わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

抹茶茶碗 (京焼き2)

2010-05-11 21:36:43 | お茶と「茶の湯」と茶道具(茶陶)
前回に続き、京焼きの、抹茶々碗に付いて、述べます。

色絵は、伊万里焼きが、代表的な物ですが、京焼きとの違いは、素地の違いで、伊万里が磁器なのに、

京焼きは、陶器(土物)で、出来ています。

2) 野々村仁清(ののむらにんせい)

   京焼きを、代表する陶芸家に、御室(おむろ)焼きで、主に茶道具を、造る仁清がいます。

 ①  国宝の、色絵雉香炉、色絵藤花図茶壺を初め、色絵七宝繋文茶碗や、色絵結熨斗文茶碗、

    色絵扇面流茶碗などの、茶碗も焼いています。

 ・ 中でも、色絵鱗波文茶碗(口径:12.5、高さ:8.7、高台径:5.1)は、仁清の茶碗の

   最上品で、後述の「掛切手(かけきりて)」の技法を取っています。

   作行きは、特に薄手で、胴の部分で、一段開き上に伸びています。口造りは、山道になっています。

   高台脇から、口縁にかけて、萌黄釉が掛けられ、流れています。

   内側は、美しい卯の斑釉が掛けられています。

   外側は、鱗繋ぎ(うろこつなぎ)の文様が、萌黄と群青で描き、鱗の中に金彩が施されています。

   その豪華さは、能衣裳を、思わせる物です。

 ②  元禄時代に、茶人、金森宗和(かなもりそうわ、1584~1656)の指導のもと、御室仁和寺門前で、

    窯を開いた、野々村仁清(生没年未詳)によって、京焼きは、大きく開花します。

    当時、新しい技法である、色絵陶器の完成者、とも言われています。

 ③  轆轤の名手と言われ、茶碗も薄作で、宮廷好みの、粋な模様を、描いています。

    素地は黒谷の、白い土を使い、発色を良くしています。

 ④  仁清の作品

  ) 最初の頃は、当時流行の、高麗茶碗を真似た茶碗を、作っていた様です。

     舶来品の、高麗茶碗の様に見える、呉器手茶碗で、仁清印が、捺されています。

    (作品に、作者の銘を、入れるのは、仁清が最初とも、言われています。)
  
  ) やがて、水墨画を茶碗に描いた様な 銹絵の茶碗が、生まれます。

     寒山拾得(かんざん、じゅっとく)のユーモラスな姿や、富士山の絵は、狩野探幽の富士図を、

     写した様に堂々としています。

  ) 仁清の名前を、高めたのは、優美な錦手(色絵)、即ち、濃紅、浅緑、青、紫色の絵付けで、

     その上に、「仁清釉」と呼ばれる、独特の、半透明釉を掛け、絵を引き立てています。

  ) 色絵の茶碗では、青や濃緑で描かれた、草や波文の文様は、釉薬の流掛けの為、

     白釉や緑釉の陰から、覗いている様に見えます。この技法を、「掛切り(かけきり)」と言い、

     鱗波、忍草、鉄線などの文様が、有名です。

  ) 仁清は新しい、黒い茶碗を造りだします。白く残したと所に、松竹梅や、芥子(けし)、

     芭蕉葉などが、色絵で描かれた物や、金銀菱文や七宝模様を、華やかに描いた物があります。

  ) 「ねり上げ手茶碗」は、異色の二つの土を、適度に練り合わせ、轆轤挽きしたものです。
    
     仁清の轆轤技術が、凝縮されて、見事に薄く成形され、歪の無い焼成と、なっています。

     (口径:11.2 高さ:8.5 高台高さ:4.9cm)

3) 乾山焼(けんざんやき)

以下次回に続きます。

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