わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

焼き物の着物(色彩)23 無彩色22(須恵器4)

2014-03-01 22:57:11 | 陶磁器と色彩

4) 須恵器を作る環境。

  ③ 轆轤(ろくろ)に付いて。

    須恵器制作の特徴として、轆轤の使用が挙げられます。

    埼玉県の入間郡三芳町新開遺跡から、須恵器の工房跡が発掘され、回転台(轆轤)の

    軸芯棒を埋め込んだと思われる穴(ピット)が発見されます。

   ) 轆轤の使い方は現在と異なります。

     以前には、小型の須恵器は現在と同じ、水挽きによる方法と考えられていました。

     しかし、当時の工房跡から発見された軸芯棒の穴から、強い遠心力を発生する事は不可能な

     事が解かる様に成りました。高速で回転させ強い遠心力発生させる事が出来ないと、土を上に

     伸ばす事は出来ません。それ故、轆轤(回転台)を使ったのは事実ですが、他の方法で制作

     した事が解かります。

   ) 轆轤を使った、巻き上げ又は輪積み方法。(巻き上げ水挽き技法)

     この方法は、轆轤(回転台)の上に円形の粘土板を載せ、その周囲に粘土紐を巻き上げ

     又は、輪積により積み上げて、轆轤の回転力により形を整える方法です。

    a) 成形時に手間は掛りますが、小さな(弱い)遠心力で同一規格の製品を短時間で作れます

    b) 須恵器の壷などの外側には、轆轤によって巻き上げの粘土痕が消されたと思われる跡が

      見られる物や、内側には不完全な処理で積み挙げた痕がある物もあります。

    c) 7世紀の須恵器では高台の付く器が生産されますが、ほとんどは、付け高台に成って

      いますので、轆轤より切り離した跡は見られません。

      8世紀に成ると盤(皿)など平たい須恵器が多く作られる様になり、8世紀中頃からは

      轆轤での「糸切」跡や「箆(へら)起こし」などの跡を処置せずそのまま残す作品が多く

      なります。その結果、渦状の跡や同心円状の「箆おこし」の跡が底に残り、轆轤を使って

      作品を作った事が解かります。

     ・ 糸切の場合、轆轤を回転させながら切る回転切と、轆轤を静止させた状態で糸切を

       行う場合では、その跡に違いが出ます。同様に「箆起こし」も回転と静止の状態では    

       その跡は異なります。

     ・ この底跡から、轆轤の回転方向や、糸を入れる際の方向、糸のからめ方等が判明する

       様に成ります。

   ) 整形の仕方。

     轆轤の上で成形された粘土は次に整形の作業に入ります。整形には「撫(なぜ)整形」と

     「箆整形」が有ります。

    a) 「撫整形」とは、指や皮革を使い器面を綺麗に撫ぜ、平滑に仕上げるものです。

      轆轤の回転に合わせて一定方向に撫ぜる方法と、方向性の無い方法があり、前者の方が

      新しいやり方です。

    b) 「箆整形」とは、箆(へら)状の工具を使い余分な個所を削り取ったり、肉厚を薄く削り取る

      などの方法で整形する方法です。轆轤を回転させながら連続的に削る方法と、静止した

      状態で削る方法があります。回転削りは須恵器で多用されています。

   ) 叩き(たたき)技法。

     壷や甕(かめ)などの大物は、内側に当て用具を当て、外側から叩き棒(木製、陶製)で叩き

     整形する方法です。その目的は、土を締める事で割れを少なくする事と、肉厚を薄くし重量を

     軽くする事です。 土を叩く事で、粘土中に残る空気を叩き出す事も出来、更に器面の

     平行文様や同心円状の文様は叩き棒の叩いた跡や、棒に付けられた文様の跡です。

5) 須恵器の種類。

以下次回に続きます。    

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