4) 素地の水分量と収縮率について。
陶芸で使用する粘土(主に練土)には、粘土成分の他に、水分と気孔(空気穴)が混在して
います。但し、水分が多量に存在する場合には、気孔は水分で満たせれ、水分の蒸発に従い
気孔と成って現れます。それらの混ざり具合により、可塑性が良くなったり、収縮率が大き
くなったり、強度が増したりします。
これから述べる事は、細かい事項を知らなくとも、経験側から何の不便も無く、作品を作る
事は可能です。参考にして頂ければ有り難いです。
① 粘土に適量の水分が含まれていなければ、自由に変形(可塑性)し、形にする事は出来
ません。
可塑性の少ない粘土の水分量は、約16%以下と言われていますので、それ以上必要です。
尚、底削りや、カップの取っ手付け(接着作業)などを行う半乾燥状態では、約14%
程度です。
中程度の可塑性を有する場合には、21%前後で、可塑性の大きな土は25%前後と言われ、
30%以上になると、轆轤挽きも難しくなり、形の保持が困難になります。
② 生の粘土の水分含有量が増えると、可塑性が増し更に体積も増えます。
可塑性が増すのは、水が粘土層間の潤滑剤として働き、滑り易く成る為です。
体積が増えるのは粘土粒子間に水が入り込み、その隙間を広げる為で、体積が膨張します
場合によっては作品の形を壊す事も起こり易いです。この影響で、釉の生掛けや、粉引
などの作業が難しくなります。一般に素焼きした後に施釉するのはこの為です。
又、生掛けの際には、粒子間に水の他、空気も取り込まれます。それ故、一層膨張が
大きくなります。
③ 粘土質と水分、空気(気孔)の割合。
粘土の重さが100gの時、水分含有量を25%とした場合、粘土質は75gとなり、水分は25g
となります。但し、空気の重さはほとんど無視できますが、容積として約25%程度の隙間
があると言われています。
乾燥と共に水分量は減少し、室温では約5%以下まで減少します。これには結晶水も含まれ
ます。これ以上の乾燥は室温では無理で、加熱する事で乾燥度を上げる事が出来ます。
水分が抜ける事で、粒子間の隙間が減少し、粒子同士が接触する様になると、可塑性は無
くなります。但し、粘土の粒子間の隙間は完全に無くなる訳ではありません。その隙間は
粒子の粗さが荒いほど空気(気孔)が残る事になります。
④ 乾燥収縮と強度。
ⅰ) 乾燥収縮は時間と共に進行します。但しある一定の程度収縮すれば、室温ではそれ
以上収縮する事はありません。この間の収縮率は素地の種類によりますが、約8%程度
です。尚、素焼き程度の加熱(800℃前後)でもこの収縮はほとんど変わりません。
結晶水は450~500℃で消失しますが収縮率にはほとんど影響しません。
ⅱ) 乾燥が進むに従い強度が増します。
参考資料によつと、水分20%程度で4kg,10%程度で10kg/平方cmになります。
注:参考資料:入門やきものの科学(田賀井秀夫著)
ⅲ) 乾燥し易い土とし難い土。
肉厚の厚い土、水分の多い土は当然乾燥は遅くなります。但し同じ状態でも乾燥の早い
土も存在します。
非可塑性の成分を多く含む土は、水分の含有量が少ない為、乾燥が速くなります。同時
に収縮率も少なく、乾燥強度も弱くなります。
非可塑性原料とは、長石、珪砂があり、その他に雲母、石灰、酸化鉄等があります。
前者は乾燥収縮を減少させる割合が多く、後者少ないです。
更に粒子の粗い土(荒目)は、粒子間の隙間が大きい為、乾燥も速くなる傾向になり
ます。
以下次回に続きます。
陶芸で使用する粘土(主に練土)には、粘土成分の他に、水分と気孔(空気穴)が混在して
います。但し、水分が多量に存在する場合には、気孔は水分で満たせれ、水分の蒸発に従い
気孔と成って現れます。それらの混ざり具合により、可塑性が良くなったり、収縮率が大き
くなったり、強度が増したりします。
これから述べる事は、細かい事項を知らなくとも、経験側から何の不便も無く、作品を作る
事は可能です。参考にして頂ければ有り難いです。
① 粘土に適量の水分が含まれていなければ、自由に変形(可塑性)し、形にする事は出来
ません。
可塑性の少ない粘土の水分量は、約16%以下と言われていますので、それ以上必要です。
尚、底削りや、カップの取っ手付け(接着作業)などを行う半乾燥状態では、約14%
程度です。
中程度の可塑性を有する場合には、21%前後で、可塑性の大きな土は25%前後と言われ、
30%以上になると、轆轤挽きも難しくなり、形の保持が困難になります。
② 生の粘土の水分含有量が増えると、可塑性が増し更に体積も増えます。
可塑性が増すのは、水が粘土層間の潤滑剤として働き、滑り易く成る為です。
体積が増えるのは粘土粒子間に水が入り込み、その隙間を広げる為で、体積が膨張します
場合によっては作品の形を壊す事も起こり易いです。この影響で、釉の生掛けや、粉引
などの作業が難しくなります。一般に素焼きした後に施釉するのはこの為です。
又、生掛けの際には、粒子間に水の他、空気も取り込まれます。それ故、一層膨張が
大きくなります。
③ 粘土質と水分、空気(気孔)の割合。
粘土の重さが100gの時、水分含有量を25%とした場合、粘土質は75gとなり、水分は25g
となります。但し、空気の重さはほとんど無視できますが、容積として約25%程度の隙間
があると言われています。
乾燥と共に水分量は減少し、室温では約5%以下まで減少します。これには結晶水も含まれ
ます。これ以上の乾燥は室温では無理で、加熱する事で乾燥度を上げる事が出来ます。
水分が抜ける事で、粒子間の隙間が減少し、粒子同士が接触する様になると、可塑性は無
くなります。但し、粘土の粒子間の隙間は完全に無くなる訳ではありません。その隙間は
粒子の粗さが荒いほど空気(気孔)が残る事になります。
④ 乾燥収縮と強度。
ⅰ) 乾燥収縮は時間と共に進行します。但しある一定の程度収縮すれば、室温ではそれ
以上収縮する事はありません。この間の収縮率は素地の種類によりますが、約8%程度
です。尚、素焼き程度の加熱(800℃前後)でもこの収縮はほとんど変わりません。
結晶水は450~500℃で消失しますが収縮率にはほとんど影響しません。
ⅱ) 乾燥が進むに従い強度が増します。
参考資料によつと、水分20%程度で4kg,10%程度で10kg/平方cmになります。
注:参考資料:入門やきものの科学(田賀井秀夫著)
ⅲ) 乾燥し易い土とし難い土。
肉厚の厚い土、水分の多い土は当然乾燥は遅くなります。但し同じ状態でも乾燥の早い
土も存在します。
非可塑性の成分を多く含む土は、水分の含有量が少ない為、乾燥が速くなります。同時
に収縮率も少なく、乾燥強度も弱くなります。
非可塑性原料とは、長石、珪砂があり、その他に雲母、石灰、酸化鉄等があります。
前者は乾燥収縮を減少させる割合が多く、後者少ないです。
更に粒子の粗い土(荒目)は、粒子間の隙間が大きい為、乾燥も速くなる傾向になり
ます。
以下次回に続きます。
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