リスタートのブログ

住宅関連の文章を載せていましたが、メーカーとの付き合いがなくなったのでオヤジのひとり言に内容を変えました。

紛れもない詩人ロック

2011-10-08 13:25:20 | オヤジの日記
「リンダリンダ」を初めて聴いたのは、20年以上前のフジテレビの「夜のヒットスタジオ・スーパーDELUXE」だった。


ドブネズミみたいに 美しくなりたい


すげえな、と思った。

ロックだよ、これ、と思った。


一緒に見ていたヨメは、「何コレ? 歌い方が気持ち悪い! 生理的に受け付けない!」と批判のオンパレードだったが、私は確実にロックを感じた。
正統派とは思わなかったが、正真正銘で紛れもないロック魂を感じた。


もしかしたら、こいつらは、天下を取るかもしれない、とも思った。


私の予想とは少し外れて、ザ・ブルーハーツは、天下は取れなかったが、存在感のあるロック・バンドとして、確実に日本の音楽シーンに確固たる地位を占めた。

ただ、私の周りでは、彼らの音楽は、あまり評判が良くなかった。

「ハウンドドッグのほうがいいよ」
「インディーズの延長としか思えないな」
「ライブでのあの歌い方は、何とかならないかね。聴衆を馬鹿にしてるんじゃないの?」
「プロとして、あのパフォーマンスはどうかね?」

かなりネガティブに受け取られていたようだ。

しかし、私は力説する。

詞を聞けよ!  詞を!


「ナイフをつきつけられても
水爆つきつけられても
クソッタレって言ってやる」(僕はここに立っているよ)

「まあるい地球は誰のもの?
砕け散る波は誰のもの?
吹きつける風は誰のもの?
美しい朝は誰のもの?」(チェルノブイリ)

「ブラウン管の向こう側
カッコつけた騎兵隊が
インディアンを撃ち倒した
ピカピカに光った銃で
出来れば僕の憂鬱を
撃ち倒してくれればよかったのに」(青空)

「答えはきっと奥の方 心のずっと奥の方
涙はそこからやってくる 心のずっと奥の方」(情熱の薔薇)

「ヒマラヤほどの消しゴムひとつ
美しいことをたくさんしたい
ミサイルほどのペンを片手に
面白いことをたくさんしたい」(1000のバイオリン)


簡単な言葉で、自己の内面を鏡に映して、言葉で切り取る。

そんな甲本氏と真島氏は、紛れもなく詩人である。


これほど煌びやかな言葉でロックを歌うひとに、私は、いまだかつて遭遇したことがない。


ザ・ブルーハーツは、「ロックの魂」を良質の日本語で表現できる稀有のロック・バンドだった。

彼らは、ロックのリズムに不適だという日本語を自由自在に操って、日本語の詞を極めた唯一のロック・バンドだと言っていいと思う。

その魂は、以後、ハイロウズ、クロマニョンズに受け継がれて、英語を無闇に使わない美しい「日本語ロック」を昇華させている。


甲本氏と真島氏は、日本語の表現方法を最高の状態で極めることのできる、良質の詩人だ。


彼らの音楽を避けて来た人は、今からでも遅くないと思う。

是非、彼らの詞を聴いて欲しいと思います。


日本語が、どんなに美しい言語か、必ず体験できるはずです。

それを、私は断言します。