まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

社外取締役等の選任理由と問題点について

2009-06-03 22:50:57 | 商事法務

     2008年12月20日の日経新聞でしたが、ISS(米国のインスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズという議決権行使助言会社)の社外取締役重任議案に対する対応の新基準が導入されるという記事が出ていましたね。ISSでは、日本企業の社外取締役の重任議案の賛否基準として、取締役会への出席率が75%未満の場合、当該役員の重任に反対するというものです。

     楽天が買収を仕掛けた東京放送(TBS)の例を挙げて見ましょう。社外取締役の指名・選任理由としては、H19.6の参考書類では以下のように説明されていますね。また、H20.6の参考書類では取締役会の出席回数はどうなっているのでしょうか。

事業報告の選任理由の説明では、毎日放送(3.23%株主)の山本雅弘会長(13回中6回出席=欠席率54%)、電通(4.89%)の俣木盾夫会長(8/13=欠席率38%)、毎日新聞の北村正任社長(10/13=欠席率23%)、三井物産(2.25%)の機械出身のウツダ社長(7/10=欠席率30%)について、「放送、広告、新聞、商社の企業経営者としての豊富な経験・知識を持つとともに、当社の企業価値の源泉及び事業特性に関する深い理解、及び当社の企業価値の最大化に邁進していただける情熱や豊かな見識を有しており、当社のコーポレートガバナンスの強化、並びに企業価値及び株主の皆様共同の利益の最大化に資するものと判断し」と説明されています。ようこんな嘘書きますな!社外取締役は、自分の会社のことで精一杯でしょうね。露骨には言えないですが、自分の会社との取引の発展の為に役員を引き受けて居るんですね。

 社外取締役に就任している人を分類すると、取引先・取引銀行等の現役経営者、元官僚、学者、弁護士等ですね。社外取締役といえども、まず取締役会への出席義務がありますが、これも十分果たしていないですね。また、取締役会のメンバーとして、内部統制構築義務もあるのですが、社外取締役ですから、社内の事等わかりません。この義務も十分果たせませんね。日本では「独立取締役」等は、殆どいませんね。

- 取引先企業の経営者の場合:

 選任理由の大義名分は、経営者としての経験から大所高所の意見を期待、本当の理由は、仲良しグループ(TBSの場合は、楽天対抗勢力を形成して)を形成して取引先企業間の相互ビジネスの追及

 問題点は、自己または第三者の利益を会社の利益よりも上位においてはならないとする善管注意・忠実義務違反ですね。当然、派遣元の利益を優先します。また、取引関係構築・強化ですから、利益相反関係にあります。

- 学者・弁護士の場合:

 選任理由としては、専門的見地から議案の妥当性等について、法令・定款の遵守、妥当性等の監督義務を負っています。

 問題点としては、法令・定款に抵触する事等、オフィシャルな取締役会議案として上程する馬鹿がどこにいますか。まずそうな事は、裏で隠れて行うのです。弁護士さんが取締役会で活躍した話など私は聞いたことありません。

     例えば、ファミリーマートには、社外監査役はいますが社外取締役はいません。一方ローソンには、社外取締役が3名います。大学教授・人材派遣会社社長と関係会社(筆頭株主)の本部長ですね。社外監査役は2名で内1名は筆頭株主の審査部門の部長ですね。また、例えば、三菱電機(委員会設置会社)では、社外取締役として、グループの商社の会長や銀行の相談役がいます。まあ、皆さんどれだけご活躍になっておられるのでしょうね。取締役会に出席しても社外役員には聞いていても理解できないことが、いろいろ有りますね。何しろ、社外役員ですから社内の事、社内用語、専門外の事、わかりませんね。なぜ、現実に殆ど期待された役割を発揮していない、その上に出席もきちんとしていないのに、何故社外役員重視の風潮が起こるのでしょう。


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