 完全に乾燥した土は、素焼(700~800℃)をしても、ほとんど縮みません。

      逆に素焼きで膨張する場合もあります。(但し、一般には1%以下が多いです。)

      特に、石英を多く含む土は、550~650℃の範囲で大きく膨張します。

           逆にこの温度範囲内で、急冷すと体積が急激に減少し「冷め割れ」の原因になります。

     a) 素焼きした作品は、生(素焼き前)の作品に対して、強度的にも強くなり、取り扱いも容易に

        なります。但し、使用に耐える程の強度はありません。

     b) 素焼き後の土は、水を吸い易いですが、元の土には戻りません。

  ③ 本焼きする事により、使用に耐える強度となります。

     本焼きの焼成温度は土(粘土、磁土)によって差が有りますが、粘土で1200~1250℃

      程度で。磁土で1280~1300℃程度です。

   ) 本焼きでは土の種類にもよりますが、更に6~7%の収縮が起きます。

      1000℃位から、急速に収縮を起こし、化学反応が活発化し、ガラス化が進行します。

      焼成温度が高ければ高い程、焼き締り強度が強くなると同時に、収縮量も大きくなります。

      即ち、土の密度が増し、強靭になります。

      但し、陶磁器は衝撃に弱いと言う性質が、改善される訳ではありません。

   ) 作品の強度は、土が締まると共に、釉がガラス質と成って、表面を覆う事も大きく関係して

       います。

   ) 粒子の細かい土は程、焼き締まる率が大きくなります。

      又、鉄分を多く含む土(赤土など)も、縮み量がふえます。

   ) 市販されている土は、所定の温度範囲で焼成すれば、12~13%程度で収縮する様に

      ブレンド調整されています。それ故、この縮み量を考慮して作品を作れば所定の大きさに

      出来上がります。但し、ご自分で掘り出した土は、試し焼きして、耐火温度と縮み量を知る

      必要があります。

次回「土には記憶性がある」に続きます。  

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