得意先に行った帰り、吉祥寺のファスト・フード店で、コーヒーを飲んでいた。
午前11時過ぎだったせいか、店は空いていた。
のんびりとした時を過ごしていた。
店内には、音楽も流れていないし、一人客が多かったため、人の会話も聞こえてこなかった。
店内の客は、ほとんどが携帯電話を手に持って、自分の世界に入り込んでいた。
しかし、そんなゆとりの時間も長くは続かなかった。
女性の集団が入り込んできたからだ。
人数は、6人。
年は、40歳前後だろうか。
皆がテニスラケットを持っていたから、朝から健康的な汗をかき、その帰り道に立ち寄ったという感じだった。
その中の一人が、いきなり喋り出した。
「前いったSMAPのコンサート、良かったわよねえ」
耳をそばだてなくても、その声は私の耳に、暴力的な圧力で侵入してきた。
それほど、でかい声だった。
以下は、全てを覚えているわけではないので、記憶に残った会話だけを記したものである(一言一句同じというわけではなく、こんなニュアンスで話した、という曖昧な表現だが)。
「ああ、良かったわぁ! もう最高だった。ホント、最高だった!」
「やっぱり、SMAPよねえ。あれ以上のグループは、いないわよ!」
「嵐なんか、SMAPに比べたら、まだまだよね。大人と子供くらいの差があるわ」
「あんなにうまいグループは、他にいないんじゃない?」
(何が、うまいと・・・・・・・?)
「ダンスもトークも、歌も最高よね。安定してるわ」
「そうそう、安定してるの。それに比べると、K-POPはダメね。日本語が下手だから、心が伝わってこないのよ」
「SMAPの歌には、心があるわ。日本語が全部聞き取れるもの」
(それは、すごい! 日本語の歌を歌って日本語が全部聞き取れたことを、そんなに喜んでもらえるなんて、SMAPも嬉しいに違いない)
「世界に出して恥ずかしくないのは、SMAPだけよね。中国人も感激してたって言うじゃない?」
「そうよ、SMAPだけよ、世界で通用するのは!」(6人が大きく頷いた)
ファンというのは、ありがたいものだと思う。
それと同時に、その宗教的な盲目愛の危うさに、鳥肌が立つ思いもする。
他のすべての音楽を凌駕してSMAPが至高のものだという考え方は、堅苦しい言い方になるが、唯一無二の思考に繋がる。
それは、教祖を絶対と仰ぐ、信者たちの盲目の服従に似ている。
つまり、彼女たちは、SMAP教の信者。
話を聞いていて、背筋が寒くなった。
鳥肌も立った。
そして、もう一つのSMAPファンの話。
友人から、メシを食いに来ないか、と誘われた。
断る理由がないので、友人の家にお邪魔した。
そこで、友人の奥さんを初めて紹介された。
友人の奥さんは、SMAPのコンサートに行き、グッズを集め、DVDを鑑賞し、歌はSMAPしか聴かないSMAP信者だった。
年は、46才。
「俺は、SMAPの歌には、興味がないんだよね。良さが、さっぱりわからないんだ。マツはどうだい?」と友人に話を振られた。
それに対して、私はご馳走になっているにもかかわらず、「俺も全然興味がない。俺は歌の下手な歌手は認めない。ワンコーラス聴くのも拷問に近い」と無神経にもそう答えてしまったのだ。
何日かたって、友人から電話がかかってきた。
「悪いな、マツ。女房がさ・・・・・もう、あの人だけは、家に連れてこないでって言うんだよ。悪いな、ホントに」
出入り禁止になったようだ。
午前11時過ぎだったせいか、店は空いていた。
のんびりとした時を過ごしていた。
店内には、音楽も流れていないし、一人客が多かったため、人の会話も聞こえてこなかった。
店内の客は、ほとんどが携帯電話を手に持って、自分の世界に入り込んでいた。
しかし、そんなゆとりの時間も長くは続かなかった。
女性の集団が入り込んできたからだ。
人数は、6人。
年は、40歳前後だろうか。
皆がテニスラケットを持っていたから、朝から健康的な汗をかき、その帰り道に立ち寄ったという感じだった。
その中の一人が、いきなり喋り出した。
「前いったSMAPのコンサート、良かったわよねえ」
耳をそばだてなくても、その声は私の耳に、暴力的な圧力で侵入してきた。
それほど、でかい声だった。
以下は、全てを覚えているわけではないので、記憶に残った会話だけを記したものである(一言一句同じというわけではなく、こんなニュアンスで話した、という曖昧な表現だが)。
「ああ、良かったわぁ! もう最高だった。ホント、最高だった!」
「やっぱり、SMAPよねえ。あれ以上のグループは、いないわよ!」
「嵐なんか、SMAPに比べたら、まだまだよね。大人と子供くらいの差があるわ」
「あんなにうまいグループは、他にいないんじゃない?」
(何が、うまいと・・・・・・・?)
「ダンスもトークも、歌も最高よね。安定してるわ」
「そうそう、安定してるの。それに比べると、K-POPはダメね。日本語が下手だから、心が伝わってこないのよ」
「SMAPの歌には、心があるわ。日本語が全部聞き取れるもの」
(それは、すごい! 日本語の歌を歌って日本語が全部聞き取れたことを、そんなに喜んでもらえるなんて、SMAPも嬉しいに違いない)
「世界に出して恥ずかしくないのは、SMAPだけよね。中国人も感激してたって言うじゃない?」
「そうよ、SMAPだけよ、世界で通用するのは!」(6人が大きく頷いた)
ファンというのは、ありがたいものだと思う。
それと同時に、その宗教的な盲目愛の危うさに、鳥肌が立つ思いもする。
他のすべての音楽を凌駕してSMAPが至高のものだという考え方は、堅苦しい言い方になるが、唯一無二の思考に繋がる。
それは、教祖を絶対と仰ぐ、信者たちの盲目の服従に似ている。
つまり、彼女たちは、SMAP教の信者。
話を聞いていて、背筋が寒くなった。
鳥肌も立った。
そして、もう一つのSMAPファンの話。
友人から、メシを食いに来ないか、と誘われた。
断る理由がないので、友人の家にお邪魔した。
そこで、友人の奥さんを初めて紹介された。
友人の奥さんは、SMAPのコンサートに行き、グッズを集め、DVDを鑑賞し、歌はSMAPしか聴かないSMAP信者だった。
年は、46才。
「俺は、SMAPの歌には、興味がないんだよね。良さが、さっぱりわからないんだ。マツはどうだい?」と友人に話を振られた。
それに対して、私はご馳走になっているにもかかわらず、「俺も全然興味がない。俺は歌の下手な歌手は認めない。ワンコーラス聴くのも拷問に近い」と無神経にもそう答えてしまったのだ。
何日かたって、友人から電話がかかってきた。
「悪いな、マツ。女房がさ・・・・・もう、あの人だけは、家に連れてこないでって言うんだよ。悪いな、ホントに」
出入り禁止になったようだ。